暗記が苦手な人や勉強に役立つ-記憶力をアップする14のヒケツ

物忘れを防ぐ14の“ヒケツ”をこっそりお教えします。

「感動しながら憶える」「物語で記憶する」など、脳のしくみに基づいた記憶のアップ術を活用しましょう。

3割忘れたときが「おさらいどき」

 最近は、さまざまな年齢層を対象に、「脳力トレーニング」が流行しています。“脳力”の中でも、とくに記憶力の衰えは、けっこうショックなもの。脳のはたらきに基づいて、記憶力をアップする14のヒケツをご紹介しましょう。

1. 自分の忘れ方を知っておく
 記憶力を高める第一のコツは、自分の忘れ方のパターンを知ること。忘れるまでの時間は、3日で忘れるもの、3週間で消えるものなど、記憶している情報の種類によってさまざまです。一般に「記憶力がいい」といわれる人は、記憶が3~4割失われたタイミングでおさらいしていることが多いもの。自分の記憶パターンを観察して、3割程度忘れた頃におさらいするようにすると、記憶の定着率がぐんと良くなります。

2. 憶えやすい形を工夫する
 憶えやすい形を工夫することは、自分によくわかるようにするということです。それはつまり、理解しやすくすることです。
 脳の中の海馬(かいば)という器官は、情報に、あるまとまりを与え、他の情報と関連させ位置づけます。海馬に流れ込んだ情報は、らせん状にグルグル回り、弱い刺激でも立ち上がるネットワークを形成します。これが「記憶」です。つまりこれは、憶えようとすることを理解していく過程でもあるわけです。

 脳というシステムは、情報そのものを憶えていくシステムではありません。情報にまとまりを与えながら、その処理の仕方を獲得していくシステムなのです。 ですから、自分の言葉で言い替えるなど、自分にとって理解しやすい形にして記憶することは、記憶力を高めるために重要というわけです。

3. 感動しながら憶える
 脳は感動なしの丸暗記が苦手です。強く記憶したいことがあるときは、「今、すごいことを憶えてるんだ」というように、ワクワクしながら憶えると、記憶が定着しやすくなるというわけです。好き嫌いといった生物学的な判断をする扁桃体(へんとうたい)が、記憶力をつかさどる海馬に情報を伝えるゲートの役目をしていて、扁桃体が興奮すると情報ゲートが開かれ、記憶ネットワークが作られやすくなるのです。

4. 物語の形で憶える
 人類は言葉を獲得したことで飛躍的に記憶力を向上させました。ですから、記憶すべきことを物語としてつながりで憶えると、記憶の定着がよくなります。

5. 画像や図式を多用する
 脳には画像的な記憶(視空間メモリー)もあります。あるシーンを写真の細部を憶えるようにして記憶したり、重要な事項はノートに図式でまとめて憶えたりするのは、脳のシステムにあった憶えかたでもあるのです。画像や図式を多用して憶えることは、記憶力を有効活用するコツでもあるのです。

「百マス計算」で脳を鍛える

6. 言葉で聞く
 最近の研究で、言葉を持たない赤ちゃんでも、言葉を聞き分けるウェルニッケ野(聴覚性言語野)を活用していることがわかりました。私達の脳は、生まれてまもない頃から、言葉に反応できる部位を持ち、よりよく記憶できるようになっているのです。憶えたいことは口に出して繰り返し言ってみましょう。

7. よく見る、よく書く、イメージする
 文字を理解することに強く関わる部位が、画像の情報と言語的な意味を結びつけてより記憶力が高まるものと考えられています。文字という情報を画像として見る、書いて憶える、細部までイメージして思い出す、などは記憶力を活性化させます。

8. ひんぱんに表現する
 情報を表現するには理解力や表現力が必要です。よりよく聴き、よりよく見分けようとし、より頻繁に表現することは、脳の中期記憶や長期記憶を高めます。

9. 単純計算、音読、暗誦をする
 脳を鍛えるためには、図の「百マス計算」などの単純計算や、音読、暗誦が効果的です。子供の教育法としてだけでなく、認知症の脳機能維持や回復にも役立つことが知られています。

 単純計算や暗記などをしているときは、脳の広い範囲で強い活動が見られます。その際に、黙って考えるのではなく、声に出して自分の耳で聞いたり、書いて目で見ると、さらに脳が活性化します。たかが計算の反復、つまらない暗記、と思わないで。それこそが、記憶力を高めるヒケツになるのです。

料理することや運動も効果的!

 10. ものづくりや調理をする
 美術の時間の図画工作や料理をすることなどは脳活動を高めます。組み立て玩具を作ることなどで、大人でも前頭葉の活動が活発になることが調査で明らかになりました。また、料理をした場合も同じ結果が出ています。日常生活の中の、思わぬ行動が脳トレーニングになるのです。利用したいものですね。

 11. 運動、写真撮影も◎
 スポーツジムの自転車マシンなどで、負荷のかかる運動をすると、前頭葉の血液量が増えます。適度な運動後、計算能力が高くなることは昔から知られています。また、写真を撮ることでも、同様の反応が起こります。

12. ストレスをうまく解消する
 前頭葉はストレスがかかる記憶でいっぱいになると、新しいことを考え出す力が低下します。ストレスは早めに解消して、ゆとりのある毎日をおくりましょう。

13. 心地よい睡眠をとる
 眠りが浅かったり、睡眠の時間が不規則だと、ホルモンの分泌リズムが崩れ、脳がはたらくべき時間に活動を高めることができなくなります。心地よい睡眠を得るために、朝日を浴びる、適度な運動をする、食事時間を一定にする、などを心がけましょう。

14. バランスよく多品目の食事をとる
 脳の唯一の栄養源であるブドウ糖、また脳内物質で、情報伝達などに係わる、グルタミン酸、ドーパミン、アスパラギン酸などは、食べ物が材料となって作られます。バランスよく多品目をとる食事が、脳活動を支える元となるのです。

 これらの14のヒケツを参考にして、記憶をしっかり定着させ、つねに脳のはたらきがイキイキと活発に行われる、充実した毎日を送りたいものですね。

(「ぐんぐんよくなる頭の使い方」、法研より)

【取材協力】
篠原菊紀


 諏訪東京理科大学教授
1960年長野県生まれ。東京大学大学院博士課程(健康教育学)等を経て、現在、諏訪東京理科大学教授。学生相談室長。専門は脳システム論。多チャンネル近赤外線分光法で日常的な脳活動を調べている

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