聴診器で医師が聴いている音で心臓の異常がここまでわかる!
ドクターといえば聴診器を当てているイメージ。聴診器で聴いている心音などによってわかる異常を解説します。

聴診器でいったい何がわかるの?

聴診器ができる前は直接胸に耳を当てて聴いていた

聴診器を使った診察(聴診)は、患者さんの体に負担をかけずに病気を早期発見するために欠かせない診察技法です。
聴診器は今から約200年前、フランス人医師ルネ・ラエンネックによって発明されました。聴診はそれまでも行われており、患者さんの胸に直接耳を当てるというやり方でした。
ラエンネックは、子どもが長い木の棒の端を耳に当て、反対側の端を引っかく音を聞いて遊んでいるのを見て、ノートを丸めて筒にしたものを患者さんの胸に当てて聴く方法を考えついたと言われます。

聴診器では胃腸のゴロゴロ音もチェック

医師が聴診器で聴いているのは、心音、呼吸音、腸のぐる音、血管雑音などです。
このうち、「ぐる音」というのは、腸が食物を消化する際のぜん動運動にともなって、腸の内容物とガスが移動して発生する、ゴロゴロという音のことです。腫瘍や,過去の手術による腸管の癒着などで腸が閉塞を起こした場合にはグル音は亢進し、一方、腸管の運動がマヒした際(麻痺性イレウス)はグル音が減弱します。

肺の聴診では肺炎や気管支喘息の診断も

肺の聴診では、正常の呼吸音が左右差なく聴こえるか、ラ音などの副雑音はないかなどをチェックします。肺炎や、気管支喘息、気胸、胸膜炎をはじめ、心不全など様々な病気の兆候を知ることが出来ます。

心音では弁の異常や先天的な心臓の異常もわかる

「心音」というのは、心臓にある血流の逆流を防ぐ弁が閉まる音を言い、心臓1回の拍動につき、「ドッ」「クン」という2つの音が聞こえます。このうち「ドッ」にあたるのが心房と心室の境の弁が閉じる音、「クン」にあたるのが心室と動脈の境の弁が閉じる音です。
心音では心拍のリズムのほか、心臓の弁の異常や先天的な心臓の異常による心雑音などもチェックしています。例えば僧房弁閉鎖不全症では、心室が収縮する時に心室から心房に血液が逆流する心雑音が聞こえます。また、心室中隔欠損症など、先天的に心臓のつくりに異常がある場合にも心雑音が聞こえます。

貧血などのために心雑音が聞こえる場合も

心臓に雑音があるというとびっくりする人が多いでしょうが、弁膜症や先天性心疾患など心臓自体に異常がなくても、心雑音が聞こえる場合はあります。例えば、貧血になると、心拍出量が増えるとともに血液の粘度が低下し、心雑音が聞こえることがあります。また、まったく異常がなくても雑音が聞こえる場合もあります。こうした心雑音は「機能性雑音(無害性雑音)」と呼ばれます。

【参考】
『医師に聞けないあんな疑問 医師が解きたいこんな誤解』