心理学用語「開かれた質問/閉ざされた質問」open question and closed question

カウンセリングにおける質問技法の中に、「開かれた質問(open question)」と「閉ざされた質問(closed question)」という技法があります。円滑なコミュニケーションを促進するための会話術や、コーチングの中でも取り上げられる技法で、現在非常に幅広い分野で知られる技法となっています。

ことカウンセリングという分野に限って述べると、1980年代にA.E.アイビィによって開発されたカウンセリングのスキルトレーニングプログラムである“マイクロカウンセリング”の中で、質問技法として取り上げられています。マイクロカウンセリングにおける質問技法とは、相手をスムーズに対話に誘うための技法とされています。「開かれた質問」「閉ざされた質問」は、それぞれ次のように定義されています。

■開かれた質問:応答内容を相手に委ねる質問形式のこと。導入のための質問(「どのようなことでいらっしゃいましたか?」など)・具体例を引き出す質問(「具体的にお話いただけますか?」など)・経過を聞く質問(「それでどうなりましたか?」など)・感情を聞く質問(「どのように感じましたか?」など)の4タイプがあります。

■閉ざされた質問:相手が「はい」「いいえ」あるいは一言で答えられるような質問形式のこと。たとえば、「お休みは土日ですか?」「ご出身はどちらですか?」などがあげられます。

開かれた質問で問いかけられると、尋ねられた側は質問に答えるために考える時間を必要とします。開かれた質問に対する応答は様々な情報を含んでいる可能性が高いため、その後の会話の深まりが期待できます。一方、閉ざされた質問に対する応答は「はい」か「いいえ」あるいは一言で答えることが可能なため、答えるために考えこむ必要がほとんどありません。そのため、質問する側は得たい情報だけを得ることができ、答える側は答えるのに苦労しなくてすみます。

一般的には会話を盛り上げたり、コミュニケーションを深めたりする場合には、開かれた質問を多く用いる方が良いと言われています。応答する側の自由度が高いため、内容に広がりが出るからです。しかし、たとえば初対面で緊張度の高い場面などにおいて、最初から開かれた質問ばかり投げかけられると、対話自体が苦痛になってしまう可能性もあります。それぞれの質問形式の特徴を捉え、閉ざされた質問で対話のテンポを上げながら、開かれた質問で相手に自由な発言をしてもらうという形が理想的といえます。

また、マイクロカウンセリングにおける「マイクロ技法の階層表」においては、上記の質問技法の土台となるものとして、「かかわり技法」が設定されています。つまり、どんなに巧みに質問技法を使いこなせたとしても、コミュニケーションの前提となる心地よいかかわりができていなくては、相手はスムーズに会話に応じてくれないということです。相手に関心を持つ・相手と適度に目を合わせる・相手に合わせたスピードで話すなどの行動があって初めて、質問技法は効果を発揮するといえます。

健康用語(メンタルヘルス編)

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