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年末年始に帰省したものの、母親との関係にどっぷり疲れて……。そんな、実母との確執に悩む女性が増えているようです。“母娘クライシス(危機)”はどうすれば乗り越えられるのでしょうか。

良妻賢母だった母が 特に娘を苦しめる!

多くの女性たちのカウンセリングを続けている臨床心理士の信田さよ子さんによると、母娘の確執は、10年前ぐらいから顕著になっていると言います。
 
理由の1つは、娘たちより母親世代のほうがエネルギッシュなこと。その上、まだまだ知力もあり経済力も兼ね備えています。
「その持て余したエネルギーを娘に向けるわけです。愛情という名の下に、ことごとく娘の人生に介入してきます」
 
そして2つめの理由は、母親の“夫に対する不満、諦め、絶望”など。「団塊世代の男性は、企業戦士として猛烈に働き、家庭の問題から目を背けていました。いつしか妻の関心事は、子どもだけに。特に良妻賢母ほどやっかいな存在になります」(信田さん)。

恨みや嫉妬が複雑に混ざり やっかいな母親に変身

では、どうして良妻賢母が“やっかいな母親”になってしまうでしょうか。「その根底にあるのが、男女同権時代に育ちながら、いつのまにか男性との格差が広がったことへの、恨みと悔しさです」と信田さんは分析します。
「そこに、娘の若さや成功に対する嫉妬・自分の理解者であってほしいという期待が加わって、複雑に混ざり合うため、やっかいになってしまうのです」

やっかいな母親には以下のようなタイプがあります。

●家族ルールを自分本位に決める“独裁者の母”
母のいう通りに家族が行動しないと、身心不安定になり、家事を放棄するタイピ。その負担は娘に集中。
●「家族のために我慢してきた」とアピールする母
ことあるごとに「私は家族の犠牲になった」と自分の殉教者ぶりを語り、娘に自分への忠誠を誓わせようとするのです。
●娘の人生を共に切り開いていく同士的な母
娘の将来設計は、幼少期から脈々と。娘がステータスを勝ち取るため、積極的に人生に介入し共に戦い続けます。
●娘の成功を自分の功績にしてしまう母
同士的な母より巧妙。自分が競馬騎手となり、娘を代理走者に仕立てます。「努力すればできるはず」と励ましながら、実は自分の欲望を満足させたいだけ。
●娘の社会的成功、喜び、若さに嫉妬する母
他人には娘の成功を自慢しながら本人には褒めない。逆にあら探しをして「もうちょっとね」と一言。あらゆる場面に毒針を仕込み、娘をグサリと刺します。
●スポンサーとして君臨し、娘の自立を奪う母
母娘の旅行、買い物、果てはマイホーム資金の援助まで。これでは、娘は永遠に自立できません。

娘からの冷静な拒絶が 母を変えるきっかけに

娘世代は、そんな母をうっとうしいと思いながらも、「私が見放したらお母さんがかわいそう」「お母さんをわかってあげられるのは私だけ」という葛藤にさいなまれるのです。

そこで、信田さんに母親の重圧に押し潰されないためのアドバイスを伺いました。

その1 「母への腹立たしさ」は否定せず、自覚して
母に対して「怒り」を抱くことに罪悪感があると、不安や抑うつとして現れます。怒りを感じた時には、否定せず自分自身で認めること。

その2 「罪悪感」は生きていくための必要経費と考える
母親に怒りを感じると同時に罪悪感も。この2つの感情は対のような関係。これは「自分の人生を生きるための必要経費」と割り切り、心のバランスを。

その3 同じ苦しみを抱えている仲間を探して
ネットで同じ悩みを持つ人たちのコミュニティーサイトや自助グループを見つけて投稿するなど、母に潰されないために情報交換を。

その4 「母に理解してもらおう」という思いは捨てる
「強く抗議すれば母もわかってくれるのでは」は、幻想。気持ちを整理したい時は、カウンセラーの力を借りては。

その5 無神経な介入、支配にはハッキリ「NO」
「断ったら母を傷つけるのではないか」という思いやりは無用。「私には無理です。できません」と、ゆっくり、はっきり、丁寧な言葉で意思を伝えて。

その6 最終手段として、一切の交流を断つことも
娘から拒絶されると新たな攻撃を仕掛ける場合も。あまりおすすめはできませんが、最終的に身を守るために必要であれば、一切の交流を断つことも選択肢の一つです。

「大切なのは、『全てを受け入れなければいけない』という呪縛から、娘が自分を解き放すこと。本来なら母を支えるのは娘でなく夫である父の役目、と割り切りましょう」と信田さん。

娘からの拒絶によって、徐々に変化し、自立していく母親もたくさんいるのだそう。
自分のためにも、母親の幸せのためにも、勇気をもって「NO」と言いましょう。