多くの人が妊娠に気づくのが、妊娠してから4~8週目の妊娠初期。それより前の0~4週を妊娠“超”初期とよび、その時期に起こる小さな症状で、妊娠の可能性を予測することができるのです。

生理予定日前でもわかる?『妊娠初期』のチェック方法

妊娠“超”初期症状は3~4週に多い

妊娠期間は昔から「十月十日(とつきとうか)」といわれるように、最後の生理から分娩まで約10カ月。この妊娠期間を約3カ月ごとにわけて、妊娠初期(4〜15週)、妊娠中期(16~27週)、妊娠後期(28~39週)と呼びます。ちなみに多くの人が「妊娠した!」と気づくのが、妊娠初期の4~8週目あたりです。

厳密な医学用語ではありませんが最近では、妊娠0~4週を「妊娠“超”初期」と言い、人によっては、この妊娠超初期の間の3~4週に「妊娠超初期症状」が出る場合もあるそう。これは「妊娠検査薬で陽性が出る前」に起こる体の変化。超初期症状がではじめるのは、着床から生理予定日の間のだいたい妊娠3~4週の間です。かなり小さな症状なので、気づかない人も多く、確実に妊娠がわかってから「そういえばあの時」といったように、思い出すくらいだとか。ですが、事前に症状を知っておけば、少しでもはやく、妊娠の可能性を知ることができるようになります。

妊娠超初期症状と生理前症状はとても似ている

小さな変化のため自己判断がしにくい、妊娠超初期症状。生理前症状と似ているのには、妊娠のしくみと関係があります。

妊娠は、まず卵子が卵巣から排卵され、その排卵した卵子が卵管に吸い上げられます。そして、卵管の中で精子と出会って受精。その後、受精卵が成長しながら4~6日かけて子宮内へ移動。この時、受精卵は、受精してから約24時間で分裂し2個の細胞に。48時間後には、さらに分裂して4個にというように、時間とともに倍々に分裂を繰り返しながら、卵管の運動により子宮腔内の方へと送り込まれていきます。

受精卵が成長している間、子宮内膜は着床に向けての準備へ。排卵後の卵胞から分泌される「黄体ホルモン」が、子宮内膜に作用し子宮内膜が受精卵を受け入れられる状態に整えます。そして、約7日目に準備のできた子宮内膜に着床します。この着床した受精卵がやがて成長し赤ちゃんになるのです。

この排卵後に分泌される「黄体ホルモン」。妊娠中・生理前には、必ず分泌されるので、妊娠初期症状と生理前症状は区別がつけにくいのです。特に似ているのが、黄体ホルモンの影響で起こる下記の3つの症状になります。

1)胸の張り、乳首が痛む
乳腺を発達させる作用があるため。胸が張ったり、乳首が痛くなったりします。

2)便秘や下痢
流産を防ぐために、子宮を収縮させます。その影響を受けて子宮の前にある大腸も収縮し、便秘に。黄体ホルモンの分泌が少ない時は、下痢になることもあります。

3)眠気や倦怠感
眠気を招く作用があるので、常に眠かったり、倦怠感で体がだるいといった症状が起こります。

また、妊娠超初期症状のわかりやすい兆候のひとつとして「着床出血」があります。受精卵が子宮内膜に着床する際に、子宮内膜に小さな傷がつきそれが出血にいたるもの。起こりやすいのは、生理予定日の1週間前から生理予定日までの間です。ただ、「着床出血」自体がおこらない人もいますし、起こっても生理と勘違いして気づかない人もいます。

基礎体温はいつもより0.5~1.0℃上がる

妊娠の兆候をいち早く知る方法として、一般的なのは基礎体温計測法。日頃から計測している人なら、その数値から妊娠の兆候を知ることができます。普段の体温は、排卵日から次の生理が始まるまで高温期が続き、生理が始まってから次の排卵までは低温期が続きます。この高温期が2週間以上続いたり、いつもの基礎体温と比べて、0.5~1.0℃上がるなどの変化が見られたら、妊娠している可能性が高くなります。

ただ、体温に変化があらわれずに妊娠にいたったケースもあるので、気になる場合はすぐ産婦人科に相談に行きましょう。基礎体温表は、その人の体を知る上でのとても重要な情報。医師も診察がしやすくなりますので、妊娠を望む人は基礎体温を日頃からつけておくのがおすすめです。

■さらにくわしく!以下も参考に■

妊娠前に読んでおきたい、これはやっておきたい8つのこと

妊娠すると、ママがかかった病気や口にした食べ物が、直接胎児へ影響を与えます。妊娠をする前から、妊娠に備えて準備しておきたい8つのことをまとめました。
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妊娠前に準備しておきたいこと

・基礎体温の計測
妊娠を望むなら、まず基礎体温を計測して、きちんと排卵しているかどうかをチェックしてみましょう。基礎体温をグラフにしたとき、低温期と高温期の二相が大まかに分かれれば排卵が正常であると言えます。二相に分かれない場合には、無排卵である可能性がありますので、婦人科を受診する必要があります。

