ラベリング理論(Labeling theory)

ラベリング理論(Labeling theory)とは、1960年代にハワード・S・ベッカーによって提唱された逸脱についての概念です。

ラベリングとは、ある人や事柄のごく一部を見ただけで、そのごく一部分が表現されるような名称を与え、それがその人や事柄の全てであると決め付けることを言います。たまたま机の上の書類が散乱していただけで、だらしが無いというラベルを貼り、決め付けるようなことです。

ラベリング理論では、社会から逸脱した行為を行う人は、その人の逸脱行為の動機や原因を問題とするのではなく、周囲の人がその人にラベリングすることによって逸脱者となっていくと考えたのです。この説明でよく用いられる喩えに、非行少年の話があります。例えば、素行に問題のある少年がいたとします。その少年がどんなに「自分は非行少年だ」と思っていても、それだけでは非行少年とはならないのです。周りの人が彼をそうラベル付けし、非行少年として扱うことによって初めて成り立つというわけです。

またこの理論では、ラベリングされた逸脱者は、そのラベルの行動を強化していくと考えています。先の非行少年も、その少年の素行のある一面に問題があっただけで、他にどんなにすばらしい面をもっていたとしても、ラベリングされ、周囲にそのように扱われることで、問題の行動がより悪化してしまうと考えられるのです。

会社や家庭でも同じようなことが行われています。出来ない部分だけを見て、その人を「駄目な人」と決めつけてしまうことはないでしょうか。周りがそう評価することにより、本人は益々自信をなくし、出来ていたことも出来なくなるという悪循環も出てくるかもしれません。

人間は誰しもが、プラスの側面もマイナスの側面も持ち合わせています。一部の、しかもマイナスの側面だけを見てラベリングするのではなく、多面的に評価しプラスの側面をラベリングすることが大切です。そして、周囲がその部分を認めていくことが、何より重要なのではないでしょうか。

健康用語(メンタルヘルス編)

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