がんにならない生活‐分かりやすい6つの予防法

科学的根拠に基づく発がん危険度と予防策

原因の7割は生活習慣、だから予防も可能。日本人の生活に則した、信頼のできる対策が示されている

原因は遺伝子より生活習慣に

 9月は「がん征圧月間」です。日本人の死因の第1位を占めるがんに、まったく無関心の人はまずいないでしょう。「できれば、がんなんかにかかりたくない」という人に今回ご紹介するのは、日本人向けにまとめられた発がんの危険因子と予防法です。厚生労働省の研究班が、「現時点で明らかな」「科学的根拠に基づく」ものとして示しています。http://epi.ncc.go.jp/can_prev/preventive_measures.html

 がんを予防可能な病気としているのは、その原因の大部分を日常的な生活習慣が占めているからです。がんは遺伝子の異常が原因でおこる病気ですが、いわゆる遺伝病、つまり親から子へと遺伝する病気ではありません。そのような家族性のがんも少しはありますが、大半のがんはむしろ環境的な要因によるものであることがわかっています。
 主に欧米で行われた多くの研究結果を基にしてまとめられた報告ですが、喫煙、食事、運動不足、飲酒などの生活習慣が、がんの原因のほぼ7割を占めるとしています。それならば、逆にがんになりやすいことがわかっている生活習慣を改善することで、多くのがんを予防することができると考えられるのです。

現時点で明らかな危険因子と予防法はこれ

 これまでに積み重ねられた研究データを基に、いまの時点で信頼性が高いと判断されている日本人向けのがん予防法は、以下のようなものです。

●たばこを吸わない
 現時点で喫煙によって確実に危険度が高くなるとされているのは、肺、胃、食道のがんです。肝がんと膵がんはほぼ確実、大腸がん、乳がんは高くなる可能性があります。たばこを吸う人が、吸わない人と比べて何らかのがんにかかる危険度は約1.5倍。他人のたばこの煙を吸い込んでしまう受動喫煙も、できるだけ避けましょう。

●食事は偏りなくバランスよく
 毎食できるだけ多くの種類の食品を食べることです。その上で、以下のことに注意を。
・食塩の摂取量を減らすことが重要です。1日に男性は10g未満、女性は8g未満を目標に。また塩分濃度が10%以上あるような塩蔵食品(干物、塩辛、漬物、つくだ煮など)は、週に1回以内が胃がん予防の上で望ましいとしています。
・野菜と果物は合わせて1日に400g以上を。胃や大腸のがんのリスクを抑えるため、野菜は毎食、果物は毎日食べる心がけで不足しないようにしましょう。
・熱い飲食物はなるべく冷ましてから。ハム、ソーセージなどの加工肉も控えめに。

●アルコールは適量を
 日本酒換算で1日平均1合(180ml)程度までならがんの危険度は高まりませんが、飲みすぎると食道、肝臓、大腸などのがんの危険度を高くします。また、飲まない人や飲めない人は無理に飲まないこと。

●毎日合計60分程度の適度な運動を
 例えば歩行などを10分ずつの小分けにしてもよく、さらに週に1回くらいは、はや歩きのような汗をかく運動を行うことで、大腸がんや乳がんの予防に役立つでしょう。

●太りすぎない、やせすぎない
 具体的には、中年期の男性でBMI(体格指数)27を超えない、21を下回らない、女性で25を超えない、19を下回らないことを目標に。
(注)BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

●肝炎ウイルス感染のチェック
 肝臓がんの危険因子としてB型あるいはC型の肝炎ウイルスの感染があります。もし感染していれば、ウイルスの駆除や肝臓の炎症を抑える治療が必要です。中高年者で思い当たることがない場合でも、出産時の母子感染、輸血や血液製剤の使用、昔の医療行為などで知らないうちに感染している可能性もあるので、一度は検査を受けておく必要があります。

 がんは予防することが可能な病気ですが、これさえ食べれば、これさえすれば絶対がんにならないというような方法はありません。毎日の生活習慣に不健康な偏りがないか点検し、少しずつ改善し、それを継続していくことが大切です。ここで紹介した危険因子と予防法を参考に生活習慣を点検し、ストレスにならないように工夫しながら改善・継続していきましょう。

