年々増える人間ドッグ受診者-「異常なし」は全体の8.4%

わずか8.4%、26年前の3分の1足らずに

肥満、高コレステロール、肝機能異常が目立つ。受診者300万人で7倍以上に。2次予防に有効とのデータも

人間ドックで「異常なし」の人、過去最低を更新

 人間ドックを受診した人で「異常なし」、すなわち健康上の問題が何もないと判定された人は、全体のわずか8.4%しかいなかったことが明らかにされました。日本人間ドック学会は前年1年間の全国の人間ドック受診者の集計データを毎年公表しており、これは2010年分の検査結果です。

 今回の「異常なし」の割合は前年より1.1ポイント低下して過去最低。同学会が全国集計を始めた1984年は29.8%でしたから、26年間で3分の1足らずにまで低下したことになります。また、「異常なし」の割合は年齢が高くなるにつれて少なくなり、39歳以下17.7%、40歳代9.9%、50歳代5.6%、60歳以上3.7%という結果となっています。しかもこれは、各年齢層を通じて年ごとに少なくなる傾向にあるようです。

 逆にどのような異常が多かったのかをみると、全体では肥満(27.7%)、高コレステロール(27.3%)、肝機能異常(27.0%)などが目立ちます。これらは年齢層が上がるごとに割合も高くなり50歳代でピークになりますが、60歳代以降は低下する傾向にありました。これらはどれも生活習慣に関連する項目であることから、その増加の背景には、加齢だけではなく生活習慣の悪化が大きく影響している、と同学会では分析しています。

 異常の割合を性別にみると、男性で最も割合が高いのは肥満(32.9%)で、女性は高コレステロール(26.7%)でした。以下、生活習慣に関連の深い項目でみると、男性は肝機能異常、高コレステロール、耐糖能異常(高血糖)、高血圧と続き、女性では肥満、肝機能異常、耐糖能異常、高血圧の順でした。

 人間ドックではがんの発見率も増えています。最も多く見つかったのは胃がん(28.2%)で、その次に大腸がん(16.5%)が続きます。これらの70%以上は早期がんの段階で見つかっており、90%以上が手術を行っています。さらに大腸がん手術のほとんどは、おなかを大きく開く開腹手術ではなく、内視鏡をそう入して病巣を切り取る方法で済んでいることなどから、早期発見・早期治療という2次予防に人間ドックのシステムが有効であることを示しているとみられています。
 このことは、家族にがんにかかった人がいるなどがんのリスクが高い人の毎年の健康チェックは、多少の自己負担を覚悟してでも人間ドックを選択したほうがよいと言えるかもしれません。

人間ドック受診者が増えている

 人間ドックは、地域や職場で行われる定期健康診査に比べるとより多くの項目を詳しくチェックするので、定期健診では見つからない異常を発見できる可能性があります。ただし、定期健診は法律で義務づけられていますから、無料か比較的低料金で受けられるのに対し、人間ドックは受診者が自らの意思で受診する任意のものなので、その費用は受診者の自己負担になります。それでも今回の集計では、受診者は前年よりも約7万人も増えて308万人近くになり、前述の全国集計を取り始めた84年の41万人からは7倍以上に達しています。

 人間ドック受診者が増加したのは、08年からメタボリックシンドロームの考え方に着目した特定健診・特定保健指導が全国で開始されたことが背景にあるのではないか、という指摘があります。また、人間ドックは法律で義務づけられている職場の定期健診の代わりにもなるため、費用の一定額を補助する健康保険組合や共済組合があることも受診者増加の一因として考えられています。受診者の増加は、当然のことながら異常が見つかる人の増加にもつながっていると言ってよいでしょう。

 「異常なし」の人の割合が年ごとに減っている原因として、偏った食生活や運動不足など不適切な生活習慣の広がりとともに、景気の低迷、経済環境の悪化などによるストレスの増加などが指摘されています。
 個人の力ではどうにもできない部分はありますが、生活習慣の改善は自分ですぐにでも取り組むことができます。毎日運動不足になっていないか、脂肪の多い食事を食べ過ぎていないか、野菜は十分とっているか、ストレス解消の工夫をしているか、節酒・禁煙を実行しているかなど、普段の生活を振り返り、今から改善に努めていただければ、次回のあなたの検査値は今年よりもきっと良くなるはずです。

(編集・制作 (株)法研)


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