疲れやだるさを感じたら筋膜を伸ばしてみよう-筋膜ストレッチとは

寝起きの「のび」の要領で、体全体を包み込む筋膜を伸ばす

体全体が四方八方に伸びていく感覚で90秒以上。筋膜が柔軟になると体が軽くなり、こりやむくみも解消

筋膜のよじれや癒着は筋肉の活動を妨げ、不快な症状の原因にも

 スポーツや肉体労働などで全身を酷使すると、体全体の筋肉や筋肉を覆う筋膜も酷使され、疲れやだるさを感じたり、体の動きもにぶくなります。このようなときは、筋膜をじっくり伸ばすと、疲れやだるさの解消に効果があります。

 筋膜とはコラーゲン、エラスチンという2種類の伸縮性の異なる線維でできたネット状の薄い膜で、体全体を筒のようにすっぽりと包み込み、姿勢を支える上で重要な働きをしています。

 体を使いすぎる人だけでなく、座ったままあるいは立ったまま長時間仕事をしているような人も、筋膜はダメージを受けやすくなります。後者の場合、体の一部を使い過ぎる反面、一部は使われないというインバランス(不均衡)が生じ、筋膜がよじれたり、縮んで線維同士が癒着(ゆちゃく)したりしてしまいます。
 そうなると、筋肉の活動が妨げられ筋出力(自分の持っている筋力を発揮する力)も低下して体の動きが悪くなり、疲れやだるさ、肩こり・腰痛、むくみなどの原因にもなります。

 筋膜のよじれや癒着が改善されて柔軟になれば、筋肉の動きもなめらかになり、体が軽くなり、不快な症状の解消につながります。
 そこで今回は、筋膜のストレッチを紹介しましょう。

筋膜のストレッチは90秒以上かけてじっくり伸ばす

 筋膜のストレッチは、筋肉のストレッチに比べて伸ばす時間が90秒以上と長くかかるのが特徴です。はじめは比較的伸びやすいエラスチンが伸び、90秒かけてじっくり伸ばすことで、伸びにくいコラーゲン線維までほぐすことができます。

 このストレッチは、寝起きに「のび」をする要領で気持ちよく伸ばします。布団の上やいすに座ったままでもできますが、ここでは立って行う方法を紹介します。

(1)両足の裏をぴったり床につけます(できれば靴を脱げるところで)。その状態で、両腕を真上や真横に上げて伸ばしながら、上半身をゆっくり自由にいろいろな方向に動かします。胸は張るようにします。

(2)両腕、頭と上半身全体をそれぞれまっすぐに伸ばしましょう。両足は床から浮かさないで、むしろまっすぐ床の中に入り込んでいくように伸ばしましょう。いろいろな方向に動かしながら、気持ちがいいと感じるところで、そのまま90秒以上伸ばしてください。呼吸は止めずに行い、引き続きいろいろな方向で繰り返すと効果的です。

 腕、脚、胴体を筒のようなものとイメージし、その筒を一つずつ反対側に引っぱる感覚でじわーっと伸ばしましょう。体全体が四方八方に伸ばされていく感じが大切です。勢いをつけたり、無理に伸ばすことは避けましょう。

 以前紹介した「腰のだるさ」や「脚のむくみ」をとるストレッチも、筋膜のストレッチです(「仕事の合間に簡単ストレッチ5 腰のだるさ」「仕事の合間に簡単ストレッチ6 脚のむくみ」)。どちらも、腰や脚だけでなく全身を気持ちよく伸ばすことができるので、今回のストレッチと組み合せて行うことをおすすめします。

(編集・制作 (株)法研)

【監修】
竹井 仁先生


首都大学東京健康福祉学部理学療法学科 教授
昭和62年に理学療法士となる。平成9年3月に筑波大学大学院リハビリテーション修士、平成14年10月に東邦大学大学院医学研究科にて医学博士授与。公益社団法人東京都理学療法士協会副会長。専門は、徒手療法、神経筋骨関節疾患、運動学。著書に『たるみリセット』、『不調リセット』(いずれもヴィレッジブックス)、『肩こりにさよなら!』(自由国民社)、『「顔たるみ」とり』(講談社)、ほかに理学療法学関係の専門書多数。テレビ出演や雑誌掲載も多数。

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