・風疹の予防接種
妊娠初期に風疹にかかると、胎児が風しんウイルスに感染して、先天性心疾患や白内障、難聴といった先天性風疹症候群という障害を引き起こす可能性があります。妊娠前に風疹の抗体を調べ、抗体がなければ、風疹の予防接種を受けるようにしましょう。妊娠してからではワクチン接種できないので、必ず妊娠する前に!(抗体を持たないまま妊娠してしまった妊婦さんを守るため、妊婦さんの旦那さんや周囲の人が予防接種を受けることも大切です)

・葉酸の摂取
葉酸は胎児が脳や神経を作る妊娠3カ月までに必要な栄養素で、妊娠前からの摂取が望ましいとされています。葉酸が不足すると、無脳症や二分脊椎、脳瘤といった脳や神経の先天性疾患のリスクが高まります。(葉酸摂取は授乳期まで続けること!)

・歯の治療
妊娠初期のつわりなどで歯が磨けなくなり、むし歯が悪化することがあります。また、妊娠初期の歯科治療を推奨していないクリニックもあるので、むし歯や口腔内のトラブルについては、妊娠前に治療しておくことがオススメ。出産後もなかなか治療に通いにくいので、妊娠中期(妊娠4~7ヶ月)以降にも検診や治療をしておくといいでしょう。妊婦さん向けの検診プログラムを実施している歯科クリニックもあります。

改めたい生活習慣

・禁煙
喫煙は妊婦さんにとっても、赤ちゃんにとっても厳禁!タバコに含まれるニコチンによって末梢血管の収縮が起こりやすくなります。特に妊娠中は血液が固まりやすく、血管がつまりやすい状態。子宮へも血液が流れにくくなり、胎児に栄養が充分に行き届かないことから、低体重児で生まれるリスクが高まります。とはいえ、妊娠後すぐに禁煙するのは難しいので、妊娠を希望するなら今すぐタバコはやめましょう。

・禁酒
妊娠中にお酒を飲むと、胎盤を通じて胎児にアルコール成分を含んだ血液が届くことになり、胎児性アルコール症候群と呼ばれる異常を引き起こすリスクがあります。顔面の異常形成や知的障害、小頭症、低身長や低体重などの症状が出ることも。妊娠に気づいた段階で禁酒をすれば問題ないとはされていますが、妊娠に気づくタイミングによっては胎児に影響を及ぼす可能性がありますので、妊娠を考えた段階で禁酒しておくと安心です。

・カフェインフリー
妊娠とカフェインによる影響ははっきりとはわかっていませんが、1日に8杯以上ものコーヒーを摂取すると、流産や低体重児が生まれるリスクが高まるとされています。妊娠がわかったら、コーヒーや紅茶は2~3杯程度までに抑えて、カフェインフリーの飲み物を飲むようにしましょう。

・ストレス対策
妊娠中は身体の変化や産後の育児への不安、不眠などストレスを抱えやすくなります。しかし、ホルモンの変化が著しく、体調変化も激しい妊娠中は、自分の気持ちのコントロールも難しくなります。だからこそ、パパとなる旦那様に「妊娠中やママはこんなにも大変なんだ」ということを理解してもらい、できる限りサポートしてもらえるよう一緒に学んでおくことが大切です。

妊娠後、なによりも大切なのは、おなかの赤ちゃんがすくすくと育ち、元気に生まれてくること。そのために、妊娠してから止めるべきことと、妊娠前から気をつけておきたいことがたくさんあります。妊娠する前にこうしたことを知っておくことで、健やかで、ハッピーな妊娠生活を送れるようにしましょう。
ヘルスケア-妊娠前に読んでおきたい、これはやっておきたい8つのこと

不妊に悩んでいる人へのアドバイス

不妊の原因はさまざまだが、女性では年齢の影響が大きい。長引く治療では息抜きも必要。夫婦でコミュニケーションをとりながら治療にのぞんでほしい。

「不妊症」は定義・診断基準が明確でなく、原因は多岐にわたる
不妊症においては他の疾患と異なる特徴がいくつかあります。まず、その定義が明白でないこと。一般的に2年以上妊娠しない場合に不妊症と診断される場合が多いと思われますが、これは健常な男女が定期的に夫婦生活を営んだ場合、1年以内に約80%、2年以内に約90%で妊娠が成立するものの、3年目以降には新しく妊娠するご夫婦が増えてこなくなる、すなわち累積妊娠数が3年目以降は頭打ちになるという統計に基づいて従来からいわれてきたことなのです。したがって約10組に1組のご夫婦が不妊症のカップルということになります。

しかしながら最近ではこの数字は確実に増加しており、現在では7~8組に1組が不妊症のカップルともいわれています。これには女性の社会進出に伴う晩婚化が影響しており、近年問題となっている少子化も、女性の晩婚化が一因となっていると分析されています。不妊症のカップルが増えているのは、女性の結婚年齢および出産年齢が高くなっていることが最大の原因と考えられます。

