冬場によく眠れない人の快眠術-眠りにちょうど良い室温は何度?

室温、体温……温度管理が快眠のきめ手

寝室は適度な温度と湿度に調節。眠気をもたらす体温低下の工夫と、「メラトニン」の分泌を促す

室温は20度くらいに

 暖房の普及で、冬は寒くて眠れない、などということはほとんどなくなったでしょうが、一部の人、例えば冷え性の人などにとっては歓迎されない季節かもしれません。冬でも“春眠”なみの快適な眠りを確保するには、この季節なりの工夫が必要です。

 まず寒さへの備えからみていきましょう。暖房が普及しているからといって、寝室を一晩中暖めておくのは感心しません。人間が快適に眠れる室温は18~20度、湿度は50~60%とされています。暖房をつけ放しのまま眠りについても、室温が上がりすぎては逆に眠りが浅くなってしまいますし、部屋の乾燥も進み、のどが渇いて目が覚めてしまうでしょう。

 通常、起きて活動しているときの暖房の温度設定は23度前後にしていることが多いようですが、就寝前には20度くらいに下げた設定をし、なおかつタイマーをかけて1時間後くらいには自動的にスイッチが切れるようにしておくとよいでしょう。また、乾燥対策には加湿器を使うことも考えましょう。それより、就寝1~2時間前に20℃くらいの温度設定で部屋を暖めておき、スイッチを切って眠りにつくほうがいいかもしれません。寝室内に蓄積された暖かさにより、就寝中にちょうどよい室温に下がっていきます。

手足のラジエーター効果を上げる

 人間のほうの温度、すなわち体温のメカニズムについても考えてみましょう。人間は体の深部の体温が下がってくると脳の働きが低下して眠気を感じます。眠くなると手足がポカポカと温かく感じた経験はありませんか。これは末梢の血管を拡張して体内の熱を放散して眠りに入ろうとしているためで、手足の末梢血管は体熱を放散するラジエーターのようなものなのです。ところが、いつも手足が冷たい冷え性の人はこの仕組みを有効に活用できないため、寒い時期はなかなか寝つけないことがあります。

 そこで、冬の寝つきをよくするには、就寝の1時間くらい前に40度前後のぬるめのお風呂にゆっくりつかっておくとよいでしょう。こうして適度に体温を上げておくと、眠りにつくころには体温が下がって眠気がおきやすくなります。同様に体温を上げておく方法として、軽めの運動があります。寝る3~4時間前に、ウオーキングのような軽い運動を30分ほど、少し汗ばむ程度にやっておくと、少し上昇した体温が、寝るころには下がってくるというわけです。

睡眠に関係するホルモン「メラトニン」の分泌を促す

 もう一つ、体の働きで重要なポイントがあります。それはホルモンの分泌です。私たちの脳内では、眠気の発現と関連するメラトニンというホルモンが分泌されます。メラトニンはだいたい夜9時ころから分泌が高まって眠気を促し、朝の6時ころになると分泌が抑えられて目が覚めるというリズムを刻んでいます。

 メラトニンの分泌と深くかかわっているのは、人間の“体内時計”の働きです。人間の睡眠・覚醒のリズムは約25時間なのですが、私たちはこれを1日24時間のリズムに修正して生活しています。このときに重要なのは朝の太陽の光です。朝目覚めて太陽の光を浴びると、体内時計がリセットされ、メラトニン分泌の規則正しいリズムを整えるのです。

 メラトニンは朝目覚めてからだいたい14時間後から分泌量が増え出し、その2時間後くらいから眠気が訪れます。日照時間が短い冬はメラトニンの分泌は少なめ。だからこそ冬は、午前中にできるだけ日の光を浴びておくということも、快眠を得るための重要なポイントになります。

【監修】
財団法人神経研究所附属睡眠学センター研究員 駒田陽子先生
財団法人神経研究所附属睡眠学センター部長・代々木睡眠クリニック院長、東京医科大学精神医学講座教授 井上雄一先生


駒田陽子先生
財団法人神経研究所附属睡眠学センター研究員
博士(人間科学)。国立精神・神経センター精神保健研究所、日本学術振興会特別研究員を経て現職。日本睡眠学会評議員、日本臨床神経生理学会認定技術師。

井上雄一先生
財団法人神経研究所附属睡眠学センター部長・代々木睡眠クリニック院長
東京医科大学精神医学講座教授
医学博士。日本睡眠学会理事。著書に『ササッとわかる「睡眠障害」解消法』(講談社)、『睡眠障害診断マニュアル』(ライフ・サイエンス)など。

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