ばるとりんせんえんバルトリン腺炎<女性の病気と妊娠・出産>

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バルトリン腺炎とはどんな病気か

 バルトリン腺は、大前庭腺(だいぜんていせん)とも呼ばれるエンドウ豆大の分泌腺で、腟前庭の後部に位置します。その排泄管(はいせつかん)は約2cmで、処女膜の外側の腟口に開口します。バルトリン腺はその位置から、細菌による炎症を繰り返しやすいところです。
 バルトリン腺炎は性活動との関連が深く、性成熟期女性の各年齢層に多く発症します。起炎菌は、近年では淋菌(りんきん)によることは少なく、ブドウ球菌、連鎖球菌(れんさきゅうきん)、大腸菌をはじめとして、好気性菌(こうきせいきん)や嫌気性菌(けんきせいきん)、これらの混合感染によることが多くみられます。カンジダ、トリコモナス、クラミジアが感染することもあります。
 バルトリン腺炎は急性型と慢性型に分類され、前者にバルトリン腺炎とバルトリン腺膿瘍(のうよう)が、後者にバルトリン腺嚢胞(のうほう)が含まれます。

症状の現れ方


(1)急性バルトリン腺炎

 まず、排泄管に炎症が起こり、開口部が赤くはれて痛みを感じます。さらに、炎症が深部に及んで、排泄管開口部がふさがると、うみが排泄管内にたまって膿瘍(バルトリン腺膿瘍)を形成します。膿瘍は外側に膨隆(ぼうりゅう)し(ふくらみ)、腫瘤(しゅりゅう)として触れるようになります。
 炎症が進行して腺に及ぶと、はれ、痛みが強くなります。とくに座った時、歩行した時に強い痛みを感じます。この時、腫瘤部分より膿性の分泌物を認めることがあります。その他、外陰部の違和感、発赤、熱感などを自覚します。
 通常は片側に発症しますが、両側の場合は淋菌による病気を考える必要があります。
(2)慢性バルトリン腺炎
 慢性バルトリン腺炎であるバルトリン腺嚢胞は、急性期を過ぎて慢性型に移行したものや、最初から慢性の経過をとるものがあります。
 嚢胞の多くは、炎症の消失後や炎症を繰り返すことによって、排泄管に分泌物がたまって形成されます。このほかに、分娩時の会陰切開(えいんせっかい)や会陰裂傷(えいんれっしょう)の縫合時に、排泄管を結紮(けっさつ)(しばる)することによって起こるものもあります。嚢胞は、大陰唇(だいいんしん)後方の皮下に腫脹(しゅちょう)した腺体や、拡大した排泄管が触知されます。
 症状は軽く、歩行時や性交時の違和感程度です。

検査と診断

 診断は、症状と触診でほぼ可能です。補助診断として、CT、MRI検査を行うこともあります。また起炎菌を検索するため、必ず細菌培養検査を行います。
 視診では、分泌物の性状をみます。触診では、腫瘤の性状や、圧痛などの炎症所見をみます。これによって、バルトリン腺炎、膿瘍、または嚢胞の区別がつきます。
 区別すべき病気には、線維腫(せんいしゅ)、脂肪腫(しぼうしゅ)などの良性のものやバルトリン腺がんなどの悪性腫瘍があります。このため、細胞診や病理組織検査が必要になることもあります。

治療の方法

 急性型の炎症では抗生剤の投与を行います。抗生剤は、起炎菌に適合したものを選ぶべきですが、菌の特定に日数を要する時には、一般的な起炎菌に適合するものを選択します。ペニシリン系、セフェム系、ニューキノロン系などの薬剤が使われます。
 膿瘍を形成した場合や、慢性型の嚢胞に対しては手術療法を行います。
(1)切開、ドレナージ(排液)
 切開は縦切開で十分な長さに行い、ドレーン(排液のための管)を挿入します。ただし、一時的に症状が消失しても、創縁(そうえん)が癒合(ゆごう)して再発することが多くみられます。
(2)造袋術(ぞうたいじゅつ)
 バルトリン腺の生理的分泌機能を温存することが可能で、性行為を行う患者さんには有効です。小陰唇(しょういんしん)の内側を切開してうみを出したあと、切開部を開いたままの形で縫合し、開口部にする方法です。簡単な手術で効果的ですが、再発することもあります。
(3)摘出術
 再発を繰り返す場合や造袋術が不成功になった場合に行います。出血しやすいなど、手術は必ずしも簡単とはいえません。再発はありませんが、分泌機能がなくなるため、性交障害が起こることがあります。

バルトリン腺炎に気づいたらどうする

 外陰部に痛み、熱感を感じた場合や、腫瘤を触れたり違和感を感じた場合は、産婦人科を受診し、適切な診断および治療を受けることが必要です。

(執筆者:藤原 敏博

※初診に適した科を掲載しています。なお病院・診療所によって診療科目の区分は異なりますので、受診の際はよくご確認ください。


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