乳がんを予防するには-生活習慣をあらためるだけでも効果アリ

ここまでわかってきた乳がんリスクを上げる要因、下げる要因

高脂肪食・多量飲酒を避け禁煙を、定期的な運動で肥満を予防、リスクの高い人はとくに早期発見を心がけて

乳がんは働き盛りの女性にとってとくに注意が必要ながん

 10月は乳がん月間です。国立がん研究センターがん対策情報センターの「最新がん統計」によると、2011年に日本で新たに乳がんと診断された女性は約72,500人、生涯で乳がんにかかるリスクは12人に1人と高く、現在日本人女性がかかるがんで最も多いのが乳がんです。
 一方、2013年に乳がんで死亡した女性は約13,000人で、乳がんで死亡するリスクは70人に1人(臓器別で5位)となっています。

 多くのがんは加齢とともに増加していきますが、日本では乳がんは30歳代から増加し始め、40歳代後半から50歳代前半にピークがあります。職場や家庭で頼りにされる働き盛りの女性にとって、乳がんは特に注意が必要ながんなのです。

女性ホルモンのエストロゲンが乳がん発生に大きくかかわっている

 多くの乳がんの発生・増殖には、女性ホルモンの一つであるエストロゲンが大きく影響していることがわかっています。次にあげるような人は生涯の月経回数が多くエストロゲン濃度が高い期間が長くなるため、乳がんにかかるリスクが高いとされています。
・初潮が早い(11歳以下)
・閉経が遅い(55歳以降)
・妊娠・出産経験がない
・初産が遅い(30歳以上)
・授乳経験がない(または短い)

 体外から女性ホルモンを補う次の場合も、乳がんのリスクは高まるとされます。
・経口避妊薬(ピル)の長期間にわたる使用
・閉経後の長期間にわたる女性ホルモン補充療法

少しでもリスクのある人は、とくに早期発見を心がけて

 エストロゲンに関連すること以外にも、乳がんのリスクを上げる因子がわかっています。
・良性の乳腺疾患になったことがある
・頻回、または高線量の放射線被曝
・糖尿病がある
・身長が高い
・家族に乳がんや卵巣がんになった人がいる

 これまであげたリスクに該当しないからと安心はできませんが、少しでも当てはまる人は、とくに生活習慣に気をつけ、定期的に乳がん検診を受けて早期発見を心がけましょう。

 また、家族や親族に乳がんや卵巣がんになった人が複数いる場合は、「遺伝性乳がん・卵巣がん」の可能性も疑われます。これは特定の遺伝子の変異のため乳がんや卵巣がんのリスクが大変高くなる病気で、若い年齢で発症しやすいため、25歳くらいから定期的に検診を受けることがすすめられます。(「知っておきたい[遺伝性乳がん・卵巣がん]」参照)。

日本人では肥満は閉経前も乳がんリスクに

 生活習慣では、次のことが乳がんのリスクを高めるのは確実またはほぼ確実とされています。
・高脂肪の食事
・肥満
・多量の飲酒
・喫煙、受動喫煙

 肥満についてはこれまで主に欧米での研究によって、閉経後の女性では乳がんの大きなリスクとなるが、閉経前では逆にリスクが低くなる可能性が高いとされてきました。
 しかし昨年(2014年)国立がん研究センターが発表した日本人によるコホート研究(大規模かつ長期にわたる研究)では、閉経前・後ともに肥満は乳がんのリスクとなることが確認されました。

運動習慣の予防効果は確実。大豆や大豆製品にも可能性が

 一方、運動習慣によって乳がんのリスクが減少することはほぼ確実とされています。運動はウオーキングや軽めのジョギングなど、無理なく続けられるものがおすすめ。定期的な運動は、乳がんのリスクとなる肥満や糖尿病を防ぐためにも有効です。

 また最近の研究で、大豆製品やイソフラボンを摂取することで乳がんのリスクが下がることがわかってきました。大豆に含まれるイソフラボンはエストロゲンと構造が似ているため、むしろリスクを上げるのではないかと考えてしまいますが、食事でとる程度の量ならリスクは上がらないといわれます。
 ただし、サプリメントで大量のイソフラボンを摂取した場合に乳がんのリスクが低下することは証明されておらず、安全性も不明です。食事の範囲で大豆や大豆製品を積極的に食べるようにしましょう。

 乳がんのリスクを下げるためには、大豆や大豆製品を食事に取り入れて高脂肪の食事を避ける、お酒は飲んでも控えめに、禁煙、そして定期的な運動で肥満を防ぐことが大切です。

(編集・制作 (株)法研)

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