パクリタキセル注の効能・用量・副作用など

パクリタキセル注の基本情報

1960年代後半にNCI(アメリカがん研究所)が大規模なスクリーニング・プログラムの一環として,太平洋イチイの樹皮の粗抽出物を試験した結果,それからの抽出物質であるパクリタキセルが幅広い抗腫瘍活性を示しました。
しかし,原料の供給の問題や副作用のため,それに代わるものとして西洋イチイの針葉から抽出したドセタキセルが開発されました。

処方薬/市販薬 処方薬/ジェネリック
分類 植物・動物由来製剤>イチイ由来抗腫瘍薬>パクリタキセル
形状 注射用剤
製造販売会社 日本化薬
保険薬価 注射用剤30mg5mL 1瓶 6,530.00円
注射用剤100mg16.7mL 1瓶 19,105.00円
同じ分類の薬 先発薬: タキソテール点滴静注用  タキソール注射液  アブラキサン点滴静注用    ジェネリック薬: パクリタキセル注射液  パクリタキセル注 

パクリタキセル注の効果・効能

[ドセタキセルの適応症]乳がん,非小細胞肺がん,胃がん,頭頸部がん,卵巣がん,食道がん,子宮体がん,前立腺がん
[パクリタキセルの適応症]卵巣がん,非小細胞肺がん,乳がん,胃がん,子宮体がん,再発または遠隔転移を有する頭頸部がん・食道がん,血管肉腫,進行または再発の子宮頸がん,再発または難治性の胚細胞腫瘍(精巣腫瘍,卵巣腫瘍,性腺外腫瘍)/〈アブラキサン点滴静注用の適応症〉乳がん,胃がん,非小細胞肺がん

パクリタキセル注の使用上の注意と副作用

警告

(1)[ドセタキセル]本剤の使用による骨髄機能抑制(主に好中球減少),重症感染症などの重い副作用や,本剤との因果関係が否定できない死亡例が認められています。
(2)[パクリタキセル]本剤の骨髄機能抑制に起因したと考えられる死亡例(敗血症,脳出血),また高度のアレルギー反応に起因したと考えられる死亡例が認められています。本剤による重いアレルギー症状の発現を防止するため,使用前には必ず前投薬を受けなければなりません(前投薬を実施した場合でも死亡例が報告されています)。重い過敏症状が発現したら,本剤を再使用してはいけません。
(3)両剤とも使用に際しては,緊急時に十分に措置できる医療施設で,がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師に,本剤の有効性・危険性を十分に聞き・たずね,同意してから治療を受けなければなりません。

基本的注意

*ドセタキセル(タキソテール点滴静注用)の添付文書による

(1)使用してはいけない場合……重い骨髄機能抑制/感染症の合併/発熱があり感染症が疑われる人/本剤の成分またはポリソルベート80含有製剤に対する重いアレルギーの前歴/妊婦または妊娠している可能性のある人
(2)慎重に使用すべき場合……骨髄機能抑制/間質性肺炎,肺線維症/肝機能障害/腎機能障害/浮腫(むくみ)のある人/妊娠する可能性のある人
(3)妊娠・避妊……妊娠する可能性のある人は原則として使用してはいけません(妊娠の維持,胎児の発育などに障害を与える可能性があります)。納得したうえで,やむを得ず使用するときは避妊を徹底してください。使用中に妊娠が確認された場合・疑われた場合はただちに中止します。
(4)外国での報告……(1)本剤の1回使用量を通常100mg/m²としている欧米では,浮腫(むくみ)の発現率・重篤度が高いとされています。浮腫は下肢からおこり,3kg以上の体重増加を伴う全身性のものになる場合があります。本剤を中止すると徐々に軽快します。
(2)肝機能異常のある人が本剤を使用すると,グレード4の好中球減少,発熱を伴う好中球減少,感染症,重い血小板減少,重い口内炎,皮膚剥離を伴う皮膚症状などが認められており,治療関連死の危険性が増加すると警告されています。
(5)感染症
……使用によって,感染症の発現または悪化がおこりやすくなるので,状態に十分注意してください。
(6)性腺への影響……生殖可能な年齢の人が使用すると,性腺に影響がでることがあります。処方医とよく相談してください。
(7)頻回に検査……骨髄機能抑制などの重い副作用がおこることがあるので,頻回に血液,肝機能,腎機能などの検査を受ける必要があります。
(8)二次発がん……本剤と他の抗がん薬や放射線療法を併用した人に,急性白血病,骨髄異形成症候群(MDS)が発生したとの報告があります。
(9)その他……
・授乳婦での安全性:使用するときは授乳を中止。
・小児での安全性:未確立。「薬の知識」共通事項のみかた

