どのような状態か

 排尿の回数が多いことです。一般的に年をとると膀胱の容量(膀胱にためることができる尿の量)は減ります。また、排尿筋が敏感になり、若い時は300ml以上もためることができたのに、少ない量でがまんできなくなり、そのため、若い時より排尿回数が多くなります。

 しかも、尿量を制限するホルモンの分泌が、若い時は夜多く分泌されて夜間の尿量を少なくしていたのに、年をとるとこのホルモンの分泌が夜も昼も同じになる(日内リズムがなくなる)ために、夜間の尿量が多くなり、夜間頻尿となることも考えられます。

 また、加齢とともに動脈硬化で腎臓の血流も少なくなり、とくに昼間は立った状態でさまざまな器官へ血流を送るため腎臓へ十分血流がいかず、尿の産生も抑えられています。ところが、夜になって横になると、手足などには多量の血流は必要なくなり、その分、腎臓に血液が供給されて尿量が増え、これも夜間頻尿の原因となります。

 以上のような理由で、夜間の尿量が増えるため、高齢者では昼間だけではなく、とくに夜間の排尿回数が多くなるのが特徴です。さらに、男性では前立腺肥大症がある場合、膀胱が肥大した前立腺により刺激されるので余計排尿の回数が多くなります。

 それでは、実際の排尿回数は何回以上を頻尿というのでしょうか。個人により異なりますが、若い時の排尿回数より昼、夜ともに2〜3回以上多くなっていれば頻尿といえるでしょう。たとえば、若い時に昼4〜5回、夜0回の人が、高齢となって、昼7〜8回、夜3回となったなら頻尿といえます。

疑われる病気

 頻尿は、何らかの原因で排尿筋が刺激されて、頻回に収縮を起こすために起こります。原因は膀胱の炎症、腫瘍、前立腺肥大症、前立腺がん、のこともありますし、脳、脊髄、末梢神経障害を示す各種の神経疾患によることもあります。また、排尿筋そのものの変化による場合もあります。

 いちばん多いのは膀胱炎です。男性の高齢者では、前立腺肥大症とがんそのものでも頻尿になりますが、残尿感が多くなり、膀胱炎を起こすと、さらにひどくなります。女性の高齢者では、子宮がんなどで骨盤内手術を受けたことのある人は、膀胱収縮筋を支配する神経がおかされ、残尿を生じ、とくに膀胱炎になりやすいことがあります。また、膀胱炎の治療をしても頻尿が改善しない場合、膀胱がんの可能性があるので注意を要します。

 排尿筋そのものが過敏となり、収縮しやすくなっている過活動膀胱といわれる状態でも頻尿になります。また、脳卒中後のような神経異常でも頻尿がみられます。

 病気と思われる状態がなくても、たとえば試験前に緊張すると頻尿になるのは、脳の排尿中枢が緊張により刺激されるためです。

(執筆者:阿曽 佳郎