運動で発生する疾患

 運動が直接の原因で発生する障害としては、捻挫、打撲、骨折など整形外科的分野が多いのですが、不整脈、貧血など内科に関係する疾患の発生も少なくありません(表7)。そして高齢者になるほど、その頻度は増加します。

 中高年者で疾患発生の原因となった種目は、ゴルフ、ゲートボール、ジョギングの3種目で全体の半数弱を占めています。これらは簡単にできる運動種目ですが、決して軽視してはいけないことがわかります。ウォーキング、ゲートボールでは不整脈や虚血性心疾患を発生しやすく、また障害発生時の身体状況として、肥満や高血圧をもった人が多かったと報告されています。

運動不足の害

 健康な人でも、体を使わないと筋肉の萎縮、関節の拘縮は意外と早く進行します。安静による筋力低下は、1週目で20%、2週目で40%、3週目で60%にも及びます。一度低下した筋力低下を回復させるためには長くかかり、1日間の安静によって生じた体力低下を回復させるためには1週間、1週間の安静により生じた体力低下を回復させるためには1カ月かかるといわれています。

 長期にわたって身体活動を行わない、行えない状況下での運動器障害としては、筋萎縮や筋力の低下、関節の拘縮(関節の動く範囲が制限され、痛みを生じる)、骨粗鬆症、腰背痛、五十肩(若年でもかかる)などがあります。

 循環器障害としては、起立性低血圧(寝た位置から立ち上がると血圧が下がり、脳貧血症状を起こす)、静脈血栓症、肺塞栓症、肺炎、むくみ、床ずれなどがあります。

(執筆者:和田 高士