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頭痛、便秘、肩こり、吐き気、動悸、体重減少、腹痛、腰痛、下痢、背部痛、しびれ、筋肉痛、胸痛、歯痛、呼吸困難……これはうつ病によって引き起こされる、身体症状の一部です。
うつ病によって、痛みをはじめ、これほどさまざまな身体症状が現れることに驚く人は多いのでは?
「それは、うつ病を『心の病気』だと思っているから。うつ病は心の病気ではなく、脳の機能に一時的に障害が起きたことによって引き起こされる病気です。そう考えると、多様な症状が理解できます」と言うのは、精神科医の大塚明彦先生です。

脳の感知システムが誤作動して、さまざまな身体症状が起きる

うつ病が原因の痛みは、その痛みに対応した診療科で調べても、原因がわかりません。例えば「胃が痛い」といって内科を訪れても、うつ病が原因の場合はいくら検査をしても胃には異常が見つからず、困った医師は「ストレスですね」といった診断を下すことになります。

脳と体の各部位の関係は防災センターとビルの各部屋に例えられます。各部屋(部位)で異常(症状)が発生した場合に、各部屋のセンサーが作動、痛みなどを脳に伝え、脳はそれを感知します。
ところが、部屋(部位)に異常がないのに、防災センターの感知システム(脳の認知機能)の異常のために、各部屋には異常がないのに各部屋の異常信号を脳が勝手に感知、各部屋に警戒音を鳴らした結果引き起こされるのが、うつ病による身体症状なのです。

うつ病かどうかを見分けるチェックポイント

このようにさまざまな身体症状を持つ患者さんを、うつ病かどうか見分けるポイントは「睡眠障害」と「日内変動」です。

うつ病の患者さんは体内時計がずれてしまうという特徴があるため、午前中は調子が悪く、午後から夜にかけて気分がよくなります。これが「日内変動」です。また、体内時計がずれた結果、朝なかなか起きられない、夜眠れないなどの「睡眠障害」が起きるのです。

薬を飲んでも微熱が続いたり、痛みがとれなかったり、消化器系の症状が続いた場合や、検査をしてもどこにも悪いところが見つからなかったり、あいまいな病名の診断を受けた場合には、うつ病を疑ってみてもよいでしょう。その際、日内変動や体内時計についての簡単な質問に答えることで、うつ病の可能性が判断できます。

その質問とは以下の4つです。

Q1 昨夜は何時から何時まで眠りましたか?
Q2 朝の目覚めはいかがですか?
Q3 午前中のだるさがありますか?
Q4 夕方4時ごろに不安はありますか?

Q1で午前2~3時に起きていたり、Q2、3で具合の悪さが朝に集中している、Q4で夕方4時ごろに極端にさびしくなったり不安になったりするのは、うつ病の特徴的な症状のようです。思い切って精神科を受診してもよいかもしれません。

【参考】
その痛みは「うつ病」かもしれません』(幻冬舎)