そろそろ「がん検診」を受けよう-受診の目安と検査方法

がんで亡くなる人が増え続けている!!

定期的な検診で早期発見できれば死亡のリスクが減り、負担の少ない治療も可能に

早期発見は定期的な検診で

 9月はがん征圧月間です。この四半世紀、がんは日本人の死亡原因の第1位。戦後がんの死亡者数はずっと増え続け、今年の6月に厚生労働省が発表した「平成18年人口動態統計の概況」によると、昨年は全死亡者の約3割にあたる33万人近くががんのために亡くなっています。40歳代からがんで亡くなる人の割合は増え、男性の60歳代、女性の50歳代では死亡原因の半数を占めるほどです。部位別の死亡者数は、男性は肺がん、胃がん、肝がん、大腸がんの順、女性は大腸がん、胃がん、肺がん、乳がん、肝がんの順に多くなっています。

 がんで命を落さないためには、がんにならないような生活習慣を心がけるとともに、早期発見、早期治療に努めること。早く見つけることができれば、治る可能性が大きいだけでなく、体に負担の少ない治療ですむのです。しかし、早期のがんでは自覚症状がないことが多いため、定期的にがん検診を受けることが重要です。

どこで、どんながん検診を受けたらいいの?

 がん検診を受けるにはどこへ行けばいいのかわからない、という方もいるでしょう。がん検診は、職場や自治体などによる健康診断のほか、人間ドックなどで受診できます。公務員や会社員は職場の検診を受けることができますが、そうでない人には自治体の検診があります。多くの自治体で、無料か低い料金でがん検診を行っていますが、あまり知られていないのか、受診率は低いそうです。
 自治体によって受診できる年齢や費用などの条件は異なりますから、広報紙やホームページなどで確認したうえで、積極的に利用することをおすすめします。40歳前後から、1年に1回はがん検診を受けるようにしましょう。

 それではどのようながん検診を受けたらよいのでしょうか。多くの自治体では、肺がん、胃がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんの検診と、肝炎ウイルス検査による肝がん検診が行われています。
 これらはいずれも、厚生労働省の研究班による『がん検診の有効性評価』(2001年公表)で、「検診により死亡率の減少効果がある」と評価されているものです。

定期的に受けたいがん検診と検査方法

 それぞれのがん検診について、受診の目安(多くの自治体で実施しているもの)や検査方法について紹介しましょう。

肺がん検診(受診の目安:40歳以上、年1回)
 基本の検診は「胸部X線検査」。気管支の末梢にできやすい腺がんの発見に有効。腺がんは非喫煙者にもみられるため、喫煙に関係なく受けたい。50歳以上でヘビースモーカーなどのハイリスク群には扁平上皮がんができやすく、これにはたんの中のがん細胞の有無を見る「喀痰(かくたん)細胞診」が有効なため、併用がすすめられる。

胃がん検診(受診の目安:40歳以上、年1回)
 日本人に多く死亡率は男女ともに2位。基本の検診はバリウムと発泡剤を飲んでX線撮影を行う「胃X線検査」。異常が見つかったら「胃内視鏡検査」を。

大腸がん検診(受診の目安:40歳以上、年1回)
 食生活の欧米化による動物性脂肪やたんぱく質のとりすぎが原因で急増中。便秘が大きなリスクに。基本の検診は、便に血液の混じりをみる「便潜血検査」。異常が見つかったら、バリウムを注入して行う「注腸X線検査」か、「大腸内視鏡検査」を。

乳がん検診(受診の目安:40歳以上の女性、2年に1回)
 40~50歳代が多発年齢だが、30歳代から増えはじめ20歳代でも安心はできない。基本の検診は、乳房のしこりの有無や乳頭の形などをみる「視触診」と、乳房のX線検査「マンモグラフィ」。超音波(エコー)検査が効果的な場合もある。自分で触ってチェックする毎月の自己検診は20歳代から習慣づけたい。

子宮頸がん検診(受診の目安:20歳以上の女性、2年に1回)
 50歳以上では減っているが、20歳代では急増。パピローマウイルスによる性感染症から発生しやすいため、性行動が活発な若い人ほど受診することが望ましい。基本の検診は、子宮の入り口の粘膜からこすり取った細胞を調べる「頸部細胞診」。

肝がん検診
 肝がんはB型・C型のウイルス性肝炎から慢性肝炎・肝硬変を経て起こることが多いため、これらのウイルス感染の有無を血液検査で調べる「肝炎ウイルス検査」を行う。ウイルス感染の有無は一度受ければ分かる。

 どんな検診もがんを100%発見できるものではなく、ある程度の見落しはつきものですが、だからこそ毎年、定期的に受けることが大切なのです。

(「すこやかファミリー」法研より)

【監修】
岡野匡雄先生


東京都多摩がん検診センター 副所長
昭和45年日本大学医学部卒業。内科研修後日本大学医学部病理学教室へ。昭和57年助教授となり米国へ留学。2年後日本大学へ復帰し、平成2年まで診療、教育、研究に従事。平成2年から(財)東京都保健医療公社 東部地域病院検査科部長、平成15年同病院副院長、平成16年より現職、現在に至る。病理・細胞診専門医・指導医・評議員、臨床検査医専門医、組織細胞化学会評議員、内科専門医、内分泌内科・糖尿病専門医(評議員)など。専門は「腫瘍(癌)とホルモン」。甲状腺がん、副腎腫瘍、膵ラ島腫瘍などに関し論文多数。

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