高齢者の健康度を測るには

 老年期の人の多くは何らかの病気をもち、薬をのんだりしています。しかし、病気があっても日常生活に支障がなく、元気で暮らしている人がほとんどです。このような現状をふまえて、世界保健機関(WHO)は高齢者の健康度の物差しとして、病気による死亡率や病気にかかっている罹患率ではなく、生活機能の自立度(独力で日常生活を営む能力)を重視すべきであるという考え方を提案しました。

 生活機能の自立度を測る物差しとしては、歩行、食事、排泄、入浴、着脱衣などの日常生活動作能力(ADL)、さらに高度な能力として買い物、家計、電話、薬の管理、旅行ができるなどの手段的(インストゥルメンタル)ADLがあります。精神的機能も重要で、これには認知機能、情緒が含まれます。さらには社会的役割を果たす能力、つまり余暇活動や創作などの積極的な知的活動も必要であると考えられています。

最も重要な食生活

 高齢者が健康で元気に暮らすためには毎日の食事が最も重要で、栄養のバランスのとれた食事が基本になります。高齢者には、加齢に伴うさまざまな身体機能の低下が認められます。

 食生活に関わるものとしては咀嚼力の低下、唾液や消化液の分泌量の低下、味覚の鈍化、大腸のぜん動運動の低下による便秘、飲水量の減少による脱水状態などがあげられます。しかし、一口に高齢者といっても生活環境、家族構成、経済的状況などの違いにより食生活の実態には大きな差があり、また、老化現象の進行にも個人差があるので“平均的”とか“標準化”というとらえ方はできません。

 高齢者はとかく自分の好きな食品や、食べ慣れた食品ばかりを食べる傾向にあります。これでは栄養素の摂取に偏りが生じるので、1日に25〜30品目の食品を食べるように心がける必要があります。朝食もしっかり食べることが必要で、1食でも抜くと25〜30品目をとることが難しくなります。とくに野菜は、できるだけ多くの種類をとるようにします。

 歯の欠損などにより咀嚼能力が低下している人が多いので、軟らかく食べやすく調理します。毎日の食事のリズムは規則正しく、食べる量は常に腹八分目、食事はなるべく家族といっしょにとるようにします。「食は命」という言葉がありますが、健康づくりには食生活が最も重要であることを肝に銘じる必要があります。

定期的な運動を欠かさずに

 次に健康を保つうえで重要なことは、定期的に運動をすることです。高齢者には高血圧、心臓病、骨粗鬆症、変形性関節症などの合併症をもっている人が多く、筋力が低下するために体の安定性が悪く、転びやすいなどのハンディキャップがあります。しかし、体の自立機能を保つだけでなく、社会的活動性を保つためにも定期的な運動は欠かせないものです。

 どのような運動がよいのか一概にはいえませんが、三日坊主に終わらせないために、なるべく簡単で、あまり体に負担のかからない運動がよいでしょう。たとえば、週3回以上、30分〜1時間程度の散歩をするくらいで十分ではないかと思います。この程度の運動で脳卒中や心筋梗塞による死亡率が減ったり、認知症の発症が減ったというデータが外国で報告されています。

(執筆者:折茂 肇