次に診断基準が明確でないこと。ほかの疾患では、例えば血糖値がある一定値を超えれば糖尿病と診断されますし、胃カメラで胃の中に潰瘍(かいよう)形成が見つかれば胃潰瘍と診断されます。ところが不妊症は病名こそついていますが、ある独立した一つの病気ではなく、一定期間妊娠しない状態、すなわち2年間以上の不妊状態についてこの病名を当てはめています。

ですからその原因は多岐にわたっており、一つの大きな原因が見つかることもあれば、いろいろな相対的な要因が組み合わさっていることもあります。また、機能性不妊あるいは原因不明不妊といわれる、検査所見上は特定できる原因は見つからないものの、なかなか結果が出ないケースもあります。これも正確には原因がないわけでは決してなく、それまでに行われた検査では、原因を見つけることができないというだけのことなのです。
よく外来で「私の不妊原因は何ですか?」というようなご質問をお受けしますが、厳密な意味で正確にお答えすることは非常に難しいということになります。

女性は35歳以上になると妊娠率が低下、流産率は増加する
また、妊娠には女性の年齢が大きく関与してくること。すなわち女性の年齢によって、検査や治療の内容やスピードが大きく左右されます。男性があまり年齢の影響を受けないことと比較すると、女性の場合、とくに35歳以上になると卵子の老化に伴う質の低下によって妊娠率は明らかに低下してきますし、運よく妊娠された場合でも流産率は増加してきます。40歳以降の女性のtaking baby home rate(無事に出産して赤ちゃんと共に自宅に戻る確率)は、なんと約2%といわれています。
我々不妊治療を行う側においても患者年齢を考慮し治療計画を立てていかねばならないため、女性の年齢は一番重要なファクターといっても過言ではありません。

もちろん理想は自然妊娠ですから、より負担の少ない方法で妊娠していただきたいのですが、一方で患者さんにとっては妊娠することが最終目標ではなく、家庭に新しい家族が増えて、子育てをして新しい生活を営んでいただくことまでを治療のゴールと考えると、効率よく妊娠していただくための治療手段を考えるという点も大変重要な要素になってきます。

不妊治療は二人でじっくり話し合って進めてほしい
そしてもう一つ重要なことは、治療にはご主人の理解と協力が不可欠なことです。よくご主人があまり協力的でなく女性側だけで検査や治療を進めていくケースがありますが、タイミング指導ぐらいまではいいものの、誘発剤を使用したり、人工授精に移行したりと治療のステップアップを考えていく上では、どうしてもご主人の協力がないとうまく治療が進みません。

そして何よりも精神的な支えとして、ご主人のバックアップは必要と考えます。とくにお子さんがすでにいらっしゃる場合の治療に関しては、ご夫婦の間で治療に対する温度差を感じることもたびたびあります。
スムースな治療計画を立てていくためには、長い目で見た場合、まずは検査や治療の進め方について、いつまでするのか、どこまでするのか、といった大きな事柄に関しては、お二人でじっくり話し合ってコミュニケーションをとりながら行ってほしいものです。

治療には根気が必要だが、ときには肩の力を抜くことも大事
さて、不妊治療についてですが、大きく分けると次の4種類になります。
(1)タイミング指導
(2)誘発剤(経口薬・注射薬)を併用したタイミング指導
(3)人工授精の併用
(4)体外受精や顕微授精などの補助生殖医療(ART)

通常、(1)から順番に階段を上るように徐々にステップアップしていきます。

妊娠の成立には、排卵から卵管による卵子の捕捉および受精を経て、受精卵の分割や子宮への移送、最終的な着床という一連のプロセスを経てゴールまでたどり着くのですが、それまでにたくさんのハードルがあります。患者さんは毎周期どこかのハードルでつまずいているのです。そのハードルをいくつか取っ払ってゴールにたどり着きやすくするのが不妊治療ということになります。

治療が進むにつれて取っ払うハードルの数が増えるので妊娠率は高くなりますが、その分患者さん側の負担も増大してきます。その際、治療回数やステップアップまでのインターバルを決める上で、前述した年齢や不妊原因、不妊期間、過去の治療歴といった要素が重要になってきます。

また治療の奏功率すなわち妊娠率ですが、タイミング指導で1周期あたり5~10%、一番確率の高い補助生殖医療でも胚移植1回あたりの成功率は30%前後なので、まだまだ十分満足のいく成績ではありません。ですから不妊治療には根気や息抜きといったことも必要で、治療が長引いて精神的に煮詰まってしまわないように、ときには休憩を挟んだりして肩の力を抜くことも大事なことと考えます。

そして医療機関を選ぶ際には、治療に関してご夫婦の希望が第一になりますので、それを尊重しつつ正確な情報を提供し、治療計画を立ててくれる医療機関をお探しください。
あくまでも一般的にですが、妊娠率が比較的高い30歳代前半までは一つの治療を決めた場合には5~6周期は同じ治療を繰り返して次の段階へステップアップを、30代後半からは3周期程度でステップアップということがすすめられています。
ヘルスケア-不妊に悩んでいる人へのアドバイス