ふくまくしゅよう腹膜腫瘍

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腹膜腫瘍とはどんな病気か

 腹膜腫瘍には、原発性(げんぱつせい)と続発性(ぞくはつせい)があります。原発性の腫瘍は、腹膜中皮腫(ふくまくちゅうひしゅ)と呼ばれる悪性腫瘍が代表的で、比較的まれな疾患です。
 一方、続発性には、がん性腹膜炎という腹膜疾患のなかで最も頻度が高く、胃がん大腸がん膵臓(すいぞう)がんなどが進行し、播種性(はしゅせい)(広範囲に散布された状態)に腹膜に広がった状態を示す悪性疾患があります。その他、腹腔内に粘液のような物質が限局性またはびまん性に増殖する比較的悪性度の低い腹膜偽粘液腫(ふくまくぎねんえきしゅ)や、腹腔のなかで後腹膜腔に発生する良性・悪性のさまざまな後腹膜腫瘍(こうふくまくしゅよう)などが含まれます(表8)。

原因は何か

 腹膜中皮腫は、胸膜(きょうまく)・心膜(しんまく)・腹膜を原発とする中皮腫全体の約4分の1を占めています。原因は明らかではありませんが、50〜60代の石綿(せきめん)(アスベスト)工業関係者に多く、アスベストとの関連性が指摘されています。
 がん性腹膜炎は、胃がん大腸がん膵臓がん、胆道がん、卵巣がんなどの原発巣からがん細胞が血流やリンパ管を介して、あるいは直接的に腹膜に散布され播種性に広がる、いわゆるがんの末期状態となることが原因です。
 腹膜偽粘液腫は、がん性腹膜炎の亜型(あけい)ともいわれ、虫垂(ちゅうすい)・卵巣の粘液性嚢胞腺(ねんえきせいのうほうせん)がんなどの粘液産生腫瘍が原発巣として報告されています。
 一方、後腹膜腫瘍は、後腹膜腔にあるあらゆる組織、すなわち結合組織、脂肪組織、血管、リンパ管、筋肉組織、神経組織などから腫瘍が発生します。さらにそれぞれに良性・悪性があり、表8にまとめを示します。

症状の現れ方

 腹膜中皮腫では、腹痛、腹部膨満感(ぼうまんかん)、発熱、全身の倦怠感(けんたいかん)、体重の減少など、さまざまな症状が現れます。進行が速く、6カ月以内に死亡する場合もあります。
 がん性腹膜炎では、自覚症状として吐き気、食欲不振、便秘、腹部膨満感が現れます。さらには、腹部の腫瘤(しゅりゅう)、腹痛を伴うこともあります。本症は、いわゆるがんの末期であり、悪液質(あくえきしつ)による全身倦怠感(けんたいかん)、るいそう(激しいやせ)もみられます。
 腹膜偽粘液腫は、一般に長期の経過をたどるものが多く、初期では無症状の場合が多くみられます。病期の進行とともに、便秘、悪心、食欲不振などの症状を示します。
 後腹膜腫瘍に特有な症状はなく、腫瘤を腹部に認めて受診する場合が多くみられます。時に吐き気、嘔吐、腹部膨満感などの症状を訴えることがあります。後腹膜にある臓器を圧迫するために十二指腸狭窄、尿管狭窄などの症状を示すことがあります。

検査と診断

 腹膜中皮腫では、まず石綿(アスベスト)などの曝露歴の有無を十分に問診します。
 腹膜中皮腫、がん性腹膜炎、腹膜偽粘液腫、後腹膜腫瘍では、ともに腹部超音波検査や腹部CT検査が腫瘍の広がりを診断するのに最も有用です。確定診断には腹水の細胞診が有用とされていますが、その判定は容易ではなく、鑑別診断が困難な場合もあります。

治療の方法

 腹膜中皮腫、腹膜偽粘液腫の治療は、可能なかぎり外科的に腫瘍を切除することです。時に抗がん薬による化学療法および放射線療法を併用することもあります。
 がん性腹膜炎では、対症療法が行われるだけで積極的な治療は行いません。抗がん薬を腹腔内に投与することもありますが、効果はあまり期待できません。
 後腹膜腫瘍は、手術による腫瘍の摘出が第一選択です。良性の場合には、腫瘍がかなり大きくても積極的に切除が行われます。一方、悪性腫瘍の場合には切除しても再発する可能性が高く、切除不能例では抗がん薬による化学療法や放射線療法が行われます。

腹膜腫瘍に気づいたらどうする

 先に述べた症状で腹部膨満感を中心に吐き気、嘔吐、食欲不振、腹痛、腹部の腫瘤、さらに、るいそう、全身倦怠感などの悪液質(全身が極めて衰弱した状態)を示す症状がみられる場合には、早めに内科を受診してください。

(執筆者:棟方 昭博

※初診に適した科を掲載しています。なお病院・診療所によって診療科目の区分は異なりますので、受診の際はよくご確認ください。


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