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2014年、日本では約70年ぶりの国内感染例が確認され、大きな話題となったデング熱。国内感染の患者数は、昨年だけで162人にものぼり、感染源となった代々木公園や新宿御苑はしばらく閉鎖されたほどでした。

蚊を媒介に感染が広がるデング熱、今年は感染の危険性はないのでしょうか。

北海道以外の全国都市部で流行の可能性

国立感染症研究所によれば、2015年に日本でデング熱を発症した患者数はすでに83例(5月17日現在)。これらは全て海外で感染したもので、昨年のような国内感染例はまだ報告されていません。

しかし、デング熱のリスクが高くなるのは、蚊が増えるこれから。そこで、今年のデング熱感染の可能性について、荏原病院・副院長の大西健児先生に聞きました。

「海外感染については昨年を超えるスピードで増えていますが、国内感染の感染者数は、そもそも発生するかどうかを含めて予測不可です。もしも国内感染があるとするならば、蚊が多く発生する6月から10月下旬くらいに警戒が必要になると思います。エリアとしては、東京、大阪、名古屋、福岡など、北海道を除く日本の都市部全てで流行の可能性があります」

デング熱を媒介する蚊(日本ではヒトスジシマカ)は、感染者の血を吸うことでウイルスを持ち、その蚊に刺された人がさらに感染します。昨年日本で感染者を出した蚊の子孫が媒介者になることはないそうですが、海外から持ち込まれたウイルスが感染源となるため、ヒトスジシマカが分布する地域であれば日本のどこでも発生する可能性があるのです。

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デング熱の媒介者となるヒトスジシマカ

蚊に刺されないようにすることが一番の予防

デング熱にかかったときの症状としては、発熱と熱が下がる頃に出現する発疹が特徴。はじめの頃は風邪の症状と似ているため、感染していることに気づかずに感染を拡大させてしまう恐れがあります。

「現在のところ有効なワクチンや治療薬はなく、デング熱にかからないためには、蚊に刺されないようにするしかありません。虫除けを使うなど、個人でも予防できることはありますが、絶対に蚊に刺されないようにするのは難しいと思います」(大西先生)

デング熱を疑う症状があったときには、蚊に刺されそうな場所にいかないようにするなど、感染拡大を防ぐことも大切です。

事前に連絡してから医療機関を受診

それでもデング熱にかかってしまったときは、風邪による発熱同様に、しっかりと水分を摂り安静にすること。しかし、大西先生によれば、発熱がある上に以下のような症状が見られる場合は早めに医療機関を受診してほしいそうです。

・口から水分が摂れない
・倦怠感が強い
・強い頭痛をともなう
・筋肉あるいは関節痛がある
・熱帯・亜熱帯地域に属する海外からの帰国者あるいは同地域からの旅行者

「受診する場合、できれば感染症科や感染症内科のある病院へ。近くにそのような診療科がない場合は、内科や小児科でもやむを得ません。その際、デング熱にかかっている可能性があることを、電話なりで事前に伝えてもらったほうが良いでしょう」(大西先生)

感染しても数日で良くなるとはいえ、重症化して死に至るケースもあります。夏は屋外での活動が楽しい季節である一方、蚊の発生もピーク。外出するときには、虫除け対策を忘れずに!

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