初めまして。これからこのサイトで、韓国の健康&美容、医療事情をご紹介することになりました旅行ライターの木谷朋子です。韓国の取材をするようになって早12年になります。

取材中に知った韓国の伝統医療「韓方医学=韓方(ハンバン)」のこと、韓国政府がここ数年国家プロジェクトとして推進している「医療ツーリズム」の実態、人気の韓国コスメ事情についても書いていきたいと思っています。どうぞお付き合いください。

ソウル・京東市場の韓方薬剤。生薬独特の香りが漂います

ソウル・京東市場の韓方薬剤。生薬独特の香りが漂います

未病を防ぐ韓方医学(韓方)のチカラ

「未病を防ぐ」という「韓方」の考え方に私が興味をもつようになったのは、現代医学では深刻な病気と捉えられない症状でも、将来病気の原因になるのでは?と思っていたことがきっかけです。例えば、「肩こり」、「だるさ」、「むくみ」などは、症状があっても、普通の人は病院にまでは行かないと思います。「韓方」は、このなんとなく体が不調という症状に効果があると言われています。

以前から、日本の病院で、患者の顔をあまり見ない医師が多いことに不安と疑問を感じていた私は、韓国の韓方医の先生が、「患者の顔色を見る望診」、「体の調子やお通じ、睡眠、食欲などを聞く問診」、「脈をみる脈診」を行い、じっくり患者の話を聞いてくれるのにも驚きました。

近年「韓方」は、アトピー疾患やリウマチ、不妊症など、現代医学ではすぐに解決できない病にも効果を発揮するということで、世界的にも関心を高めています。

四象体質診断(韓国式の体質診断)の結果説明を受けているところ

四象体質診断(韓国式の体質診断)の結果説明を受けているところ

韓国ドラマ『宮廷女官チャングムの誓い』『ホ・ジュン』の影響

「韓方」というのは、中国の漢方医学が韓国に伝わり、その後、韓国の風土、韓国人の体質や生活習慣などに合うように研究され発展してきた医学を指します。日本では、韓国ドラマ『宮廷女官チャングムの誓い』(2004年~2005年)が放送されたことで、「韓方」や「薬膳料理」への興味が広がりました。

1000年の歴史があると言われる「韓方」ですが、1610年にはホ・ジュンという、今なお韓国で名医と慕われる韓方医が、韓方の医学書『東医宝鑑』を執筆しています。この医学書は、ホ・ジュンが弟子とともに編纂したもので、現在も、東アジア医学を集大成させた医学書として、ユネスコ世界遺産にも登録されている韓方医のバイブルです。

日本人には美容に関係ある治療が人気

韓国では、現代医学と韓方医学の2つに医学が分かれています。韓方医になるためには、現代医学の学生と同様、大学で6年間学び、さらに研修医として学ばなくてはなりません。日本では明治以降、江戸時代までいた「漢方医」は、西洋医学の流入と同時に医師として認められなくなり、それまで日本にあった伝統医療は衰退してしまいました。現代医学(西洋医学)が圧倒的に主流ですし、東洋医学を民間療法ととらえる傾向にありますので、システムや考え方は、韓国と大きく異なります。

現在、韓国各地には多くの韓方病院があり、多くの人が日常的に利用しています。中には、日本語通訳や日本人の考え方を理解するスタッフを常駐させ、日本人観光客が安心できる体制を整えている病院もあります。

朝鮮時代とは違い、現代の韓方医療は、鍼や灸、生薬の処方だけではありません。MRIやCT撮影なども併用し、正確なデータに基づいた副作用がない韓方治療を目指しています。また、現代医学と韓方医学の融合を積極的に行っている病院では、患者の体質や状態に合わせた統合治療(現代医療と代替医療をあわせた治療)を行っています。

日本人に人気のある分野は、やはり美容と関連した治療です。「シワやたるみの改善」、「ニキビ治療」、「肥満治療」が多く、早く効果がある治療法が好まれています。今後はエステよりも、美容皮膚科で治療を受けたり、韓方病院で美容鍼を打つ日本人女性が増えるかもしれませんね。

(文・写真ともに木谷朋子)