ていけっとうしょう低血糖症

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低血糖症とはどんな病気か

 血糖値は食事によって多少の変動をしています。血糖値がこの正常な変動幅を超えて低いほうに傾き、それによる症状が現れた時、低血糖症といいます。
 血糖値の正常な変動幅は、だいたい70〜120mgdlの間におさまっています。しかし、絶食時間の長さ、年齢、性や妊娠の有無などによって、正常な人でも通常示さないような低い血糖値を示すことがあります。この場合、いらいら感が強いくらいの症状でおさまることが多いようです。
 このように血糖値が正常域を外れて低くなっても、症状が出にくいこともあります。これは低血糖症を起こす血糖値を数字で表すことができないことにも関連しています。実際に血糖値でいくつ以下から低血糖である、ということは断言できません。

原因は何か

 外因性の原因として多いのは、糖尿病治療薬(インスリンや経口血糖降下薬)によるもの、アルコール摂取(とくに空腹時の)によるもの、抗不整脈薬などの薬剤によるものなどです。
 内因性の原因として、反応性低血糖と呼ぶもの(胃切除後のダンピング症候群や胃下垂(いかすい)の人、またインスリン感受性の高い人)がありますが、食事のとり方に注意することで予防することができます。
 治療が必要な内因性低血糖の第1位はインスリノーマ(膵臓β(ベータ)細胞の腫瘍性増殖(しゅようせいぞうしょく))、第2に平滑筋肉腫(へいかつきんにくしゅ)や肝がんなどの腫瘍によるもの、第3はインスリン自己免疫症候群です。
 インスリン自己免疫症候群とは、インスリン注射の治療をしたことがないのにもかかわらず自発性低血糖を起こし、血中に大量のヒトインスリンと、このインスリンの90%以上と結合した抗体が存在する疾患です。
 低血糖の持続期間の約70%は3カ月以内で、約80%は自然に治ります。早朝の空腹時低血糖でよく発見されますが、食後3〜5時間後の低血糖(反応性低血糖)を起こすこともよくあります。

症状の現れ方

 一般に低血糖症状は、自律神経症状と中枢神経症状とに分けられます。
 血糖値が急激に下がる時は自律神経症状が強く、血糖値が緩やかに下がる時は中枢神経症状が強く出ます。
(1)中枢神経症状
 意識の混乱、おかしな行動、集中力の散漫、眠気、発語困難、頭痛、複視(ふくし)、けいれん、昏睡(こんすい)などです。
(2)自律神経症状
 空腹、発汗、震え、不安、動悸(どうき)、口唇乾燥などです。自律神経症状は主にインスリン拮抗ホルモンの作用によります。インスリン拮抗ホルモンとは、低血糖になると分泌が亢進するホルモンで、アドレナリン、グルカゴン、コルチゾール、成長ホルモンなどがあります。
(3)無自覚性低血糖
 その他に、無自覚性低血糖があります。本人が低血糖症状を発しない(狭義には低血糖症状を自覚できない)、他人の介助を必要とするものをいいます。低血糖をしばしば起こしていると、中枢神経や自律神経の症状を起こす閾値(いきち)(それを超えると症状を起こす値)が低下してしまい、インスリン拮抗ホルモンの反応も低下するためといわれています。
 糖尿病神経障害が存在したうえに無自覚性低血糖が起きると、生命に危険を及ぼすこともあります。

検査と診断

 まず血糖を測定します。できるだけ低血糖を起こした時ないし直後に測定します。いつ低血糖を起こしたかも重要です。
 血中のインスリン値やインスリン抗体を測定することによって、インスリン自己免疫症候群の診断に近づきます。絶食試験(48時間絶食して低血糖が起きるかどうか調べる検査)によって、インスリノーマの診断に近づきます。また75gブドウ糖負荷試験、インスリン負荷試験なども行います。同時にインスリン拮抗ホルモンも測定します。
 インスリノーマや膵外腫瘍(すいがいしゅよう)の診断には超音波画像診断、CT、選択的血管造影などを行います。
 インスリノーマの確定診断には、選択的カルシウム動注負荷後(どうちゅうふかご)肝動脈採血法があります。

治療の方法

 低血糖に対してはブドウ糖の静脈注射、グルカゴンの筋肉注射または皮下注射を行います。インスリノーマに対しては腫瘍を切除します。インスリン自己免疫症候群に対しては分割食(1日6回の食事にする)、さらにα(アルファ)‐グルコシダーゼ阻害薬の投与が有効です。

低血糖症に気づいたらどうする

 甘いものを摂取してみて、それで症状がよくなるなら低血糖の可能性があります。再度症状が出たら、近くの医療機関で血糖値を測定してもらってください。

(執筆者:内潟 安子

※初診に適した科を掲載しています。なお病院・診療所によって診療科目の区分は異なりますので、受診の際はよくご確認ください。


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