(「健康のひろば」法研より)

【監修】
津金 昌一郎先生


国立がんセンター がん予防・検診研究センター 予防研究部長
1985年慶應義塾大学大学院修了。2003年から現職。主な研究領域はがんの原因究明と予防法の開発のための疫学研究。主な著書に「がんになる人 ならない人―科学的根拠に基づくがん予防」(講談社ブルーバックス)など。

コラムに関連する病名が検索できます。

がんにならない生活‐分かりやすい6つの予防法 関連コラム

この記事を見ているひとはこんな記事も見ています

午前中果物だけ食べる簡単ダイエット

午前中果物だけ
午前中果物だけのダイエット方法は、午前中は生の果物を、好きなだけ食べます。
お好きな果物の名前をメモして、買い物に行って果物を購入してください。
このダイエット方法では、果物を朝の主食として考えていくことが重要です。... 続きを読む

乳がん予防には定期的な運動がカギ-週1の運動でも効果あり

9月の「がん征圧月間」に続いて、10月は乳がん月間です。そして10月13日は体育の日。そこで、「運動と乳がんの発生リスク」について調べた研究報告がありますので紹介しましょう。
女性がかかるがんの中で最も多いのが乳がんです。年齢別では3... 続きを読む

発酵食品カタログ 塩辛

魚介類
塩辛 魚介類の肉・内臓・たまごなどを塩で漬けて発酵させたもの。 この発酵食品のポイント おもに酒のつまみとして食べられます。鉄が豊富に含まれており貧血の予防に役立ちま... 続きを読む

健康診断はあてにならない?検査項目には科学的根拠が乏しい

前回は、人間ドックは一般健診に比べ、がん検診の項目が多く含まれていることを説明しました(「賢い健診講座1
一般健診と人間ドック」)。がんの検査以外でも一般健診に比べ、より多くの検査項目が含まれていますが、それらはエビデンス(科学的根拠)に... 続きを読む

一晩寝かせたカレーにはウェルシュ菌が増殖! 食中毒を防ぐには

よく、一晩寝かせた翌日のカレーはおいしいといわれますが、それは野菜や肉などの具材からうま味が溶け出すからだとか。
「それなら、これからカレーは作った次の日楽しむことにしよう」と即断するのは、ちょっと待って。というのは、保存の仕方によって... 続きを読む

生活習慣病、痛風・高尿酸血症‐健康的な生活とは?

ある日突然、足の親指のつけ根の関節がギリギリと激しく痛み出し、赤く腫(は)れて歩けなくなるほどの痛みです。この症状が「風に吹かれても痛い」と形容される痛風です。かつては、美食を楽しめる富裕層に多いことから“ぜいたく病”などと言われたことも... 続きを読む

死亡リスクの高い糖尿病・肥満・痛風-検診データを活用して予防

糖尿病は、血液中のブドウ糖を低下させるホルモン、インスリンの不足によって、血液中のブドウ糖濃度=「血糖値」が高くなった状態です。血液中のブドウ糖は、食事をすると一時的に増えるものの2~3時間ほどでまた元に戻ります。血液検査では、(1)随時... 続きを読む

「若いな…」と思う他人の恋愛は?

「運命」や「永遠」を信じている 一日に何度もメールをやり取りする 毎日のようにデートをする 相手の周りの異性にとにかく嫉妬 相手... 続きを読む

がん患者数No.2の“大腸がん”を徹底追及

男女ともに増えているがん"大腸がん”
日本でかかる人が増えているがんは、「大腸がん」です。食生活が欧米化し、脂肪や蛋白の摂りすぎ、食物繊維の不足などが原因と考えられています。


日本人では、1万5000〜1万7000人に1人発症... 続きを読む

ロングヘアーの黄金比は【身長の1/3】

~ビューティー・ルネッサンスを迎えるために~ザビエル鈴木のやせて魅せるワザ 《長い黒髪》はプロポーションとのバランスが重要
女らしさというと、髪の長さを基準にすることがしばしばで、女優の萬田久子さん、... 続きを読む