きょうまくえん胸膜炎

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胸膜炎とはどんな病気か

 胸膜とは、肺の表面をおおう臓側(ぞうそく)胸膜と、胸壁、横隔膜(おうかくまく)、縦隔(じゅうかく)をおおう壁側(へきそく)胸膜からなっています。両胸膜に囲まれた部分が胸膜腔で、ここに胸水がたまる病気を胸膜炎と呼びます。

原因は何か

 胸膜炎の原因としては、感染症、悪性腫瘍が主なものであり、膠原病(こうげんびょう)、肺梗塞(はいこうそく)、石綿肺(せきめんはい)も胸水がたまる原因になります。低蛋白血症(ていたんぱくけっしょう)や、うっ血性心不全でも胸水がたまります。
 感染症のなかでは、結核(けっかく)や細菌感染によるものが多く、悪性腫瘍では肺がんによるものが多いといわれ、それぞれ、結核性(けっかくせい)胸膜炎、細菌性胸膜炎、がん性胸膜炎と呼ばれています。

症状の現れ方

 最初の症状としては胸痛が多く、この胸痛は深呼吸や咳(せき)で増悪(ぞうあく)するのが特徴です。原因が感染症であれば、発熱を伴います。咳も出ますが痰は少なく、胸水が増えてくると呼吸困難を感じるようになります。

検査と診断

 胸膜炎は、医師の聴打診のみでも診断がつくことがあります。胸水のたまった部位が打診で濁音(だくおん)を示し、呼吸音が弱くなり、特徴的な胸膜摩擦音(まさつおん)(臓側胸膜と壁側胸膜がすれる音)が聞かれる場合です。
 胸部X線検査で胸水がたまっているのが明らかにされます(図45)。胸水が少量の場合には、胸部CT検査で初めて診断がつく場合もあります。
 胸膜炎の原因を調べるために、胸水検査が行われます。肋骨と肋骨の間から細い針を刺し、胸水を採取します。採取した胸水が血性であれば、結核や悪性腫瘍を疑います。
 次いで胸水の比重や蛋白濃度を調べ、いずれも高値(比重1・018以上、蛋白3・0gdl以上)であれば滲出液(しんしゅつえき)と呼び、感染症、悪性腫瘍などを疑います。いずれも低値であれば漏出液(ろうしゅつえき)と呼び、低蛋白血症やうっ血性心不全が原因です。
 胸水中の白血球分類が行われ、好中球が増えていれば細菌感染が原因であり、リンパ球が増えていれば、結核や悪性腫瘍が原因として考えられます。
 悪性腫瘍や結核の確定診断は、胸水から悪性細胞や結核菌を証明することです。また、胸水中のADA(アデノシン・デアミナーゼ)の上昇(50U以上)は、結核を診断する有力な方法です。
 胸水の検査だけで診断が得られない場合には、胸腔鏡を用いて胸腔内を肉眼的に観察し、病変と思われる部位を生検して確定診断をする場合もあります。

治療の方法

 細菌感染によるものであれば、抗菌薬の点滴が行われます。抗菌薬は、初期にはペニシリンやセフェム系の薬剤が投与される場合が多く、起炎菌がわかれば、より感受性のある薬剤が選択されます。重症例にはカルバペネムという強力な抗菌薬が投与されます。
 結核が原因であれば、ストレプトマイシン、リファンピシン、イソニコチン酸ヒドラジド、エタンブトール、ピラジナマイドなどの抗結核薬で治療します。
 悪性腫瘍が原因であれば、胸腔ドレナージを行います。胸腔ドレナージとは、肋骨と肋骨の間から細いチューブを胸腔内に挿入し、器械で胸水を体外に汲み出す方法です。胸水が減った時点で、アドリアマイシンなどの抗がん薬やピシバニールを注入し、胸水が再びたまるのを予防します。同時にシスプラチンなどの抗がん薬の全身投与を行います。
 細菌や結核による胸膜炎の予後は一般的には良好ですが、悪性腫瘍によるものでは極めて不良です。

胸膜炎に気づいたらどうする

 深呼吸や咳で増悪する胸痛を自覚すれば、胸膜炎を疑い、早めに内科を受診します。とくに喫煙者の方が前期の症状を感じれば、悪性腫瘍によるものの可能性があるので、至急に内科を受診します。

(執筆者:沖本 二郎

※初診に適した科を掲載しています。なお病院・診療所によって診療科目の区分は異なりますので、受診の際はよくご確認ください。


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