心理学用語「防衛機制」defence mechanism

オーストリアの精神科医であるジグムント・フロイトは、人間の無意識に注目し、精神分析学を創設しました。「防衛機制」とは、精神分析理論で用いられる概念のひとつです。

〜「防衛機制」とは〜
人は皆、時に危機的な状況に遭遇します。そういった時、自分の能力やリソースを活用し、なんとか乗り切ろうと試みます。しかし、それまでのやり方では太刀打ちできず、なす術がない時もあります。防衛機制とは、そういった状況下で生まれる、自ら受け入れがたい感情や体験を、ありのままに感じたり直面することを避けることで、心の安定や意識の連続性を維持しようとする無意識の働きです。

「防衛機制」には、いくつかの種類があります。今回は、主なものについて具体例を交えてご説明したいと思います。

●抑圧
苦痛な感情や記憶を、意識にのぼらないように閉め出す働きです。親から虐待を受けている子供が、親へのネガティブな気持ちを感じないように意識下へ押さえ込み、普段は感じないようにする等がこれにあたります。

●投影
自らの受け入れがたい感情や衝動を排除し、それがあたかも相手のものであるかのように位置づける働きです。認めたくはないものの、本当は嫌っている人への感情を排除し、逆に相手の方が自分を嫌っているように感じることが一例です。

●反動形成
自らの受け入れがたい衝動が抑えこみ、その反対のものに置き換える働きです。嫌いな上司へのネガティブな感情を抑え、逆に極端に丁寧に接したり、不自然に尊敬しようとするなどが具体例です。

●同一視
自分にとって重要な人の特徴を自分の中に取り入れ、自分を相手と同じものとみなす働きです。若い女性が、好きなモデルと同じ洋服を着たり、同じ髪型にするのは典型例です。

●補償
劣等感に対し、他の事柄で優位に立つことで、その劣等感を補おうとする働きです。勉強が苦手で劣等感を持っている子供が、スポーツを頑張ることで埋め合わせようとすることが一例です。

具体例をご覧いただければ、防衛機制は特別なものではなく、誰でも日常的に行っていることであることがお分かりいただけると思います。しかし、行き過ぎると自由を失い、心身に影響が出る場合もあります。

ご自分がどんな防衛機制をよく使う傾向にあるのかを振り返り、ご自分自身を知るツールとして活用されてみてはいかがでしょうか。

健康用語(メンタルヘルス編)

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