副作用の注意
重大な副作用

(1)骨髄機能抑制(白血球減少,好中球減少,血小板減少,汎血球減少など)。(2)ショック症状・アナフィラキシー(呼吸困難,気管支けいれん,血圧低下,胸部圧迫感,発疹など)。(3)黄疸,肝不全,肝機能障害。(4)急性腎不全などの重い腎機能障害。(5)間質性肺炎,肺線維症。(6)心不全。(7)播種性血管内凝固症候群(DIC)。(8)腸管穿孔(せんこう),胃腸出血,虚血性大腸炎,大腸炎(腹痛,吐血,下血,下痢など)。(9)腸閉塞。(10)急性呼吸窮迫症候群(呼吸障害など)。(11)急性膵炎。(12)皮膚粘膜眼症候群(スティブンス-ジョンソン症候群),中毒性表皮壊死融解症(TEN),多形紅斑などの水疱性・滲出性皮疹。(13)心タンポナーデ,肺水腫,緊急ドレナージを要する胸水,腹水などの重い浮腫・体液貯留。(14)心筋梗塞,静脈血栓塞栓症。(15)感染症(敗血症,肺炎など)。(16)意識障害などを伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)。(17)その他,重い口内炎などの粘膜炎,血管炎,末梢神経障害,四肢の脱力感などの末梢性運動障害など。
そのほかにも報告された副作用はあるので,体調がいつもと違うと感じたときは,処方医・薬剤師に相談してください。

パクリタキセル注が気になる人向けのコラム

【本当に怖い】初期症状がほとんどない食道がん

食道がんって?

食道(しょくどう、Esophagus)は、消化管の一部で、口腔、咽頭に続き、食物が胃に送り込まれるときに通過する管状の器官のこと。
食道とは - goo Wikipedia (ウィキペディア)

食道がんとは、... 続きを読む

子宮体がんと子宮頸がんの違いは? 女性に知ってほしいガンの症状

子宮にできるがんを「子宮がん」と呼びますが、子宮がんには「子宮体がん」と「子宮頸がん」があります。この2つはまったく別の種類のがんで、特徴も大きく異なります。「子宮体がん」と「子宮頸がん」、2つの違いについて、自治医科大学附属さいたま医療セ... 続きを読む

正常な細胞が子宮頸がんになるまで-HPV感染から異形成まで

「子宮頸がん」はウイルスによる感染が原因で起こるがんです。細胞ががんに変わるまでには、長い時間がかかります。正常な細胞が子宮頸がんになるまでの過程を自治医科大学附属さいたま医療センター産婦人科教授の今野良先生に解説してもらいました。 ... 続きを読む

子宮頸がんの細胞診とHPV検査-併用すれば予防により有効に

子宮頸がん検診には、細胞診とHPV検査があり、約50の市区町村では細胞診とHPV検査の併用検診が実施されています。細胞診とHPV検査について、自治医科大学附属さいたま医療センター産婦人科教授の今野良先生に伺いました。 細胞診とHPV検... 続きを読む

手術したら5年生存率や胃がんのステージ

胃がんの症状や原因

胃には、良性から悪性まで多様な腫瘍が発生しますが、臨床的に問題となる悪性腫瘍の95%程度は胃がんです。そのほかでは、リンパ腫や消化管間質腫瘍(しょうかかんかんしつしゅよう)(GIST)などが代表的な胃の腫瘍です ... 続きを読む