公共の場の全面禁煙へ-受動喫煙防止の大切さを理解して

あなたの喫煙が妊婦や子どもをも危険にさらす

国際的な動向にらみ厚生労働省が全国に通知。今すぐは困難な所も「将来的には全面禁煙目指せ」と求める

飲食店、娯楽施設など多くの人が利用する場所は全面禁煙に

 街中の多くの人が利用する施設では、「禁煙」を掲げることが今や当たり前のようになっています。この当たり前のようなことをさらに徹底し、公共的な場所を「全面禁煙」にする動きが加速しそうです。
 これは、厚生労働省が「受動喫煙防止対策について」という通知をこの春(2010年2月)、全国の都道府県知事などに宛てて出したからです。通知では、受動喫煙を「室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされること」と定義し、その防止対策としての「全面禁煙」を徹底したい施設として以下のようなものをあげています。

 学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店、その他(鉄道の駅、バスターミナル、航空旅客ターミナル、旅客船ターミナル、金融機関、美術館、博物館、社会福祉施設、商店、ホテル、旅館などの宿泊施設、屋外競技場、遊技場、娯楽施設、鉄道車両、バス、タクシー、航空機、旅客船など)

 このような公共的な空間では「原則として全面禁煙であるべき」とし、少なくとも官公庁や医療施設では「全面禁煙することが望ましい」と述べています。一方で、全面禁煙が極めて困難な場合などは、「当面、利用者のニーズに応じた適切な受動喫煙防止対策」を進めるように求めています。例えば、喫煙可能区域を設け、そこから非喫煙場所にたばこの煙が流れ出ないようにするとか、喫煙可能区域に未成年者や妊婦が立ち入らないように措置を講ずる必要がある――など具体的な方策を例示しています。そしてこれらの措置も「当面の間」のことで、将来的には全面禁煙を目指すよう求めており、酒場や遊技場のように喫煙する客も多い所にとってはかなり厳しい通知といえそうです。

 厚労省がこのような通知を出したのは、受動喫煙を抑制しようという動きが今や国際的なものになっているからです。そのような状況から厚労省は、有識者による「受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会」を立ち上げました。検討会の報告書が2009年3月に取りまとめられたことから、それを踏まえ、今後の受動喫煙防止対策の基本的な方向性を通知として出したのです。

国際的にも明らかにされている受動喫煙の害

 検討会の報告書では、喫煙の自由や権利が主張されることがあるが、喫煙者は自分のたばこの煙に周囲の人がさらされていることを認識する必要があるとし、多くの人が利用する公共的な空間では、原則として全面禁煙であるべき、と訴えています。報告書ではまた、受動喫煙が死亡、疾病、障害を引き起こすことは科学的に明らかであるとし、諸外国で公的に報告されている次の5つの危険性をあげています。

(1)受動喫煙は、他人を発がん性がある化学物質や有害な大気汚染物質にさらすことである。
(2)受動喫煙の煙の中には、ニコチンや一酸化炭素などさまざまな有害化学物質が含まれており、とくにヒトへの発がん性があるベンゾピレン、ニトロソアミンなどが含まれている。
(3)受動喫煙は、乳幼児突然死症候群、子どもの呼吸器感染症や喘息発作など呼吸器疾患の原因になる。とくに親の喫煙で、子どものせき・たんなどの呼吸器症状や呼吸機能の発達に悪影響がある。
(4)受動喫煙で、血管内皮細胞が傷つき、血栓ができやすくなって心臓病の原因になる。
(5)受動喫煙は、急性の循環器への悪影響がある。

 さらに報告書では、子どもや妊婦などは少量のたばこの煙にさらされるだけでも影響が大きいため、彼らをたばこの煙から守ることが差し迫って重要であるとしています。

 また、先の通知から2カ月後(2010年4月末)、厚労省の「職場における受動喫煙防止対策に関する検討会」が、職場の受動喫煙防止を「事業者の義務」にすべきとする報告書をまとめました。この中で、受動喫煙対策は「快適な職場形成」ではなく「労働者の健康障害防止」の観点で取り組まなければならないと指摘しています。10月1日には、たばこ税が増税され、たばこが値上げになることも決まっています(1箱300円のもので410~440円に)。

 全面禁煙の徹底化に加え、たばこの価格も引き上げられるなど、愛煙家にとっては禁煙へのはずみもつきそうですね。

(編集・制作 (株)法研)

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