大腸がんを早期発見-便潜血反応検査って知ってる?

有効性が高く体への負担もない検査だから毎年受けよう

早めの対処でほぼ完治。早期発見には検診が有効、受診者は死亡率が7割も低い。家族に患者がいる人は要注意

食生活の変化で男女とも急増

 近年、大腸がん(結腸、直腸、肛門のがん)による死亡者数が急増しています。厚生労働省の統計によると、平成19年の日本人の死因の約3分の1は「がん」です。このうち男性の大腸がんの死亡者数は10年前の約1.2倍となり、初めて肝臓がんを抜いて3番目に多いがんとなりました(1位は肺がん、2位は胃がん)。女性ではすでに平成15年から、大腸がんが1位になっています(2位は肺がん、3位は胃がん)。この背景には、肉類を中心とした高たんぱく・高脂肪な欧米風の食生活の広がりが指摘されています。

 大腸がんは早めに見つければ、内視鏡を用いての切除や外科手術によって完全に治すことができます。症状が少し進んでしまっていても手術ができる時期であれば、ほかの臓器へ転移しているものも含め外科手術で完全に治すことも期待できます。つまり、発見が早いほど完全治癒が望める、比較的治しやすい病気といわれているのです。

便潜血反応検査で死亡率減少効果がはっきり

 大腸がんの初期にはほとんど自覚症状がありませんから、早めの発見には検診が欠かせません。大腸がん検診の一次検診として一般的なのは「便潜血反応検査」です。大腸にがんがあると、便の中に血液が混じることがあるため、少量の便を採って血液の有無を調べるものです。通常、便は日を変えて2回自分で採取し、専用容器に入れて提出します。

 検査では、痔(じ)やそのほかの出血で血液が混じっていたり、逆にがんが進行していても検査では潜血反応がみられないこともありますが、この検査を受けることによる死亡率の減少効果ははっきりと出ています。厚生労働省の研究班による40~50歳代の4万人を対象にした13年間に及ぶ追跡研究では、便潜血反応検査を受けた人は、受けていない人より大腸がんによる死亡率が7割も低かったという結果が出ているのです。

 便潜血反応検査で「疑わしい」(陽性)となった場合には、必ず精密検査を受けましょう。これには、肛門から内視鏡を入れて大腸を内側から観察する「大腸内視鏡検査」と、肛門から造影剤(バリウム)と空気を注入して大腸全体をX線撮影して観察する「注腸造影X線検査」(「下部消化管X線造影検査」ともいう)の2種類があります。
 大腸内視鏡検査では、小さな病変が見つかったら、その場で検査を兼ねた治療(切除)を行うことができます。一方、大きな病変があり大腸が狭窄(きょうさく)している場合、内視鏡はその先へ進んで観察することができないことがありますが、注腸造影X線検査は大腸の全体像を把握することができ、腸壁の凹凸(おうとつ)や狭窄などの存在や位置、大きさなどにより病変をとらえることができます。このように、それぞれの検査に特有の長所・短所があります。

予防には食習慣の見直し、運動も効果

 大腸がんは、直系の親族に同じ病気の人がいるという家族歴が危険因子の一つとされています。このほかいくつかの危険因子をあげることができます。以下のような項目に当てはまる人は40歳をすぎたら年に1回は検診を受けたほうがよいでしょう。
●肉親に大腸がんになった人がいる
●大腸ポリープができたことがある
●かいよう性大腸炎やクローン病で治療を受けている
●痔ろうが何年も続いている

 また、以下のような症状があったらすぐにも検査を受けましょう。
●便が細くなった
●便秘や下痢を繰り返す
●便に赤黒い血が混じる
●腹痛が長く続いている

 大腸がんを予防するためには、まず食生活をはじめ、以下のような注意を。
●ふだんからできるだけ歩き、週に1回くらいは汗をかく運動をする
●規則正しい生活とバランスのよい食事をこころがけ、肥満にならないようにする
●肉類に多い動物性脂肪をとりすぎない
●喫煙者は禁煙する。他人のたばこの煙をできるだけ吸わないようにする
●アルコールを飲むならほどほどに(1日に日本酒なら1合、ビールなら500ml程度)

(「クリニックQ&A」法研より)

【監修】
西堀 英樹先生


きたみ胃・大腸クリニック院長
1988年慶應義塾大学医学部卒業。慶應義塾大学医学部外科、国立がんセンター研究所病理部、国立大蔵病院(現国立成育医療センター)外科、米国コーネル大学医学部外科などを経て、2002年より慶應義塾大学病院一般・消化器外科で大腸癌を専門に消化器癌診療に専念してきた。2007年きたみ胃・大腸クリニックを開院。苦痛の少ない内視鏡検査により胃・大腸疾患を中心とした早期診断・治療に努めている。
http://www.kitami-clinic.com

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