「なんか疲れた」と思ったら体の疲労サイン-疲労回復に効く食事

たかが疲れと安易に考えるのは危険です

蓄積疲労を起こさないうちに、疲れは早めに解消しましょう

現代人は老いも若きも疲れている!

 環境が大きく変わった、仕事が忙しい、遊びすぎた、睡眠不足などで疲れを感じるのは当たり前ですね。ゆっくり休養して回復するなら問題はありません。しかし、ぐっすり眠ったのに次の日に疲れが残ったり、朝から体がだるくてやる気がでない、といった人も多いのではないでしょうか?

   厚生労働省の疫学調査によると、15歳から65歳の男女約4,000人のうち、約6割が疲れを感じ、そのうちの4割近くは半年以上も疲れを感じたままだったそうです。忙しい現代社会では、老いも若きも疲れているようです。

疲れが蓄積されると大変なことに

 疲れは、「痛み」や「発熱」とともに、3つのアラームと呼ばれます。疲れは、心や体が休みなさいと警報を出してくれているのです。このアラームを無視して無理を重ねていると、疲労は着実に蓄積されていきます。
 蓄積疲労の状態になると、休養をとり栄養を補給しても疲れが解消されず、回復が困難になってしまいます。そして疲れやすさが加速され、意思力、判断力、記憶力などが次第に低下していきます。この状態を放置すると、自律神経失調症やうつ病など心の病の引き金になったり、最悪の場合は過労死を招くことにもなりかねません。

 また、最近は「慢性疲労症候群(CFS)」ということばをよく耳にします。慢性疲労症候群とは、原因不明の強い倦怠感、疲労感とともに、頭痛やのどの痛み、筋肉痛、不眠、思考力や記憶力の低下などの症状が現れ、日常生活に支障をきたすような極端な疲労が半年以上も続く病気です。いまのところ原因ははっきりしていませんが、研究が進み、治癒率も年々高まっています。心の病との鑑別診断も必要ですので、心当たりのある人は早めにお医者さんに相談しましょう。

 疲れは早めに解消することを心がけましょう。疲れの症状は、体のだるさや頭痛、首や肩のこり、目のかすみをはじめとして、不眠、動悸(どうき)、耳鳴り、微熱、さらに怒りっぽくなる、物忘れが激しくなるなど、精神面にも現れます。これらのサインを見逃さず、早めに対策をとることが必要です。

疲労回復はバランスのよい食事から

 疲労回復のためには、バランスのよい食事が欠かせません。まずエネルギーを不足させないために、1日3食きちんと食事をとりましょう。疲れているとぎりぎりまで寝てしまい、つい朝食を抜いてしまいがち。朝食は午前中のエネルギー源ともなりますので、少量でもとることが大切です。また、寝る直前に重い食事をとると胃腸に負担がかかって睡眠の質が悪くなり、疲労回復の妨げになります。昼食を多めにとって夕食は軽めにとるようにするとよいでしょう。

 栄養素では、エネルギー源となる炭水化物を十分に、たんぱく質、脂肪、ビタミン、ミネラルを過不足なくとりましょう。とくに疲労回復に役立つ栄養素(成分)には、以下のものがあげられます。

●エネルギー代謝をスムーズにするビタミンB群
 糖質や脂質からエネルギーを生み出すために働いたり、その力を高めるのがビタミンB群やコエンザイムQ10、α‐リポ酸、L‐カルニチンなど。ビタミンB群は、豚肉、うなぎ、卵、納豆などに多く含まれます。

●疲労と老化を促す活性酸素と闘う抗酸化物質
 体内でつくられる活性酸素は体の細胞にダメージを与え、疲労と老化を促すと考えられています。その活性酸素と闘うのが抗酸化物質で、ビタミンC・E、ポリフェノール、β-カロテンなどがあります。

 これらの栄養素(成分)をまんべんなくとるには、いろいろな食品をバランスよくとることが大切です。サプリメントなどは、食事だけではどうしても不足する場合に補うものと考えましょう。

規則正しい生活で睡眠と覚醒のリズムを

 疲労回復には、自律神経のバランスを整えることが大切です。日中は活動するための交感神経が働き、夜間は休息のために副交感神経が働いています。不規則な生活をしているとこのリズムが乱れ、疲労が回復されにくくなってしまいます。
 毎日ぐっすり眠るには、なるべく同じ時間に起きて同じ時間に寝ること。朝は早く起き、昼間は日光を浴びてからだを動かす、夜は早めに寝るといった規則正しい生活が望まれます。休日に眠りすぎるのもこのリズムを乱しますから、「寝だめ」はほどほどに。

 また、疲れているときには、脳や筋肉に疲労物質(疲労の原因となる老廃物など)がたまっています。血行をよくして疲労物質を除去するために、ぬるめのお湯にゆったりつかる入浴がおすすめです。また、適度な運動と寝る前のストレッチなどを習慣づけましょう。

 疲れはその日のうちに解消するのがベストです。疲れたなと感じたら、早めに休養をとり、積極的に疲労回復を図りましょう。

(「疲れをためない生活のヒント」矢澤一良 監修、法研より)

【監修】
矢澤一良先生


東京海洋大学大学院 海洋科学技術研究科 客員教授
1972年京都大学工学部卒業。1973年(株)ヤクルト本社・中央研究所入社。1986年(財)相模中央化学研究所入所(主席研究員)。1989年東京大学より農学博士号を授与される。2002年4月より東京水産大学大学院(現東京海洋大学大学院)水産学研究科 ヘルスフード科学(中島董一郎記念)寄附講座客員教授。主な研究テーマは、予防医学的食品・医薬品素材に関する研究と、海洋資源の有効利用に関する研究。

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