左側の脳が障害を受けるとなぜ右側が麻痺?

左の大脳が損傷したら右の手足に麻痺が出るのはなぜ? 脳のはたらきにまつわる疑問について解説

脳と身体は「さかさま」につながっている?

人間の脳の機能は、ケガや脳卒中などによって脳の一部に障害を受けた患者さんの症状を細かく調べることによって、推測されてきました。そうした研究によって、脳と身体の上下、左右は「さかさま」につながっていることがわかってきました。
手足を動かすなど運動の指令を出す中枢は、大脳の前頭葉にある運動野です。また、頭頂葉にある体性感覚野には全身の皮膚からの情報が入力されます。どちらも上の方に足、下に向かって手や頭に関係した領域があり、上下が逆になっています。

脳の左側が障害を受けると、右側の感覚が麻痺したり運動が障害

さらに、運動野や感覚野の神経細胞の神経突起の大部分は延髄で交差してから脊髄を下行し末梢神経とつながっているため、脳と身体とでは左右も逆になっています。
そのため、左側の脳が障害を受けると右半身が麻痺し、右の大脳の障害では左の運動麻痺がおこることがあるのです。

右利きと左利きでは言語障害の起こり方が異なる
右利きと左利きでは言語障害の起こり方が異なる

他にも、左右のどちらの脳が障害を受けたかによって異なるのが言語障害です。
右利きの人の言語中枢は多くの場合、大脳の左半球にあるため、脳の左側が障害されると右半身の障害とともに、言語障害が起こることがあります。
なお、言語中枢は2種類あり、前頭葉には連動性言語中枢が、側頭葉には感覚性言語中枢があります。前者が障害されると言葉の意味は理解できても言葉が話せなくなる「運動性失語」に、後者が障害されると言葉を発することはできても言葉の意味が理解できなくなる「感覚性失語」になります。

ほかにもある 脳の右半球と左半球で違う機能

言語中枢以外にも、脳の右半球と左半球ではその機能にいくつか違いがあります。
左半球は計算などの機能、右半球は映像の記憶や物の形や大きさ、立体感の把握といった機能に関与します。
このことと、左右の運動野や感覚野が反対側の手足とつながっていることを結び付けて、左利きの人は芸術感覚に優れていると言われることがありますが、科学的な根拠はないようです。

ほかにもある 脳の右半球と左半球で違う機能

【参考】
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