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産後女性をサポートするサービスや施設を最近、しばしば見かけるようになりました。産褥期の養生が大切だとわかっていても、上の子どもの世話や家事を頼める家族や友人がいない。そうした状況に置かれた女性にとって、こうしたサポートは大きな味方。今後出産を考えようとする女性にも、背中を押してくれる力強い存在といえそうです。

産婦のために動き始めた4児の母デュオ

そんなニーズの高いサービス・施設を、当事者目線でプロデュースする異業種女性ユニットがいます。茨城県在住のイラストレーター山上あやのさん(41)と、千葉県在住で、香りを使った整体を行う “香運整体師”として働く浅野あらたさん(39)です。ともに4児の母である二人は「産婦さんをサポートしたい」と、産褥期を「マゼンダタイム」と名付けて2014年3月に任意団体「マゼンダハートサポート」を設立。母子が安心して過ごせる宿泊ケア棟(マゼンダケア産褥院)を中心にした複合型産後ケア滞在施設を作る計画を進めています。

その一環で二人が取り組んでいるのが、産後ステイ・ケア施設のプロデュース。第一弾として実現した長野県伊那市の宿泊施設「高遠民泊よしよし」は4月4日、客室の一つを特別に改修した産後ステイルームをオープンさせました。8畳の和室で、産後女性の体に合わせた3食と、洗濯のサービスがついて1泊1万5000円、6泊以上で1泊1万3800円。希望すれば、別料金で、助産師さんに訪問してもらいケアも受けられます。「よしよし」は古民家をリノベーションした施設ですが、この部屋は壁を優しいピンク色に塗って、可愛らしい空間に仕上げています。

赤ちゃんと古民家で体を癒す。新しい産褥期の過ごし方

改修にあたっては、山上さんと浅野さんがステイルームの内装やデザイン、サービスの内容精査、オープン・イベントの企画運営などを担当。助産師会といった職業団体や行政への働きかけのほかクラウドファンディングにも挑戦し、ステイルームの準備に使うお金として100万円余りを集めることにも成功しました。

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ピンクの壁が印象的な産後ステイルーム。中央のイラストは山上さんが描いた

環境にも配慮してリネンの交換は3日に一度とするなど、オーナーの磯田美佳さん(46)は、実家のお母さんがやってくれるのと同じような“お世話”を心がけています。開始後すぐに、出産して間もない女性が赤ちゃんを連れて利用し、1週間ほど宿泊しました。自宅のような雰囲気のなかで、じっくりと体を休めて帰ったといいます。テレビ局の取材もあり、取り組みはじわじわと知られるようになっています。

ただ、準備中は課題もありました。「よしよし」は一見、不自由とも取れる昔ながらの生活スタイルを守り、それを体験してもらうことをコンセプトにしています。しかし、それは体が本調子でない産後女性にとっては苦しい環境にもなりかねません。そこで、マゼンダサポートの二人は、宿のコンセプトの良さを生かしながらも、産婦の心地よい環境を実現するために検討を重ねました。

複合型産後ケア滞在施設へ、協力者募集中

山上さんは「産後ステイルームだけは、オーナーを説得して羽毛布団を新調してもらいました。そういう細かな配慮が必要でした」と振り返り、浅野さんは「関係者への働きかけや資金調達について、大きくレベルアップできました」と手ごたえを感じている様子。「私たちは医療機関ではないため、民間でできる範囲内での提案となりますが、産後ステイ・ケアに関係するサービスや施設運営を始めたい方がいたら、ぜひお手伝いさせてください」と二人は話しています。

目指している複合型産後ケア滞在施設の建設には、3億円が必要だそうです。協力者や資金を集めるために、おおよそ月に一度、女性を対象にした育児や健康に関するイベント「マゼンダサロン」を開いたり、オリジナルグッズを販売したりしています。お問い合わせは、マゼンダハートサポートへ。