どのような状態か

 血尿とは、尿のなかに血液が混ざっている状態です。尿に血液が大量に混ざっていれば、尿は赤色または褐色となり、肉眼でもわかります。これを肉眼的血尿といい、ごくわずかに血液が混じり、顕微鏡で見ないとわからない場合を顕微鏡的血尿といいます。

 血尿は、図5に示したように腎臓に始まり、尿管、膀胱、尿道に連なる尿路(尿が産生され、通る路)のどこから出血しても起こります。男性の場合、前立腺も尿道に接しているので、前立腺から出血している場合もあります。

疑われる病気

 さまざまな病気が原因になって血尿が出ます。主に腫瘍(がんなど)、結石、炎症、内科的な病気としての腎炎(浮腫、高血圧、蛋白尿、低蛋白血症、尿に異常成分がみられる病気)などです。

 高齢者でとくに気をつけなくてはならないのは、膀胱にできる腫瘍(膀胱がん)です。肉眼的血尿が数日間続き、その後、尿がきれいになってしまうことが多いので、うっかりすると病気を見逃してしまいます。肉眼的血尿に気づいたら、必ず専門医を受診してください。腎臓、尿管、尿道にも腫瘍ができますが、膀胱ほど多くはみられません。

 尿路に結石ができると血尿が出ますが、顕微鏡的血尿のことが多く、一般的にかなりひどい痛みを伴います。

 炎症としては膀胱炎が大多数です。この場合、血尿というよりは尿のにごりが目立ち、排尿する時の痛み、排尿回数の増加(頻尿)が主症状となります。

 内科的な病気としての腎炎では、顕微鏡的血尿のことが多く、若い人に起こります。若い時に腎炎にかかったことがある人は、高齢になって再発することがあるので注意を要します。

 そのほか、男性では前立腺肥大症、前立腺がんでも血尿が出ます。また、やせ型の人では、腎臓が呼吸や運動に伴って上下に動きやすい状態(遊走腎、腎下垂の状態)になっているために、腎臓の血流動態が変わり、血尿が出ることがあります(特発性腎出血)。この場合、毎年の健康診断で血尿を指摘され、困惑することが多いようです。

家庭での対処のしかた

 いずれにしても、血尿に気づいたら必ず専門医の診察を受け、その原因をはっきりさせることが重要です。

(執筆者:阿曽 佳郎