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暑い夏、ぐいっと飲む一杯のビールは最高! とはいえ、自動車の運転をする人、健康上の理由でアルコールの摂取を禁止されている人も少なくありません。前日に飲みすぎだから今日はアルコールを控えておこうという日だってあるでしょう。飲みたいけど飲めない、そんなとき「ノンアルコール飲料」は強い味方になります。

しかし、アルコールを含まない飲料なら、ただの「ジュース」のはず。それなのに、ジュースとは違う味わいがするのはなぜでしょう。その秘密を探ってみました!

ジュースでなくノンアルコール飲料

近ごろは、ノンアルコールビールのみならず、ノンアルコール酎ハイ、ワイン、梅酒など種類も豊富です。また、ノンアルコールに加え、プリン体ゼロ、血糖値の上昇を抑えるなどの機能性をあわせもち、健康志向の人にとってありがたい商品も増えています。

これらの商品にはアルコールは含まれていないはずですが、飲むとお酒を飲んだような気分になれます。たとえばノンアルコール酎ハイには焼酎が含まれていないのですから、いわゆる果汁入り飲料のはずなのに、果汁入り飲料とは違う風味を感じられるのです。

飲酒時の香りを徹底分析

その秘密は、各メーカーがビールやアルコールのおいしさを徹底的に追求し、さまざまな技術を駆使して再現していることにあります。

なかでもユニークなのは高田香料株式会社が開発した「酔いここちフレーバー(香料)」です。香りが味覚に及ぼす影響は大きい。そこで、同社は、お酒を飲んだときに香りを感じるメカニズムを徹底的に分析しました。

たとえば、お酒を口に入れたときにどんな香りを感じるのか、鼻に抜ける香りや飲みこんだあとに口の中で残る香りはどんな香りなのか。香りの成分は非常に複雑で、分析することは大変難しいのですが、分析技術を独自に開発。そして、実際に被験者にアルコール飲料を飲んでもらい、感じる香りをどんなに少ない成分も見逃すことなく追跡しました。

分析して見つかった成分を調合し、お酒を飲んだときに感じる香りの挙動を再現したのがこの「酔いここちフレーバー」です。

お酒を飲んだ気分にさせる香料

このフレーバーを使えば、お酒を口に入れる前の香り、口に入れたときの香り、口に残る香りをノンアルコール飲料のテーマに応じてコントロールできます。そして、本当にお酒を飲んだときのように、ビールやウイスキーなどの特徴的な香りや発酵による複雑な味わいの印象まで残ります。そうすると、アルコールが入っていないにも関わらず、びっくりするほどアルコール感を連想できるのです。このフレーバーはさまざまな商品に採用され、おいしさを演出しているといいます。

このように、スーパーの棚にずらりと並ぶノンアルコール飲料には、各メーカーならではの発想と技術が詰まっています。生活の中にうまく取り入れて、暑い夏を楽しく乗り切りましょう。

(サイエンスライター・佐藤成美)