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有名人のがん告白などの報道に触れると、「もしも私ががんにかかったら……」と不安になりますね。「手術の費用は何百万?」「治療が長く続いたら?」「働けなくなって収入がなくなったらどうするの?」等々、お金の悩みも尽きません。
そこで、実際にがん治療にかかる費用や安く済ませる方法について、女性医療ジャーナリストの増田美加さんと、医療・保険ライターの早川幸子さんに伺いました。

がんは早く見つかれば見つかるほど、治療費は安くすむ

がん治療にはお金がかかりそうなイメージが。実際に、手術や化学療法、ホルモン療法、放射線療法などには入院も伴い、数十万がかかります。

「まず知っておきたいのは、がんは早い段階で見つかるほど、治療費が安く済む上、体への負担も少ないということ」と教えてくれたのは、増田美加さん。

「たとえば子宮頸がんの場合、早期なら子宮の入口だけの切除で済み、日帰りや1泊2日の入院手術でかかるお金は約5~8万円です。一方、がんが進行して、子宮をすべて摘出したり、手術の範囲が周辺部にまで及ぶ場合は、2週間の手術入院で約25~35万円が必要になります。
乳がんの場合、検診で発見された早期の0期だと、手術と放射線治療だけで済むことも多く、3泊4日の手術入院と放射線で約25万円。一方、やや進んだがんで、乳房を残す手術を行ったり、再発予防やホルモン療法を症状に合わせて行った場合は、1週間の手術入院と治療全体で、1年目で約66万円、2~3年目で約16万円、4~5年目で約14万円が目安になります」(増田さん)

早期発見できれば生存率が高いことももちろんですが、治療費の負担を軽くするためにも、毎年の健康診断や乳がん検診や子宮頸がん検診をきちんと受けることが大切です。

100万円かかっても9万円で済む「高額療養費制度」を活用

とはいっても、早期発見の乳がんでも25万円という金額に、「とても私には払えない……」と思った人もいるのでは? 

「日本には、高額な医療費がかかっても一定金額以上を払わなくていい『高額療養費制度』があります」と教えてくれたのは早川幸子さん。

「たとえば、医療費が100万円かかっても最終的な自己負担額は約9万円(70歳未満で、月収28万~50万円の場合)。病院の窓口ではいったん100万円の3割である30万円を支払いますが、申請すると9万円を超える分は後から返還されます。
限度額は年齢や収入によって異なり、2015年1月の改定によって、月収53万円以上の人は自己負担額が増え、月収26万円以下の人は負担が減ることになりました」(早川さん)

ただし原則として申請しないとお金が戻らないので、申請を忘れずしっかり活用を。また、戻ってくるとはいえ、一度窓口で自己負担額を払わなければいけないので、現金の準備は必要です。
「加入している健康保険で『限度額適用認定証』をもらうと、最初から限度額までの支払いだけで、払い戻し不要に。
また、上限の約9万円まで払う月が1年で3回以上あったら、4回目からは上限金額が4万4400円(収入により金額には差があります)になるので、長期治療が楽になります』(早川さん)

医療費に回せる貯金が100万円あれば、がん保険はいらない

世界一、健康保険が充実している日本ですが、それでもがんに備えて民間のがん保険に入っておきたいという人もいることでしょう。

「確かにがん保険は『診断時に100万円』といった給付金が心強いもの。逆に言えば、医療費に回せる貯蓄が100万円あれば、あえてがん保険に入る必要はないと言えます。
ただし、子育て中などでお金を貯める余裕がない場合や、貯金があっても教育費やローン返済などで使い道が決まっている場合は、がん保険に入っておくのも一つの手段です」(早川さん)

医療の進歩で技術が進み、がんは治る可能性のある病気になってきています。その分、治療費だけでなく、がんの治療をしながら生活をする上での備えも大切になることも知っておきましょう。