災害時のストレスからくる不調はどうすればいい? 6つの対策法

できるだけ休息と睡眠をとって、心と体を休ませる

眠れないときの工夫や、自分でできるストレスの対処法を知っておこう

震災のストレスからくる心身の不調を訴える人が多い

 3月11日に発生した東日本大震災は東北地方太平洋沿岸を中心に、広い範囲にわたって甚大な被害をもたらしました。地震後しばらくは、津波による被害を伝える映像がテレビなどでくり返し放映され、日本中に衝撃を与えました。頻発する余震と福島第一原発の事故による放射性物質の放出も加わって、被災地の人だけでなく、多くの人が震災によるストレスから心身の不調に悩んでいることが報じられています。

 厚生労働省では、長期化が予測される避難生活で心身の健康を守るための対策案「被災地での健康を守るために」を配信しています。その中の「こころのケア」では、大きなストレスにさらされ不安や心配がつのるのは誰にもあることとして、できるだけ休息や睡眠をとることをすすめています。

 大きな災害直後の不安や悲しみなどは人間として自然な感情であり、時が経てば多くの人が自力で立ち直るといわれています。しかし回復にかかる時間は人により異なりますから、周りの人が見守り支えながら、回復を待つことが大切です。
 「イライラする」、「怒りっぽくなる」、「眠れない」、「動悸・息切れがして苦しい」などの症状があるときや、その他心身の不調に気づいたら、無理をせず、身近な人やメンタルヘルスの専門家に相談しましょう。

眠れないときはどうすればいい?

 ストレスを軽減するためには、特に休息や睡眠をとって心と体を休ませることが大切です。しかしまた、大きなストレスが「不眠」を招くことは少なくありません。それでは、眠れないときはどうしたらいいでしょうか?
 厚生労働省の研究班が作成した「睡眠障害の診断・治療ガイドライン」から、「よい睡眠を得るための12項目」を抜粋して以下に紹介します。できることから実行して、質・量ともに充実した睡眠をとるために役立ててください。

●よい睡眠を得るための12項目
1.睡眠時間は人それぞれ、日中の眠気で困らなければ十分
 睡眠の長い人、短い人、季節でも変化、8時間にこだわらない
2.刺激物を避け、眠る前には自分なりのリラックス法
 軽い読書、音楽、ぬるめの入浴、香り、筋弛緩トレーニング
3.眠たくなってから床に就く、就床時刻にこだわりすぎない
 眠ろうとする意気込みが頭をさえさせ寝つきを悪くする
4.同じ時刻に毎日起床
 早寝早起きではなく、早起きが早寝に通じる
5.光の利用でよい睡眠
 目が覚めたら日光を取り入れ、体内時計をスイッチオン、夜は明るすぎない照明を
6.規則正しい3度の食事、規則的な運動習慣
 朝食は心と体の目覚めに重要、夜食はごく軽く、運動習慣は熟睡を促進
7.昼寝をするなら、15時前の20~30分
 長い昼寝はかえってぼんやりのもと、夕方以降の昼寝は夜の睡眠に悪影響
8.眠りが浅いときは、むしろ積極的に遅寝・早起きに
 寝床で長く過ごしすぎると熟睡感が減る
9.睡眠中の激しいイビキ・呼吸停止や足のぴくつき・むずむず感は要注意
 背景に睡眠の病気、専門治療が必要
10.十分眠っても日中の眠気が強いときは専門医
 車の運転に注意
11.睡眠薬代わりの寝酒は不眠のもと
 睡眠薬代わりの寝酒は、深い睡眠を減らし、夜中に目覚める原因となる
12.睡眠薬は医師の指示で正しく使えば安全
 一定時刻に服用し就寝、アルコールとの併用をしない

自分でできるストレスの対処法を知っておこう

 今回の震災では被災地以外の人にもストレスから心身の不調を訴える人が多いことは前述しました。震源地からは遠い首都圏でも震度5程度の大きな地震を体験しているうえ、余震、放射性物質の拡散、計画停電など、緊張を強いられる状態が続いているのですから無理もないといえるでしょう。
 そんな生活の中で、ストレスを和らげるために、自分でできる対処法を紹介します。

●生活リズムを規則的に
 よい睡眠を得るための方法とも重なりますが、規則正しい生活を送ることは心身の健康を保つうえでとても大切です。すでに生活リズムができている人は、できるだけそれを保つようにしましょう。

●体と心をリラックスさせる時間をもつ
 好きな音楽のなかでも心がおだやかになるものを聞いたり、好きなハーブティやお茶を飲んだりして、ゆったりとリラックスする時間をもちましょう。

●ゆっくり深呼吸を
 ゆっくりした深い呼吸は、気持ちを落ち着かせるのに役立ちます。前述の厚生労働省「被災地での健康を守るために」では、不安や心配を和らげる方法として「6秒で大きく吐き、6秒で軽く吸う、朝、夕5分ずつ」を紹介しています。

