腎臓病とメタボの危険な関係‐食生活4つのポイント

どちらもまとめて防いでしまおう

危険因子が共通、メタボが進むと腎臓にも影響、腎臓が弱るとメタボも危ない。気をつけたい肥満、食塩、水分

肥満、高血圧、高血糖は腎臓病の引き金にも

 いま関心の高いメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)は、内臓脂肪型肥満に、高血圧、高血糖、脂質異常などの危険因子がいくつか重なった状態です。放っておけばほぼ確実に動脈硬化に進み、それはすなわち、心筋梗塞や脳梗塞といった死につながる病気の危険度が高まることになります。

 そこで、メタボリックシンドロームを予防・改善する取り組みが国を挙げて始まっていますが、メタボリックシンドロームの危険因子は同時に、腎臓病を引き起こす危険因子でもあります。大切なものごとを称して「肝腎かなめ」というように、腎臓は流れ込んでくる血液の中から老廃物を取り出し、それを尿として体外へ排泄して血液をきれいにする大事な器官で、腎臓の機能不全もまた命を脅かします。腎臓病を防ぐ生活は、同時にメタボリックシンドローム予防にもつながることを知っておいてください。

腎臓の働きが低下したらメタボも疑え

 メタボリックシンドロームが怖いのは、高血圧や高血糖などの危険因子の重なりが心臓や脳の動脈に動脈硬化をもたらすためと初めに述べましたが、高血圧や高血糖の状態が続くと腎臓の動脈にも動脈硬化がおこり、腎臓の血流が滞ってその働きが低下してしまいます。
 また、腎臓は血圧を上げるホルモンをつくるある種の酵素を分泌しています。動脈硬化などで血流が不足すると、腎臓は血圧を上げるホルモンを分泌するように働き、血圧を上げて少しでも多くの血液を循環させようとするのです。

 そこで、腎臓の働きが十分でないことがわかれば、高血圧、高血糖、さらにはメタボリックシンドロームなどが進んでいることも推測できます。しかし、腎臓の異常を自分で察知するのはかなり難しいといっていいでしょう。ほとんどの腎臓病は自覚症状があまりみられないことが特徴だからです。

 ふだんから気をつけていると腎臓の異常に気づきやすいのは、尿の状態とむくみです。排尿の回数や尿量が少なく(多く)なった/朝起きると顔がむくんでいる(とくにまぶた)/足のすねや甲がむくんでいる、などのことがあったら腎臓の働きの異常を疑ったほうがよいでしょう。

 しかしなんといっても、はっきりわかるのは健診での尿たんぱく検査です。尿にたんぱく質が出ていることが、腎臓病が見つかるいちばんのきっかけになります。ただし、たんぱく質がたくさん出ているからといって腎臓病が重いとは限らず、逆に少なくても病気が進行していることは少なくありません。また、健康な人でも、激しい運動をした後や疲れているときに尿たんぱくが出ることがありますから、こういう場合は医師に相談して原因をはっきりさせておくことが大切です。

肥満と塩分過剰にならないように

 腎臓を守る生活の一つは、肥満を防ぐことです。詳しいメカニズムはまだ解明されていませんが、肥満の人に腎臓の働きが低下している人が多いことは事実です。ともあれ、肥満は血圧や血糖値を上げ、脂質異常も招くことから、メタボリックシンドロームを防ぐ意味でもその対策は重要です。

 食生活で最も気をつけなければいけないのは、食塩(塩分)をとりすぎないことです。腎臓の働きが低下すると高血圧になりやすい上に、塩分過剰は血圧を上げる最も大きな危険因子ですから、ふだんの食事で食塩(塩分)を控え目にした薄味に慣れていくことが大切です。薄味に慣れるには次のような工夫をしてください。
・減塩調味料を使う。
・調味料を少なくするため、鮮度のよい食材を選んで素材の味そのものを味わう。
・調味料の代わりに香辛料、かんきつ類の酸味、ねぎやしょうがなどの薬味などで味を補う。
・めん類のつゆは飲み干さない。
・ねりものや干物、ハム、ソーセージなど加工食品の塩分に注意する。

 このほか、十分な水分摂取にも気を配りましょう。水分を十分にとることで、尿量を増やして排尿をスムーズにします。水や無糖のお茶で1日に1.5リットル以上をとってほしいものです。

【監修】
上野 高浩先生


日本大学医学部 腎臓高血圧内分泌内科
1987年日本大学医学部卒、91年日本大学大学院医学研究科修了。医学博士。98~2002年モントリオール大学医学部分子医学教室研究員。日本動脈硬化学会評議員、日本臨床栄養学会評議員、日本臨床生理学会評議員。専門領域はメタボリックシンドローム、高脂血症、高血圧、肥満、腎疾患など。

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