どのような状態か

 舌がもつれたり、ろれつが回らなくなったりするとは、舌が滑らかに動かないために話しにくく、言葉が不明瞭になることを意味します。こうした話し言葉の障害は、主に非流暢性失語症や運動障害性構音障害によって起こります。

 失語症とは、大脳皮質の言語領域の損傷により言語を操作する能力が後天的に損なわれた状態です。話す・聴く・読む・書くのすべての言語側面に何らかの異常がみられますが、発話自体は流暢な場合とそうでない場合があります。通常、失語症は左大脳半球の損傷によってもたらされるため、多くの場合、右半身の運動麻痺や感覚障害を伴います。

 一方、構音障害は、舌やのどなどの構音器官の運動障害によって発語が不明瞭になった状態です。構音障害には、しばしば嚥下障害(飲み込みにくさ)を伴います。

必要な検査と疑われる病気

 舌のもつれやろれつの回りにくさを自覚したら、すみやかに医師の診察を受けてください。これらの症状は、高齢者では脳梗塞や脳出血によって起きることが多いのですが、パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症などの神経疾患によることもあります。脳梗塞や脳出血は、頭部CTやMRI検査によって診断が確定されます。舌そのものの異常が感じられる時には、舌腫瘍などを疑うことも必要です。

 言葉そのものについての検査は、言語聴覚士によって行われます。言語聴覚士は、言語障害や嚥下障害のリハビリテーションにも携わります。

家庭での対処のしかた

 舌のもつれは、急いだり緊張したりするとよけいにひどくなるので、落ち着いてゆっくり話すよう心がけることが大切です。周囲の人も何度も聞き返したりする代わりに、推理をはたらかせて聴きとる努力をしたいものです。

 また、コミュニケーションの手段は話し言葉だけではないので、文字やジェスチャーなどの代替手段を工夫することも役立ちます。

(執筆者:飯島 節