善玉HDLコレステロールは多いほうが良い-増やすポイントは?

LDL-Cは正常でも、HDL-Cが低いと動脈硬化のリスク

中性脂肪が増えるとHDL-Cは減る。低HDL-C改善には減量、運動、禁煙などが効果的

HDLコレステロールは低いほうが危険

 特定健康診査における脂質の基準値は、LDLコレステロール(LDL-C)120mg/dl未満、HDLコレステロール(HDL-C)40mg/dl以上、中性脂肪(トリグリセリド;TG)150mg/dl未満です。こうした基準値は通常、大きい値のほうが問題となりますが、HDL-Cは低いほうが危険であることが、多くの観察研究からわかってきました。

 総コレステロール(TC)は、TC=LDL-C+HDL-C+TG/5(Friedewaldの計算式)の関係にあり、総コレステロールが高くても、LDL-Cが低めでHDL-Cが高めの場合は、あまり問題になりません。日本人は、欧米人に比べ、HDL-Cが高いと言われていますので、コレステロールの中身までチェックするようにしましょう。

 「あぶら」であるコレステロールや中性脂肪は、そのままでは血液中に溶けないため、たんぱく質やリン脂質と結合した「リポたんぱく」の形で血液中に溶け込み、体内を循環しています。そのうち、肝臓から体内にコレステロールを運ぶ役割をするLDLが増えすぎると、血管などにコレステロールがたまり、動脈硬化を引き起こす元になります。そのためLDL-Cは「悪玉コレステロール」と呼ばれています。
 反対に、HDLは細胞の中のコレステロールを引き抜いて肝臓まで運ぶ働きをしており、コレステロールを回収するHDL-Cは「善玉コレステロール」と呼ばれています。
 LDL-Cは正常でも、HDL-Cが低いと動脈硬化のリスクが高まることがわかっています。

脂質の値は性や年齢によって変化する

 2014年に日本人間ドック学会と健保連が150万人のメガスタディーによる基準値を発表しました。これは、学会などが疾患予防のために出している基準値ではなく、病気でない人を選び、さらに潜在異常値除外法という方法で選りすぐられた「超健康人」の基準値です。

 この研究によれば、女性は閉経前には男性に比べ、TC、LDL-Cが低いのですが、閉経後はどちらも男性よりも高くなり、しかも年齢とともに上昇することがわかります。HDL-Cは女性のほうが高め、TGは女性のほうが低めです。女性は閉経前にはLDL-Cが低く、HDL-Cが高く、TGが低いため、動脈硬化リスクがとても低いのですが、閉経後は急激に男性を超えて動脈硬化のリスクが高くなります。単純な数値だけではなく、性や年齢を加味した対策が必要ということです。

HDL-Cを下げない方法、上げる方法

 HDL-Cを下げない方法は、メタボの解消です。内臓脂肪がたまると、中性脂肪が増えます。中性脂肪が増えるとHDL-Cは減るという関係にありますから、内臓脂肪をためないよう減量などに努めることが必要です。第2が禁煙です。喫煙は動脈硬化を促進するだけでなく、HDL-Cを減らすことが明らかになっています。

 では、HDL-Cを増やすには、どうしたらいいでしょうか。効果的なのは、習慣的に運動をすること。激しい運動をする必要はなく、汗ばむ程度の有酸素運動(ウオーキングやジョギング、サイクリングなど)が有効です。

 HDL-Cを増やす薬はあるのでしょうか? 中性脂肪を下げる治療薬の中には、HDL-Cを増やすものもあります。また、女性ホルモンはLDL-Cを下げ、HDL-Cを上げる作用があると言われています。閉経期に女性ホルモンを補充するホルモン補充療法は、米国の大規模試験では動脈硬化予防には明らかな効果を示さないというデータが出ましたが、閉経前後の使用ではメリットがあるというデータもあります。

 耳にたこができるほど聞かされている「食事、運動、禁煙」ですが、わかっていても行動にはなかなか移せないものです。自分にとってのきっかけや継続のコツを見つけてください。

(編集・制作 (株)法研)

【執筆】
荒木 葉子先生


産業医・内科医、荒木労働衛生コンサルタント事務所所長
慶應義塾大学医学部卒業後、内科・血液内科専攻。カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学。報知新聞社産業医、NTT東日本東京健康管理センタ所長を経て、現在荒木労働衛生コンサルタント事務所所長。2008~2011年3月東京医科歯科大学女性研究者支援室特任教授。内科専門医・産業医・労働衛生コンサルタント。企業の労働衛生と半蔵門病院で内科診療を行う。主な著書に『臨床医が知っておきたい女性の診かたのエッセンス』(医学書院)、『働く女性たちのウェルネスブック』(慶應義塾大学出版会)など。

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