臭いおならは腸内の悪玉菌が原因-腸内環境を整えるには?

悪玉菌が多いと臭くなる。においがきつくないのは健康な証拠

肉食が多いと腸内でにおいの強い有害物質が発生。がんや生活習慣病が心配。発酵食品と運動で腸内環境を改善

正体は飲み込んだ空気や、食べものを分解するときに出るガス

 「出もの腫れものところ嫌わず」とは昔からよくいわれてきましたが、お尻から思わずもれてしまったガス(おなら)が、無音だったにもかかわらずにおいが強烈で、周囲に無言のひんしゅくを呼び起こしてしまった、という経験はありませんか。
 もしもにおいがしなかったら、そんなバツの悪い思いをせずに済んだかもしれませんね。それに、においの少ないおならのときは、実は腸の中もバツ(×)が少ない良好な状態でもあるのです。出るものはしかたありません。でもそのときは、できるだけにおいの少ないものであることが、自分にも周囲にも望ましいというわけです。

 そもそも、おならのほとんどの成分は、食事のときなどに口から飲み込んだ空気で、これが約70%を占めます。残りは腸壁を通して血液中から浸透してきたガスと、食べもののかすが腸内で細菌により分解されて発生したガス。おなら成分の90%を占める窒素、水素、炭酸ガス、メタンなどは無臭ですが、腸内細菌が産生したガスの中に含まれる硫化水素やインドール、アンモニア、スカトールなどが悪臭のもとになります。

おならが臭いのはなぜ? おならを我慢すると?

 食べもののかすのうち、肉などの動物性たんぱく質や脂肪を大腸菌やクロストリジウム(特にウエルシュ菌)などのいわゆる悪玉菌が分解するときに悪臭を強くする有害物質を発生させます。おならのにおいが強いのは悪玉菌が増えているときで、高脂肪・高たんぱくの食事が続いたり、胃腸の機能が弱っていると起こります。

 通常、貯まった腸内ガスは排便時に排出されますが、困るのは周囲に人がいる場合。ところ嫌わず出ようとするものを、無理に我慢するとどうなるのでしょうか。たまったガスの圧力は腹痛を引き起こすでしょう。ガスが胃を圧迫すると食欲不振、吐き気、胸焼けなどを起こすことがあります。腸の消化吸収の働きを悪くしたり、大便の排出の妨げになる可能性もあります。腸内に食べものかすがとどまっている時間が長くなれば、その分、有害物質の発生も多くなり、大腸の病気や生活習慣病の危険性が高まります。また、腸内細菌が産生したガスが腸内で吸収されると、肌荒れや吹き出物が出やすくなるなど、時と場合によりやむを得ないこともあるかもしれませんが、おならを我慢するのはよいことではなさそうです。

腸内環境を整えよう

 有害物質の発生しやすい腸内の環境を改善するには、肉食に偏らず野菜、豆や海藻類もたっぷり取り入れた食生活に修正することです。とくに、ごぼう、にんじん、大根、いも類などの根菜や、大豆や小豆などのまめ類、わかめ、ひじき、こんぶなどの海藻類に豊富な食物繊維は便通を整えてくれます。

 腸内にいる細菌のうち、ビフィズス菌や乳酸菌などいわゆる善玉菌は、悪玉菌の活動を抑制し腸内での腐敗の進行を食い止めることがわかっており、善玉菌を増やせば腸内環境はどんどん良くなるといわれます。
 そこで実践したいのが、ヨーグルトをはじめとした善玉菌を多く含む発酵食品を食卓に取り入れること。ヨーグルトは「特定保健用食品(トクホ)」に指定されているものがよいでしょう。これなら乳酸菌やビフィズス菌が生きたまま大腸まで届くことが証明されているからです。また、ぬかみそ漬けやすぐき漬け、納豆などといった日本の伝統的な発酵食品もぜひ利用したいものです。
 こうした食生活の改善をしてもおならは出てくるでしょうが、有害物質を生み出す悪玉菌より善玉菌が優位になっていれば、顔をしかめるようなにおいは少なくなるはずです。

 ところで、年齢とともに腸の機能も低下しがち。腸内の善玉菌が減って悪玉菌が増えてしまうのは防ぎようがありません。しかし最近は、若い女性でも悪玉菌が増える傾向にあります。これには食生活の欧米化やストレス、誤ったダイエットによる偏った食事内容、運動不足などから便秘になる人が多いためではないかと見られています。
 毎日朝食をきちんと食べることから食事の習慣と内容を見直し、運動によって、腸のまわりの筋肉(腸腰筋や大腰筋など)を鍛えることなどを心がけるようにすれば、腸内環境が整えられ、おならのにおいが気にならなくなるでしょう。


(編集・制作 (株)法研)

【監修】
辨野 義己(べんの よしみ)先生


理化学研究所イノベーション推進センター 特別招聘研究員
1973年酪農学園大学獣医学科卒業後、東京農工大学大学院を経て、1974年理化学研究所入所。微生物系統保存施設分類室室長、農林水産先端科学研究所ルーメン共生微生物チームリーダー、バイオリソースセンター 微生物材料開発室室長などを経て、2009年より現職。農学博士。専門領域は腸内環境学、微生物分類学。日本臨床腸内微生物学会理事、国際嫌気性グラム陰性菌分類命名小委員会委員などを務める。文部科学大臣表彰・科学技術賞(理解増進部門)など受賞。著書に、『健腸生活のススメ』(日本経済新聞社)、『見た目の若さは、腸年齢で決まる』(PHP研究所)、『元気のしるし 朝うんち』(少年写真新聞社)など多数。

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