ヒトの染色体は46本、性染色体がXXかXYをもつので、「46,XX」もしくは「46,XY」と表記します。この構成から外れた場合は染色体異常と呼ばれますが、これはあくまでも染色体の構成によってつけられた名称で、症状を基にしてつけられた名称ではありません。

 染色体異常は、卵子や精子、受精卵の分裂過程で生じて、体を構成する細胞全般にみられる場合(染色体異常症)と、腫瘍細胞に限定してみられる場合とがあります。

数の異常(トリソミーとモノソミー)

 染色体の数を考えてみましょう。正常の体細胞は、精子、卵子に由来する1組の染色体(1倍体)が合わさってできる2倍体です。しかし、卵子に2個の精子が受精すると3倍体を形成します。2倍体細胞において細胞分裂の後期での染色分体の分離がうまくいかなければ、2倍体がさらに倍になった4倍体となります。3倍体、4倍体の胎児は流産に終わります。

 個々の染色体を取り上げてみると、1本多い場合は「トリソミー」、1本少ない場合は「モノソミー」と呼ばれます。一般的には、常染色体が1本少ない場合には胎児としての発生過程が正常に進まず、早期の流産に終わります。また1本多い場合にも同様ですが、13、18、21番染色体では、その上に位置する遺伝子の数が少ないため胎児の発達への影響が比較的軽く、トリソミーがあっても流産を乗り越えれば出生に至ると考えられています。

 性染色体については、女性でX染色体のトリソミーであるXXX、男性でY染色体が1本多いXYYは、特別な症状はみられません。

構造上の変化

 続いて個々の染色体の構造の変化をみてみると、異なった染色体の腕同士の入れ替え(転座)、一部の欠損(部分モノソミー)、一部の過剰(部分トリソミー)、1つの染色体内での組換え(逆位)などがあります。2つ以上の染色体に転座が生じて、それに伴う染色体部分の過不足がなく、とくに症状がみられない場合には、均衝型(相互)転座と呼ばれます。相互転座や逆位は、減数分裂の際に精子・卵子の染色体構成の不均衡を起こすことがあり、不育症、反復流産、精子数の減少などの原因になることがあります。

染色体異常の頻度

 新生児の約5%には先天性の疾患が認められ、まれなものではありません。

 そのなかで染色体による疾患は、それぞれの疾患の頻度は少ないのですが、全体を併せると出生する新生児の0・5%程度となり、先天性の疾患のなかでも大きな位置を占めています。

遺伝カウンセリング

 このような疾患である可能性があれば、遺伝を専門とする医師から十分な遺伝カウンセリングを受けることをすすめます。大学病院などには臨床遺伝部・遺伝子診療部・遺伝子診療科などの名称で専門の部門が開設されているところが多く、ここには必ず遺伝の専門医がいます。

 また、医療機関や保健所などと連絡して適切な援助を得ることができます。親の会などを通じて情報を交換することも助けになります。

 遺伝カウンセリングの情報は以下の機関でも得ることができます。

・いでんネット

 http://kuhp.kyoto-u.ac.jp/idennet

・信州大学遺伝子診療部遺伝ネットワーク

 http://genetopia.md.shinshu-u.ac.jp

・日本家族計画協会遺伝相談センター

 03‐3267‐2600

 親の会の情報は多くありますが、いでんネット、信州大学遺伝子診療部遺伝ネットワークや、染色体起因しょうがいじの親の会 Four-Leaf Clover(http://www.eve.ne.jp/FLC)からリンクして得ることもできます。

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 以下、染色体異常でよくみられる代表的な疾患について解説します。