急増するドライアイ患者-予防・改善のポイントは温度と湿度

なぜ、ドライアイになり、悪化させないための処方箋は?

眼の表面は、まばたきによって常に涙が送り込まれることで、潤いを保ち、乾燥を防いでいます。ところが、涙の量が減ったり、質が変わるなどして、眼の表面が乾くと違和感が生まれます。これがドライアイで、近年、IT作業にかかわる人に急増しています。

ドライアイにみられる2つのパターン

 「ドライアイには、涙の量が少なくなる涙液減少型と、涙が蒸発しやすい蒸発亢進型がありますが、圧倒的に多いのは後者の蒸発亢進型のほうです」と木下氏。

 涙は下からムチン層、水層、油層の3層からなっており、一番外側の油層は涙の蒸発を防ぐバリアーの働きをしています。この油層への油分の分泌をコントロールしているマイボーム腺の働きが弱くなったり、分泌した油分が酸化したり、固まって伸びにくくなったりすると、眼の表面を均一にカバーできなくなり、涙の蒸発が進んでしまいます。

まばたきの回数が減ると涙が機能しなくなる

 しかし、IT作業によって起こるドライアイの場合、もう1つ、別のメカニズムによっても発症します。 「集中して作業をすると、まばたきの量が極端に少なくなり、涙は使われないままに涙道から鼻に捨てられ、油分も使われないままマイボーム腺のあたりに固まってしまいます。油分は固まってしまうと伸びが悪くなるため、まばたきの際に、涙に十分にのせることができずに、よけいに乾燥を促進してしまうのです」(木下氏)

 眼の乾きによって生じる「ゴロゴロ感」のほか、「眼が重い」「眼の奥が熱っぽい」「疲れやすい」「不快感」などさまざまな主観的症状が現れるため、眼精疲労だと思い込み、ドライアイだということに気づいていない人も少なくありません。

 「ドライアイかどうかは、涙の量や質に病的な変化がないか、角膜や結膜の表面に傷がないか、さらに涙が眼の表面をきれいに覆っているかなどを調べることで、診断します。ただし、ドライアイはIT作業だけで起こるのではなく、涙の量が少なくなる自己免疫疾患のシェーグレン症候群やマイボーム腺の機能不全によるものもあります」(木下氏)

作業環境を適温、適湿度に保つ

 ドライアイは、低温・低湿度の作業環境で、発生頻度が高くなるので、予防・改善のためには、適温・適湿に保つことが何よりも大切です。室内温度は夏季ならば24~27℃。冬季は20~23℃、相対湿度は40~70%が目安になります。涙液の不安定な女性やコンタクトレンズを使用している人は注意しましょう。

 作業環境を改善してみても、いっこうに症状が治らない場合は、専門医の受診を。軽症のうちは、医師がすすめる防腐剤の入っていない人工涙液の点眼が有効です。市販の目薬には防腐剤入りのものが多いので、使いすぎると症状を悪化させる可能性があります。それだけで、改善しない場合は、眼の表面に人工的に油膜をつくるヒアルロン酸ナトリウム入りの点眼薬を用いますが、さらに重症だと、涙が鼻に流れこむ涙道の涙点にプラグを詰めたり、涙が鼻に流れないように涙道をふさぐ手術を行うこともあります。

(「へるすあっぷ21」、法研より)

【取材協力】
京都府立医科大学眼科教授 木下 茂氏
京都府立医科大学眼科助教授 横井則彦氏             

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