●親しい人と一緒に過ごす、話しをする
 友人や家族など身近な人と一緒に過ごしたり話をすることで、不安や緊張が和らぎ、ストレスの軽減につながります。親しい人とのスキンシップも大変有効です。

●体を動かす
 運動による気晴らし効果は誰もが体験したことがあるでしょう。適度の運動やストレッチは、その行為に気持ちを集中させ、不安な気持ちを忘れ前向きな気持ちになれます。また、神経や筋肉の緊張がほぐれることで心の緊張もほぐれ、リラックスすることができます。

●お風呂でゆっくり
 温かいお湯につかることでフーっと気持ちがゆるみます。また、体が温まることで副交感神経が優位になってリラックスできます。

<参 考>
厚生労働省「被災地での健康を守るために」
厚生労働省「こころの健康を守るために」
(独)国立精神・神経医療研究センター「東北地方太平洋沖地震メンタルヘルス情報サイト」
(株)法研「震災時の心と体のケアQ&A」


(編集・制作 (株)法研)

その他のフィットネス&リラックスコラム

この記事を見ているひとはこんな記事も見ています

震災から5年…経験者が語る【今、備えておきたいもの】

東日本大震災から5年がたちました。震災直後はあれこれとストックした防災用品なども、すっかりしまい込んだままにしていませんか? 震災を経験された東北の方に伺った「あの時、欲しかったもの」「あってよかったもの」「あの後、備えたもの」を、貴重... 続きを読む

震災で受けたストレスの癒し方-起きた出来事を振り返ることの大切さ

2011年3月11日。未曾有の震災が日本を襲いました。あの日、あなたはどのように過ごしていたでしょうか。今までにない揺れに恐怖心でいっぱいだったり、電話がつながらなくて不安になったり、ライフラインが止まってしまって困惑したり。思い返してみる... 続きを読む

ボディメンテナンス・ダイエット1 体形チェックで太る体質か分かる

ダイエットは、健康を損なうようなものでは意味がありませんし、手軽にできる方法でなくては続きません。そこで今回から、無理なくできてより健康になれる「ボディメンテナンス・ダイエット」を紹介します。
「ボディメンテナンス」とは、体の調子を整え... 続きを読む

放射能から身を守る-暮らしの中で注意すること、食事の調理方法

福島第一原子力発電所の事故によって、大量の放射性物質が大気中や海へと放出され、発電所の周辺に住む人たちが避難させられたり、福島県とその近県、および関東地方を中心に、野菜や水、牛乳、肉、魚などから規制値を超える放射性物質が検出されたことはご... 続きを読む

睡眠不足は仕事に悪影響-働く世代の快眠10か条

ある調査による日本人の平均睡眠時間は7時間22分。これは、世界的にみても短い時間です。アメリカの実験によると、6時間睡眠を2週間続けた場合、作業能率は一晩徹夜したのと同じくらい低下することが明らかになっています。
また、1日の睡眠時間... 続きを読む

【医者が教える】高齢者の在宅医療‐被災地で必要な介護とは

3月11日の大震災に対して、日本中、世界中がその不幸を悼み、そして今後の被災地の復旧、復興を願い、応援しています。私も、その一人です。
私が初めて被災地、石巻市を訪れたのは、4月下旬のことでした。避難所では、物資や人的援助はおおむね充... 続きを読む

蚊の被害 7つの対策と9つのかゆみ対処法

蚊に刺されやすい人の6つの特徴

血液型
よく刺されやすい血液型と、刺されにくい血液型があると言われる。一般的には、O型が刺されやすく、A型が刺されにくいと言われている。
カ - goo Wikipedia (ウィキペディア)
... 続きを読む

戦争や災害だけではないPTSDの原因

多様化してきたPTSDの原因
PTSDとは、心的外傷により生じた過覚醒症状や回避、侵入症状といった症状が1ヶ月以上続いている状態を指す障害です。1ヶ月未満の症状はASDにあたります。


ASDは、大きなショックを受けた後の正常な... 続きを読む

被災地の現状-行政のサポートが届かない在宅避難者の困難

東日本大震災後、被災地石巻市の住民は約15万人。そのうち、震災前住んでいた住宅に、これまで通りに住むことができない状態にある方は約5.2万人おられます。そのうち2.2万人が仮設住宅で、1.8万人が借上仮設住宅で暮らしています。そしてそのほ... 続きを読む

災害時への備えについて-職場で災害にあったら、必要な備えは?

東日本大震災から、早いものでもう3年が過ぎました。そのときの体験を教訓に、具体的・現実的な災害時への対応法が紹介されてきました。地震の活動期に入っているといわれる日本列島では、そう遠くない将来、東日本並みかそれを上回る巨大地震の発生が心配... 続きを読む