1219_300

「オヤジ臭」「加齢臭」などいろいろと呼ばれるニオイがあります。その中でも、男性が高齢になってくると発するニオイに、若い女性は敏感です。わざわざ若い女性が嫌うニオイを男性が発するということは「若い女性が、年をとって生活能力や長い子育てに不利な男を遠ざける仕組み」ではないかという説もあるほどです。(医学博士 左門新氏のエッセイによる)

男性に感じる不快な臭いイコール「オヤジ臭」ではない

「ヤダー、この部屋オヤジ臭い!」「これ、加齢臭じゃない?」こんな女子の発言で、おじ様たちの心はバズーカ砲で撃たれたごとく、立ち直れなくなってしまうそうです。でも、本当に不快と感じるニオイは、どんなものなのでしょうか?

テレビ番組で、下着姿の若い男性をたくさん乗せたバスと、下着姿のおじ様たちをたくさん乗せたバスに、それぞれ目隠しをした若い女性を乗せるという企画がありました。どちらがオヤジ臭いか…? その結果、ほとんどの女性たちが、なんと若い男性をたくさん乗せたバスが「オヤジ臭」いっぱいで、不快だと答えたのです。彼女たちが「オヤジ臭」だと思ったのは、男性の油脂のニオイだったわけです。
油臭さ、オヤジ臭、加齢臭…その区別はあまりついていないようです。

しかし、オヤジ臭は確かにあります。発見したのは資生堂。中高年になると皮脂に脂肪酸―9ヘキサデセン酸が含まれるようになり、それが酸化分解されたり、皮膚の常在菌で分解されて生成されます。これが「ノネナール」という「オヤジ臭」です。

「不快なニオイ」「いいニオイ」は遺伝子が決める?

哺乳動物の多くは、思春期になると独特のニオイを放ちます。このニオイによって、オスとメスは受精態勢にあることを察知しあいます。そして、加齢とともにニオイも変化していきます。

ヒトの汗腺は3つあるそうですが、年齢とともに活発になる腺が代わり、思春期以降に活発になるのがアポクリン汗腺。アポクリン汗腺から分泌される汗は無集ですが、皮膚で分解されて体臭となります。これがフェロモンと呼ばれるもののようです。

惹かれあうニオイについての実験があります。数名の若い男性が2~3日着ていたアンダーシャツを密閉袋に入れ、ランダムに置いておきます。次に、若い女性数名にその袋の中にニオイを1つずつ嗅いでもらいます。すると、Aという男性のニオイが不快だと答えた人がいるかと思えば、そのニオイをいいニオイと感じる人もいたのです。いいニオイと感じた女性と、A男さんの遺伝子を調べると、遺伝子同士がかけ離れたものだったとか。

逆に、A男さんのニオイを不快だと答えた女性とA男さんの遺伝子は、かなり似ているそうです。つまり、近親相姦が起きないよう、遺伝子がかけ離れている人同士が惹かれあうのではないか…と想定されるのです。

オランウータンの娘たちも「お父さん、くさーい」

オランウータンは、ヒトに限りなく近い哺乳動物だと言われます。このオランウータンの家族は、一夫多妻で、一匹の強そうなオスを中心に群れで行動しています。そんな生活の中でも、その強いオス(父親)と、たくさんいる娘たちとは、絶対に間違いが起きないのだとか。それは、そのオスがすごいニオイ(オヤジ臭)を発するため、娘たちが寄りつかないためです。

その結果、近親相姦は起らず、健康的な種の保存がされているわけです。ヒトの世界でも、「お父さん、くさーい」と言われるのは正常なのかもしれません。

精子が元気で健康な若いうちは、その男性と遺伝子の遠い女性が、その男性のニオイに惹かれます。そして、精子に元気がなくなり、健やかな種を残せない年齢になると、女性はニオイを嫌って近づきません。

男性にとってはちょっと寂しい現実ですが、ヒトも自然界に生きる動物の一種であることを再確認、ですね。