妊娠を望んでいる人にとっても、妊娠を望んでいない人にとっても、生理が来るかどうかは大きな問題です。でも、「生理が来た」とがっかりしても、ほっとしても、その後、妊娠がわかったという話も聞きます。生理が来ても妊娠することはあるのでしょうか。

生理が来ても妊娠の可能性がある?

赤ちゃんのために準備した子宮内膜が、不要になってはがれ落ちるのが生理

生理が来ても妊娠の可能性があるかどうかは、排卵にさかのぼって考えればわかりやすくなります。

排卵とは、卵巣内で育った原始卵胞(卵子のモト)から、その時点で一番状態のいい卵が排出されることです。排卵される卵は基本的には1回の排卵につき1つだけ。2つの卵子が排出されると二卵性双生児になります。

卵巣から飛び出した卵胞は卵管に送られ、そこで精子と出会います。これが受精です。一方、子宮では、受精卵のために、フカフカのベッドを準備しています。フカフカのベッドとは厚くなった子宮内膜のこと。受精が成立した卵は子宮内膜に着床し、細胞分裂を始めて赤ちゃんになります。

ところが、受精しなかった場合はそのベッドが不要に。赤ちゃんのためのベッドは使いまわすわけにはいかず、その都度準備されるので、不要になった子宮内膜ははがれ落ち、体の外に排出されます。これが生理です。
このメカニズムを考えると、生理が来た時点で、妊娠=卵の受精はありえないことがわかります。

生理以外の出血の場合は、妊娠している可能性も

原理上は生理が来たら妊娠していないのにもかかわらず、「生理が来たのに妊娠していた」と言う人はいます。それは、妊娠によって出血する場合があり、生理と間違えやすいからです。

たとえば、受精卵が着床する際に子宮内膜から出血する「着床出血」。これは生理1週間前~生理予定日に起きるので、もっとも生理と間違えやすい出血で、「月経様出血」ともいわれるぐらいです。

また、妊娠すると、胎盤を作る際に絨毛という根のようなものを子宮筋層に下ろします。その時に起きるのが「絨毛性出血」です。また、妊娠して子宮が大きくなるにつれて胎盤が引き延ばされたり、一部がはがれたりすることで引き起こされる「絨毛膜下血腫」もあります。

いずれも妊娠初期によくみられることなので、出血によって流産する心配はまずありませんが、腹痛や腹部の張りをともなう場合や鮮血をともなう場合は、婦人科をすぐに受診しましょう。

生理中のセックスは妊娠しないというのは間違い

生理と妊娠の関係でいえば、生理中のセックスは妊娠しないというのは誤解です。また、セックスによって子宮内膜が卵管などを通って逆流、子宮内膜症になる可能性もあります。さらに、生理中は膣内の常在菌が減ってしまい、性感染症にかかりやすくなるので、生理中のセックスは避けた方がよいでしょう。

■さらにくわしく!以下も参考に■

生理が遅れたとき あなたはどうする?
まず妊娠反応を確認。妊娠でなくても3カ月遅れたら婦人科へ

妊娠検査で陽性なら1週間以内に婦人科へ。
若いときの無月経を放置すると将来に影響することも
生理が遅れても受診しなくてよい場合と受診が必要な場合がある

月経(生理)が遅れると、びっくりして婦人科に駆け込んでくる人がたくさんいますが、病院に来なくてもよい場合と、必ず診察を受けてほしい場合があります。しっかりと区別して対応するようにしましょう。

25日から38日程度の周期で出血が起こっていれば、正常な月経周期です。しかし、周期が正常でも、夜用ナプキンが数時間であふれるほどの多量の出血がある場合や、鎮痛剤が効かないような痛みがある場合は異常です。
一方で、不定期であっても3カ月以内に次の月経が来る場合は特に治療は不要です。妊娠するために必要な排卵が少ないため妊娠には不利ですが、妊娠を考えていないのであれば必ずしも治療しなくてもよいのです。

また、18歳になっても自然に月経が来ない場合は、原発性無月経という病気です。治療が必要な場合もあるのですぐに婦人科を受診しましょう。

1週間以上遅れたら、市販の妊娠検査薬で検査を!
月経が予定日から1週間以上遅れた場合、セックスをしている人は、薬局で売っている妊娠検査薬を使って妊娠していないか必ず確認しましょう。ちゃんと避妊をしたつもりでも、妊娠している場合があります。
月経予定日から少し遅れていつもと違う出血があった場合、それが月経ではなく子宮外妊娠(異所性妊娠)の不正出血という場合もあります。子宮外妊娠は現代の日本でも毎年数人が亡くなっている怖い病気です。月経がおかしいと感じたときは、まず妊娠のチェックをして、陽性だった場合は1週間以内に婦人科に行きましょう。

妊娠反応検査は、月経の遅れで婦人科を受診したときに必ず最初に行う検査です。病院での待ち時間を減らすためにも、自分で行っておいたほうが得です。市販の妊娠検査薬は病院のものとほとんど同じです。
ヘルスケア-生理が遅れたとき あなたはどうする?

子宮外妊娠とは?
受精卵は子宮内腔の粘膜に着床するのが正常ですが、それ以外の場所に着床し妊娠が成立したものを異所性(いしょせい)妊娠といい、一般には子宮外妊娠という病名で知られています。およそ200〜500回の妊娠に1回みられます。ほとんどは卵管(らんかん)内に妊娠したものです。まれには卵管の付け根、子宮頸管(けいかん)など、子宮のなかではあるけれども正常ではない部位や、卵巣、腹膜表面に妊娠します。

原因は?
卵管内に炎症が起こって卵管の通過が悪くなったり、受精卵を子宮内に運ぶ機能が低下すると、受精卵が卵管内にとどまって卵管妊娠になると考えられます。しかし、これらの機能障害に気づくことは難しく、原因がはっきりしないこともよくあります。

症状の現れ方
子宮内の正しい部位でなければ順調に胎児が発育する環境ではなく、その場所で流産になったり、卵管が破裂したりして、出血が腹腔内にたまってくるため、下腹部痛が起こります。
少量の性器出血が持続することが多く、腹腔内出血の量と速さにより、程度の異なる下腹部痛が起こります。ほとんど痛みがなかったり、突然強い痛みが起こったりすることがあります。

検査と診断
尿の妊娠反応が陽性にもかかわらず、超音波検査では子宮内に妊娠の部位が見つからない場合に、子宮外妊娠が疑われます。
正常妊娠のごく初期や、ごく初期の子宮内の流産も同じようにみえるので、慎重な判断が必要です。
子宮内を掻爬(そうは)して、妊娠組織が顕微鏡的に見つかるかどうかを調べることもあります。症状が非常に軽いことも多く、症状が軽いほど診断に時間を要します。腹腔鏡で確認する場合もあります。

治療の方法
腹腔鏡または開腹手術により、妊娠部位を見つけます。卵管ごと切除する方法と、妊娠組織を除去して止血し、そのまま卵管を残す方法があります。卵管を取れば、そちら側の卵管では妊娠できなくなります。残した卵管でも、再び子宮外妊娠が起こることがあります。

子宮外妊娠に気づいたらどうする
急激な強い下腹部痛が起こったら、すぐに受診してください。ただし、妊娠のごく初期や排卵が遅れた場合、正常妊娠であっても子宮外妊娠が疑われることはしばしばあります。疑いが強い場合は、入院して経過をみます。
ヘルスケア 家庭の医学-子宮外妊娠の症状や原因・診断と治療方法