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職場や学校、家庭などでのつらい経験から、心が折れそうになってしまうことがあります。そのときに心の支えを失い、ポキリと折れてしまわないためには、どうずればいいのでしょうか。女性のココロとカラダの不安に答えるカウンセラーの伊藤弘野さんからのメッセージをお届けします。

心が折れてしまうことは誰にでもある

生死にかかわるような危険な体験をしたり、自分の力ではどうすることもできない強いストレスにさらされたとき、PTSD(心的外傷後ストレス障害)という心の病にかかってしまうことがあります。東日本大震災では、被災した人や救助活動にあたった人への心のケアが問題になりましたが、体験したことに限らず、目撃したことでも起こりえるのがPTSDです。

ところが、同じような状況でも、PTSDになる人とならない人がいます。この病気にかかるのは心が弱いからではありません。屈強な男性でもPTSDになりますし、誰でもなる可能性があるのです。

では、強いストレスにさらされたときに心が折れてしまう人とそうでない人とでは何が違うのでしょうか。今回は、今、注目されている「レジリエンス」から予防的なアドバイスをさせていただきます。

レジリエンスとは?

心理学では日本語訳をせず、レジリエンスとそのまま使われています。一般的には「逆境力」「精神的回復力」「跳ね返す力」などと訳されることが多いようです。

人がストレスを感じるとき、それをどうとらえていくかによって、その人に与える影響は変化していきます。レジリエンスの高い人は、物事に一喜一憂しないで柔軟に考え、楽観的に物事をとらえられる特徴があります。また、感情のコントロールが上手にできるため、長い間ストレスにさらされることが少なくストレスが原因の症状や病気を発症しにくいと考えられています。

NHK「クローズアップ現代」でも、『“折れない心”の育て方~「レジリエンス」を知っていますか?~』というタイトルで番組が放送されました。

その中で、「心が折れない4つの要素」として以下のことが挙げられています。
・楽観性
・感情のコントロール
・自己効力感
・自尊感情

また、この4つに加えて、「人間関係」が重要とされ、人的サポートがどれだけ得られたかが影響するといわれています。

災害に備えるように、心にも備えを

カウンセリングルームでは、レジリエンスを身につける方法として、2つのポイントに絞ってアドバイスします。

・物事の捉え方の選択肢を増やす。
 起きた問題をどのようにとらえるかが重要です。たとえば、知り合いにあいさつしたのに返事がなかったとき。「私、嫌われているのかな?」「無視された?」などと捉える場合と、「忙しかったのかな?」「○○さん元気ないのかな?」「急いでいるのかしら?」と捉える場合、その後の気持ちは大きく変化します。選択肢が多ければ、その中で自分がよりよいと思うとらえ方を選べます。自分のこととして考えにくければ、誰か別の人ならどう考えるのだろうと考えてみるといいでしょう。

・自分だけで頑張らずにサポートしてもらう。
問題が起きたとき、自分だけで解決しようとすると限界があります。その限界を他の人にサポートしてもらうとどうでしょう?何倍にも増えます。先ほどの物事のとらえ方について、別の人に意見を聞いてみることもいいですね。誰かにサポートしてもらうことは、誰かに活躍の場を与えることにもなります。自分だけで必死に頑張らずに、友人や家族でもいい、専門家に相談してもいい、サポーターを増やすとパワーが何倍にも増えていきます。その力がいざというときの支えや備えになるのです。

強いストレスを感じるようなできごとに、いつ遭遇するかはわかりません。そこで、日ごろから、小さなストレス環境に置かれたときに楽観性や感情のコントロールを実験的に行ってみることをオススメします。いざというときに役に立つのは、日ごろの備えです。家族や友人との人間関係も含めて、災害バックを用意するように、心にも備えをしておきましょう。