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2011-2012年の冬シーズンから、国の公的機関におけるインフルエンザ予防法の中にあった「うがいの励行」が消えました。最近アップされた首相官邸のホームページにある「(季節性)インフルエンザ対策」にも、マスクや手洗いの励行はあっても、「うがい」は出てきません。もう「うがい」はしなくても良いということでしょうか?

厚生労働省発表から「うがい」の記述が消えた

平成20年度(2008年)の厚生労働省発表「今冬のインフルエンザ総合対策について」には、「外出後の手洗い、「うがい」は一般的な感染症の予防のためにもお勧めします」と明記されています。しかし、平成27年度の「インフルエンザQ&A」では、「外出後の手洗い等」となっており、「うがい」については言及されていません。

あれれ? 「うがい」はどこへ消えたの? いまだにうがいを奨励する医師はたくさんいますし、都道府県単位の保健所からの広報誌のいくつかを調べたところ「うがいをしましょう」と載っています。しかし、厚生労働省や国立感染症情報センターなどでは、うがいについて何も書かれていないのです。

20分ごとに「うがい」ができるか?

実は、インフルエンザウイルスが口やのど、鼻の粘膜表面にとりついてから、20~30分くらいで粘膜細胞内に侵入するそうです。ということは、20~30分おきに「うがい」をしないと、飛び込んできたウイルスの侵入をブロックすることはできないということです。そのため、帰宅してから「うがい」しても遅い……という話を、感染症の専門家に聞いたことがあります。
もしも仕事中に20分おきに「うがい」をするとしたら、8時間労働中に24回も「うがい」のために席を外すことに。確かにこれは現実的ではありません。

もちろん、うがいは粘膜に付着したウイルスを減らすことができるため、しないよりはするにこしたことはないという意見もあります。一方で、殺菌剤入りのうがい薬などで頻繁にうがいを行うと、粘膜にいる善玉菌まで殺してしまうことになり、本来持っている抵抗力を弱めてしまうことになるのでよくないと言う医師もいます。

推測するに、「うがい」のインフルエンザ予防効果は期待できるけれど、効果を発揮するやり方で行うのは難しいというところから、国の発信する情報から「うがい」という文字が消えたのではないでしょうか。

「うがい」より「こまめな水分補給」がおすすめ

一方、「うがい」よりも、こまめに水分を摂って、口の中に入ってきたウイルスを胃に流し込んでしまうほうが良いと言う医師もいます。20分おきにうがいをすることはできないけれど、それぐらいの間隔で水を飲むことならできるというわけです。

水分を摂ることは、インフルエンザに対する抵抗力を高める上でも大切です。鼻や気道の粘膜の表面には、「線毛」という小さな毛がびっしりと敷き詰められていて、この線毛が小刻みに動くことで、粘液が流れてウイルスや雑菌を咳やたんとして排出します。
しかし、体内の水分量が減ると、線毛がうまく働かないために排出力が低下して、ウイルスや雑菌が体内に入りやすくなってしまうため、水分補給をしっかりする必要があるのです。

20~30分おきに、少量ずつ、水分をこまめに摂ること。それが現時点では、「うがい」を上回るインフルエンザの予防法のようです。