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心臓と同じリズムでこめかみがズキンズキンしたり、頭をギューッと締め付けられるように痛んだり、不意の頭痛には思わず眉根に力が入ってしまいます。軽度の頭痛なら市販薬で一時的にしのぐこともできますが、出来ればそもそも頭痛が起こらないようにしたいものです。

『死ぬまで健康でいられる5つの習慣』の著書であり、脳神経外科医としてさまざまな脳疾患の治療にあたってきた菅原道仁先生に、頭痛への対処法についてお伺いしました。

市販薬を月10回以上服用する人は要受診

こめかみが脈打つようにズキンズキンと痛む頭痛はいわゆる片頭痛です。全国調査では日本人全体の8%が悩まされており、早い人は10代から発症しているそうです。

「実は、片頭痛のメカニズムは未だ解明されていないのですが、有力視されているのが『三叉神経血管説』です。三叉神経とは頭の周りに張り巡らされた、脳に顔の感覚を伝えるための神経のこと。この三叉神経が何らかのきっかけで刺激され、脳血管を拡張する痛み物質が出ることで、片頭痛が引き起こされるというわけです」

片頭痛のきっかけは生理やストレス、人混み、睡眠不足・睡眠超過、特定の食べ物など、人それぞれです。自分はどういうときに片頭痛が起こるのか、パターンを知るツールとして話題を集めているのが、片頭痛と外的要因の因果関係を探るアプリ「頭痛ろぐ」です。これは天候や行動などのデータとともに片頭痛の症状を記録することで、症状を改善する方法を提案してくれるというもので、神経科医とデータサイエンティストが共同で開発しています。

「アプリを使わずとも、手帳に行動や食べたもの、片頭痛の症状などを書き留めるだけでも、片頭痛の起こるパターンを知るヒントになります。頭痛はありふれた病気だけに軽視しがちですが、辛いときは遠慮せず医療機関を受診してください。特に、市販薬を月に10回以上飲む人は専門医に相談されることをおすすめします。なかには頭痛薬がきっかけで頭痛が起こる方もいるんですよ」

姿勢を正せば頭痛が消えて美しくなる!?

昨今増えているのが、緊張型頭痛と呼ばれるタイプです。こちらはズキンズキンではなく、ギューッと締め付けられるように頭が痛んだり、頭が重苦しく感じたりするのが特徴で、パソコン作業が多いデスクワーカーに多い症状です。

「原因はずばり姿勢の悪さです。姿勢が悪いとどこかの筋肉が緊張しすぎて血流が滞り、肩や首がこってしまうのです。明らかに肩こりや首こりがなくても、その予備軍は大勢います。座るときは意識して顎を引き、猫背にならないように肩甲骨を中心に寄せるようにしましょう。そして、骨盤を立てて座ること。こうすると、背筋がしゃんと伸びて、姿勢が美しく見えますよ」

緊張型頭痛の軽減には身体を動かすことも重要です。オーストラリアのある研究チームは、1日合計4時間以上座っている人は、4時間以下の人に比べて心疾患や高血圧などの慢性疾患を有する率が高いと発表しました。これは脚の筋肉がスリープしている状態が続くと、血流が悪くなるからだそうです。

「デスクワークの人は1時間に1回はイスから立ち上がり、オフィスを歩いてみましょう。その際に肩を軽く回したり、肩甲骨を前後に動かしてみたりすると、より効果的です。長期的にはストレッチやウォーキングなど、日常的に身体を動かし、運動不足に陥らないようなライフスタイルを心掛けましょう。休日は自宅でゴロゴロお昼寝するよりも、歩きやすい靴で散歩に出かければ、心身のリフレッシュになります」

それでも頭痛になった場合、緊張型頭痛なら温めるとよいそうです。頭痛を引き起こしている原因は血行不良ですから、温めて血流を促すことで症状を緩和できます。これに対して片頭痛は冷やす方が効果的。同じ頭痛でも、原因によって対処法が異なりますので、注意しましょう。

頭痛になると、痛みそのものが辛いのは当然のこととして、仕事の能率が下がったり、会議に集中できなかったり、デートを楽しめなかったり、生活の質が低がってしまうのが辛いところです。そうならないためには自分の頭痛のパターンを把握し、出来るだけ予防に努めることが重要です。