どのような状態か

 胃がもたれるとは、何となくみぞおちのあたりが張って気分が悪いという症状で、医学的には「心窩部不快感」といいます。

 「心窩部不快感」は、消化器にがんや潰瘍などの器質的疾患がある場合、消化管には器質的疾患が認められないが蠕動運動の低下などの機能的な異常がある場合、糖尿病、貧血、感染症、ホルモン異常などの全身性疾患や心血管系、脳神経系などの臓器の疾患が原因となる場合に生じます。

必要な検査と疑われる病気

 原因となる病気の診断では、器質的疾患を念頭において検査が進められます。血液、尿、便検査、腹部単純X線写真をはじめとして、内視鏡検査あるいは消化管X線造影検査が行われます。

 内視鏡検査では胃がん、胃・十二指腸潰瘍、慢性胃炎などが診断できます。胃がんの最終的な診断には、生検と呼ばれる病理組織検査が必要ですが、消化管X線造影検査では生検が行えないので内視鏡検査が必要になります。

 さらに、必要に応じて腹部超音波、腹部CT、腹部MRI検査などを行い、消化管以外の肝臓、胆嚢、膵臓などの臓器の器質的疾患を調べます。明らかな器質的疾患が認められない場合は、機能的な異常が原因であると診断します。

家庭での対処のしかた

 症状が一時的なものは心配ありませんが、何週間も続く場合、痛みや嘔吐を伴う場合、食欲が落ちて体重が減ったりする場合には医師の診察を受けましょう。

 高齢者の胃もたれの原因として最も多いのは、60歳以上の約7割がかかっている慢性胃炎です。慢性胃炎では胃の動きや胃酸の分泌が低下します。慢性胃炎の方でとくに食後に胃もたれがある場合には、消化管運動機能改善薬や消化剤などが有効ですが、お酒、たばこを控える、刺激物を避けて消化のよいものをよく噛んで食べるなどの生活上の工夫も大切です。

 胃・十二指腸潰瘍は原則として薬で治りますが、ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)に感染している人は再発しやすいので、菌を殺す治療(除菌療法)が再発予防に有効です。がんと診断された場合は、原則として手術が必要になりますが、早期の胃がんでは内視鏡を使って切除できる場合もあるので、詳しくは主治医と相談してください。

(執筆者:伊藤 俊之