子宮・卵巣の病気を予防する新しい検診スタイル

豊かな食生活、初潮の低年齢化、子どもを産まない夫婦など、疲れている子宮・卵巣を病気からどう守るか。
休む暇が少なくなった現代女性の子宮・卵巣
かつて日本女性は、15歳くらいで月経が始まり、18歳で結婚し、その1年後には子どもを出産するといったことも、それほどめずらしくありませんでした。ところが現代では、食生活が豊かになり、栄養状態が向上したことから、初潮年齢も平均12歳とかなり低年齢化しています。
加えて、晩婚化が進み、結婚しても子どもをもつ時期を先延ばしにする傾向があるため、第一子を出産するのは平均27歳くらいといわれています。また、閉経年齢も後ろにずれ込み、昔に比べ高齢化してきています。つまり現代の女性は、初潮を迎えて身体的に妊娠の準備が整う思春期から、妊娠するまでの期間、あるいは閉経までの期間が昔よりも長くなってきたということになります。
さらに最近では、結婚しても子どもをつくらないカップルも増えてきました。子どもをつくらない、すなわち妊娠しないということは、新しい生命を育む器官である子宮と卵巣にとっては月経の停止期間がなく、受精する準備をくりかえすばかりで、休む暇もなく排卵から月経に至るまでの仕事を続けることを意味します。
こうした状態が延々とくりかえされるとしたら、子宮や卵巣の細胞になんらかの異常が生じても不思議ではありません。あなたの子宮と卵巣は疲れていませんか?
受診者に負担の少ない画像診断
働き盛りの女性をおそう女性特有の病気、わけても骨盤内の子宮や卵巣など生殖器にかかわる婦人科疾患には、不妊や生命の危険をまねく重篤な病気につながるものがあります。子宮・卵巣の病気は自覚症状の現れにくいものが多く、日頃の健康管理により病気の1次予防を心がけるだけでなく、2次予防として早期発見・早期治療のための定期的な検診が欠かせません。
通常、婦人科の検査には、内診、血液検査、おりものの検査、細胞検査などに加え、超音波検査、MRIやCTなどの画像診断検査があります。MRIやCTなどは、これまで検査の流れの最後のほうで活用されることがほとんどでしたが、最近では、従来の内診や細胞診などを入り口とした検査方法だけでなく、受診者にとってより負担の少ないMRIやCTなどの画像検査を活用した検診のスタイルが新しい流れとして登場しています。
定期検診は健康への“先行投資”
子宮・卵巣の疾患は、いわゆる住民検診や企業健診ではチェックできないものが多々あります。それらの病気を未然に防ぐためには、自主的に医療機関や検査機関を訪れ、定期的な検診を受けるよう心がけることが重要になってきます。
それをめんどうくさいと感じるか、自分の将来の健康に対する“先行投資”ととらえるかは人それぞれかもしれません。しかし、いつまでも元気で輝き、仕事もプライベートも充実した魅力的な女性であるためには、自分の健康を維持するための先行投資も必要です。
(「子宮・卵巣の病気を防ぐ」高山雅臣編著、法研より/イラスト:中村啓子)