遺伝子検査でわかるようになった将来の病気の罹りやすさ、でもまだ限界もあります。遺伝子検査には大きく分けて3種類あり、検査法もさまざま。それぞれの特徴と検査からわかる病気を紹介します。

将来罹りやすい病気がわかる遺伝子検査-3つの検査方法とは

一番多く行われているのは、感染症を調べる「病原体遺伝子検査」

最近ではインターネットで申し込みできる消費者直販型(DTC:Direct to Consumer)の遺伝子検査も増え、ぐっと身近になった「遺伝子検査」。アンジェリーナ・ジョリーさんが遺伝子検査を受けて、将来がんになるリスクが高いことがわかり、まだがんにかかっていない乳房・卵巣・卵管を切除したことは記憶に新しいことでしょう。

でも、遺伝子検査の仕組みや、遺伝子検査で何を調べるかなどについては、知らない人がほとんどではないでしょうか。

広い意味で言うところの遺伝子検査(遺伝子関連検査)には、「病原体遺伝子検査」「体細胞遺伝子検査」「遺伝学的検査」などがあり、検査方法もさまざまです。現在、日本で一番多く行われている遺伝子関連検査は「病原体遺伝子検査」で、感染症の有無を調べる検査です。患者さんの体の中にウイルスや細菌の遺伝子がないかを調べる検査で、患者さん自身の遺伝子そのものを調べる検査ではありません。

「病原体遺伝子検査」では、肝炎ウイルス、結核菌をはじめ、さまざまな病原体の検査を行います。例えば通常は長い時間をかけないとわからない結核菌の有無が、遺伝子検査なら数時間でわかるのは大きなメリットです。

がん細胞の遺伝子の変化がわかる「体細胞遺伝子検査」

「体細胞遺伝子検査」は、がん細胞の遺伝子を調べる検査です。がんは、体の細胞の一部に後天的に遺伝子の変化が起こることで発症します。

そこで、「体細胞遺伝子検査」では、がんになった細胞の遺伝子の変化を調べて、診断に役立てたり、治療への反応性を調べたりします。ちなみに、こうした変化はがん細胞にだけ起こっているものなので、子供に遺伝したりすることはありません。

体全体の細胞に共通する遺伝子の変化を調べる「遺伝学的検査」

体の一部ではなく体全体の細胞に共通する遺伝子の変化を調べるのが「遺伝学的検査」です。全ての細胞に共通する遺伝子の変化ということは精子や卵子にも同様の変化がみられるわけで、子孫に遺伝する変化といえます。

先天性代謝異常症などの単一遺伝子病の診断のほか、複数の遺伝子と環境要因によって発生する糖尿病や高血圧などの多因子遺伝病を発症しやすいか、移植の際に問題になるHLAの遺伝子型、親子鑑定など個人識別といった検査は遺伝学的検査にあたります。遺伝子検査キットなどとしてインターネットなどで見られる遺伝子解析サービスも、遺伝学的検査に含まれます。しかし、遺伝学的検査でわかる情報はまだまだ限定的なのが実情で、これで病気のリスクが全てわかるかのような表現は正しくありません。

「遺伝学的検査」は内容を十分に理解して慎重に

遺伝学的検査で得られる情報は生まれつきで生涯変わることのない情報であり、患者さん本人だけでなく血縁者の遺伝情報も明らかになる場合があるので、十分に内容を理解して検査を受ける必要があります。

子宮内の胎児の状態を調べる「出生前検査(出生前診断)」でも遺伝学的検査が行われています。ただ、治療法が確立されていない疾患もたくさんあり、また、確実に診断できるというわけではないため、慎重に行う必要があります。

【参考】
『医師に聞けないあんな疑問 医師が解きたいこんな誤解』