ひだいがたしんきんしょう肥大型心筋症

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肥大型心筋症とはどんな病気か

 肥大型心筋症は、心筋の細胞が大きくなって、とくに心室の心筋があちらこちらで部分的に厚くなる心筋症です。
 心筋が厚くなると、心臓内部の空間が狭くなって、心臓は十分な量の血液を送り出せなくなります。厚くなる部分が心室上部の流出路付近にある場合には血液の出口を狭めてしまい、さらに血液を送り出しにくくなります。このような状態の有無で閉塞性(へいそくせい)肥大型心筋症と非閉塞性(ひへいそくせい)肥大型心筋症に分類されます。
 閉塞性肥大型心筋症の場合、流出路に近く、また心筋が厚くなるほど重症になります。非閉塞性心筋症のなかに、とくに心臓の底の部分(心尖部(しんせんぶ))の心筋が厚くなる心尖部肥大型心筋症(しんせんぶひだいがたしんきんしょう)と呼ばれるものがあり、日本人によくみられます。

原因は何か

 特定の原因がはっきりしていないため、診断は高血圧、大動脈弁疾患、先天性心疾患、貧血および甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)など心肥大を来すさまざまな疾患を除外することによって行われます。
 最近、遺伝子の解析が急速に進歩したため、肥大型心筋症と遺伝子異常の関係が証明されるようになりました。肥大型心筋症は、従来から常染色体優性遺伝形式をとることが多いことが指摘されていましたが、今までの遺伝子解析で、β(ベータ)ミオシン重鎖(じゅうさ)や心筋トロポニンT、ミオシン結合蛋白Cなどの心筋収縮関連蛋白の遺伝子異常が確認されています。また、遺伝子異常の種類と生命予後との間には一定の関連があることも明らかにされてきています。

症状の現れ方

 肥大型心筋症では、重症になると運動した時などに動悸(どうき)や息切れ、胸痛などを感じることがありますが、多くの場合、これといった自覚症状が出ることはありません。自覚症状がないまま、突然死するケースもあります。閉塞性肥大型心筋症の場合、失神発作が発見のきっかけになることもあります。

検査と診断

 心電図は左心室肥大や非特異的ST‐T変化などさまざまな異常所見を示します。肥大型心筋症の診断では心臓超音波検査はとくに有用です。心筋の厚くなっている部分の分布を調べたり、心臓全体の収縮力の状態について簡単に評価できます。さらに閉塞性肥大型心筋症の場合には、心室流出路付近の狭くなってしまっている部分の血流の速さをドプラー法を用いて測定し、重症度を調べることが可能です。最近では、超高速心電図同期CTやシネMRIなど新しい画像診断技術が応用されてきています。
 二次性心筋症との区別が困難な場合には心内膜心筋生検(組織をとって調べる)が行われます。肥大型心筋症の場合、心筋細胞の錯綜(さくそう)配列(乱雑に配置している様子)など特徴的な所見がみられます。

治療の方法

 肥大型心筋症では、β遮断薬やカルシウム拮抗薬、ジソピラミド(リスモダン)などが処方されます。これらの薬剤は、心臓の弾力性を保ったり、左心室の流出路の狭窄(きょうさく)を軽減したりする目的で用いられます。軽症の場合は薬物治療により多くの例で失神などの症状をなくすことが可能ですが、重症患者では効果が得られないことも少なくありません。
 左心室の流出路付近が狭まる閉塞型心筋症については、かつては流出路の筋肉を切って血液が流れやすくする手術が多く行われていました。最近では、手術療法に代わる治療法としてペースメーカーの植え込みによる治療が行われます。
 この治療法は左心室の流出路に狭窄がある患者さんに対して、右心室へ外的な電気刺激を与えることにより心筋の収縮リズムをコントロールするペーシングを行うと、左心室側の収縮に遅れが生じて左心室流出路の狭窄が著しく軽減することを利用したものです。ぺースメーカーの植え込み後は、ほとんどの症例で短期間のうちに失神発作などの症状がなくなります。
 また、狭心症(きょうしんしょう)や心筋梗塞(しんきんこうそく)の治療に用いられる心臓カテーテル治療の技術を応用した治療も行われるようになっています。これは、厚くなった心筋に栄養を送っている冠動脈の枝にエタノールを注入して、その筋肉を部分的に壊死させることにより、狭窄を軽くするというものです。この治療法による効果はペースメーカー療法で得られる効果より大きく、心筋切除術の効果に匹敵します。
 ただし、この治療法は始められてからまだ日が浅く、そのうえ、大きな心筋梗塞や重症の不整脈など深刻な合併症を起こす可能性があります。この治療法を選択するのは、他の治療法がすべて無効であった場合などに限られているのが現状です。

(執筆者:前嶋 康浩

※初診に適した科を掲載しています。なお病院・診療所によって診療科目の区分は異なりますので、受診の際はよくご確認ください。


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