乳がん予防には定期的な運動がカギ-週1の運動でも効果あり

余暇によく運動する人ほど乳がんにかかりにくい

特に太り気味の女性や閉経後の女性は、週1日でも運動習慣をとり入れよう

乳がんは女性に最も多いがん

 9月の「がん征圧月間」に続いて、10月は乳がん月間です。そして10月13日は体育の日。そこで、「運動と乳がんの発生リスク」について調べた研究報告がありますので紹介しましょう。

 女性がかかるがんの中で最も多いのが乳がんです。年齢別では30歳代から増加し始めて50歳前後にピークがあり、職場や家庭で頼りにされる働き盛りの女性にとって、特に注意が必要ながんといえます。(「若い世代から増えている女性のがん」参照)

 さて、国内外のさまざまな研究により、食生活や運動習慣などの生活習慣ががんの発症に深くかかわっていることが明らかになっています。日本人女性の乳がんについても、定期的な運動が発症リスクを下げることがわかりました。

余暇に運動する頻度が高い人ほど乳がんになりにくい

 国立がん研究センターが行っている大規模追跡調査「多目的コホート研究」*では、日本各地に住む40~69歳の女性約5万人を対象に生活習慣についてアンケート調査を実施し、その後平均14.5年間にわたって追跡調査を行って、余暇運動や総身体活動量と乳がん発生との関連を調べました。
 ここでいう余暇運動とは、仕事のほかに何かスポーツや運動をする機会、総身体活動量とは、労働や日常生活での動きも含めたすべての活動を指します。

*多目的コホート研究(JPHC研究):数万人以上の特定の集団に対し生活習慣などの調査を行い、その後何年も追跡調査を行うもので、がんだけでなく、脳血管疾患、循環器疾患、糖尿病などさまざまな病気と生活習慣の関係を調査している。

 調査の結果、余暇運動をするのが「月3回以内」のグループに比べ、「週2日以内」では14%、「週3日以上」では27%ほど、乳がんの発生リスクが低いことがわかりました。つまり、あまり運動をしない人よりも週1回でも運動する人のほうが乳がんになりにくく、運動頻度が高いほど乳がんになりにくいことがわかったのです。

●運動習慣のある女性は特に閉経後、ホルモン受容体陽性の乳がんになりにくい
 乳がんはがん細胞の特性によって「ホルモン受容体陽性」と「ホルモン受容体陰性」に分けられます。「ホルモン受容体陽性」は、がん細胞に女性ホルモン受容体(エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体)があり、女性ホルモンの影響を受けるタイプ、「ホルモン受容体陰性」は受容体がなく女性ホルモンに関係しないタイプです。
 タイプ別で見ると、「ホルモン受容体陽性」の乳がんの場合、特に閉経後の女性において、余暇運動によって乳がんリスクは大きく減少しました。

 なお、総身体活動量別で見た場合、「ホルモン受容体陽性」の乳がんでは、閉経後の女性においてリスクの減少が認められました。

太り気味の女性は週1日の運動でもリスクが大きく減少

 さらに、肥満(BMI**25以上)の女性の場合、余暇運動をするのが「月3日以内」のグループに比べて、「週1日以上」では35%も乳がんリスクが低いことがわかりました。
** BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

 運動には、免疫機能の改善、体脂肪を減らし閉経後のエストロゲン濃度を下げるなどの働きによって、乳がんを予防する可能性があるとされますが、そのメカニズムはまだはっきりとはわかっていません。
 しかし、この調査の結果から、余暇に積極的に運動をする女性はしない人に比べて乳がんになりにくく、とくに太りぎみの女性は週1日でも余暇運動を行うことが乳がん予防につながることがわかりました。

 ちなみに、運動するとリスクが下がることが確実とされるがんには、大腸がんがあります。適度な運動は、大腸がんや乳がんを始めとするがんやさまざまな生活習慣病の予防に役立ちます。

 体育の日には、地域で気軽に参加できるスポーツイベントなどが開催されますから、興味のあるものに参加してみてはいかがでしょうか。何かスポーツを始めるきっかけができるかもしれません。

(編集・制作 (株)法研)

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