寝だめは効果なし! 理想は6時間睡眠-ぐっすり眠る3つのコツ

美肌は睡眠中につくられる

肌の生まれかわりには6時間以上の睡眠が必要。眠りのメカニズムを知って、美と健康を保ちましょう

副交感神経と成長ホルモンが美肌をつくる

 暑くて寝苦しい日が続くと、お肌にも影響が出てきます。美容と健康にとって睡眠が重要なのはわかっているけれど、毎日質、量ともに十分な睡眠をとることはなかなか難しく、気がついたら肌が脂っぽい、粉をふいてきた、ニキビができた、という緊急事態になっていたりします。睡眠不足は、なぜ肌に悪い影響を与えるのでしょうか。

 皮膚の細胞は日々生まれかわっていますが、それは眠っている間にだけ起こります。これには、自律神経とホルモンの働きがかかわっています。自律神経には活動時に働く交感神経と、休息時に働く副交感神経の2つがあります。昼間起きているとき、交感神経は脳に血流を集めて手足や目、口など体の動きや感覚をコントロールし、その分肌への血流は不足します。逆に、夜間は副交感神経が優位になり、脳への血流が減って内臓や皮膚への血流が増加します。この時間帯に、肌は栄養をもらって再生するのです。

 また、睡眠中には成長ホルモンの分泌が多くなります。成長ホルモンは体の新陳代謝を促すため、分泌が活発になる睡眠中に、体の機能の修復や疲労回復、皮膚の再生などが行われるのです。昔から「寝る子は育つ」「美人は夜つくられる」と言われますが、これらは科学的にも正しかったのですね。逆に、睡眠が不足すると肌の代謝も低下し、ニキビや乾燥、くすみなどの肌トラブルを招いたり、シミ、シワ、たるみなどの肌老化が進んでしまうということになるわけです。

毎日同じ時間に寝て6時間睡眠を確保

 それでは、どれくらいの時間眠ったらよいのでしょうか。これには個人差もあるでしょうが、肌のことを考えた場合、6時間以上は必要と言えます。睡眠が6時間以下の人には、肌荒れを起こしている人が圧倒的に多くみられることから、毎日の睡眠が6時間以下という状態では、肌の生まれかわりが十分に行われないことが推測されます。週末に寝だめをしても、肌の代謝を1週間分まとめて行うというわけにはいきません。

 また、睡眠時間が6時間以上ならいつ寝ていつ起きてもいいのかというと、そうではありません。自律神経のバランスを整える意味でも、交感神経が優位になる朝には起きて日中活動し、副交感神経が優位になる夜は眠るのが望ましいのです。また、眠りを誘うホルモンと言われるメラトニンは、朝日を浴びることで昼間の分泌量が抑えられ、夜しっかり分泌されるようになります。これによって、夜ぐっすり眠るリズムがつくられるのです。やはり“早寝早起き”がよいということです。

 「午後10時から午前2時は肌の修復が行われる“肌のゴールデンタイム”だから、この時間は寝ていないといけない」とはよく耳にしますが、仕事をもつ人にとって毎日午後10時に寝るのは難しいでしょう。午前0時までに眠りにつくことを目標にすれば、健康にも肌の状態にも大きなダメージを受けることはないようです。

 なお睡眠は、“量”だけでなく“質”も重要です。ぐっすりと深い睡眠をとることができないと、成長ホルモンが十分に分泌されません。眠りにつく時刻が不規則なのも、生活のリズムをくずし、睡眠にも影響します。なるべく毎日同じ時刻に寝床に入り、質のよい深い眠りを得ることが大切です。

眠気は体温の下がりはじめに起こる

 ぐっすり眠るための具体的な方法をご紹介しましょう。

●就寝1時間前くらいから部屋のあかりを暗めにする
 就寝前にリラックスタイムを設け、部屋のあかりを暗めにしてくつろぎましょう。メラトニンは、陽が落ちて目に入る光の量が少なくなると分泌量が増えます。明るい電灯がついた部屋は昼間と同じ状態になるので、眠気が起こりにくくなってしまいます。

●ぬるめのお風呂にゆっくり入る
 38~40℃くらいのぬるめのお風呂は、副交感神経を優位にし、眠りに入りやすくしてくれます。眠気は体温の下がりはじめに起こります。お風呂あがりに、体温が少し下がってきたと感じたタイミングで、ふとんに入るとよいでしょう。

●ストレッチやヨガなどの軽い運動をする
 眠る数時間前、軽くストレッチやヨガなどを行うのも効果的です。運動で少し上がった体温が下がりはじめたころに、ふとんに入れば寝つきがよくなります。ただし、激しい運動は逆効果。息が上がらない程度の軽い運動にとどめましょう。

 熱帯夜は室温や湿度が高いため、体温が下がりにくくなっています。エアコンで室温、湿度を下げると気持ちよく眠れますが、冷やしすぎると体調不良の原因となり、お肌にもよくありません。タイマーや扇風機を上手に使って、できるだけつけっぱなしは避けるようにしましょう。

【監修】
吉木伸子先生


よしき皮膚科クリニック銀座院長
1967年東京都に生まれる。1993年 横浜市立大学医学部卒業後、慶應義塾大学病院皮膚科学教室入局。1994年より浦和市立病院(現さいたま市立病院)皮膚科勤務、埼玉県大宮市(現さいたま市大宮町)のレーザークリニック勤務、日本美容学校皮膚科非常勤講師などを経て、1998年よしき皮膚科クリニック銀座開業、現在に至る。専門は美容皮膚科。所属学会は日本皮膚科学会、日本香粧品学会、日本美容皮膚科学会。著書に『スキンケア基本事典』(池田書店)、『美肌ルネッサンス』(集英社)ほか。

この記事を見ているひとはこんな記事も見ています

睡眠6時間以下は過労死ライン? 働く日本女性の深刻な睡眠事情

夕方に差し掛かると毎日、緊張度が上がる。まずは、退社時刻通りに職場を出られるか。そして、交通機関の遅れなく保育園のお迎えに間に合うか。子どもと家に帰り着くと、息つく間もなく夕食の準備。おなかがすいている子どもに心の中で謝りながらようやく... 続きを読む

睡眠はストレスレベルを計るバロメーター 安眠の心得

「寝つきが悪い」、「夜中にたびたび目が覚める」、「熟睡感がない」、「朝すっきり目が覚めない」、「昼間眠たくて困る」など感じることはありませんか?
睡眠はストレスレベルを確認するバロメーターです。良く眠れない場合は、悩みや心配ごとによるストレ... 続きを読む

冬場によく眠れない人の快眠術-眠りにちょうど良い室温は何度?

暖房の普及で、冬は寒くて眠れない、などということはほとんどなくなったでしょうが、一部の人、例えば冷え性の人などにとっては歓迎されない季節かもしれません。冬でも“春眠”なみの快適な眠りを確保するには、この季節なりの工夫が必要です。
まず... 続きを読む

年齢ごとに異なる理想的な睡眠時間は? 昼寝は健康にいい?

私たちは睡眠によって脳や体の疲れを回復させています。睡眠時間が不足したり、時間は足りていても深い眠りが得られないような場合、生活習慣病やうつ病などにつながることがわかってきました。
一言で「理想的な睡眠」といっても、人によって、また世... 続きを読む

睡眠不足は仕事に悪影響-働く世代の快眠10か条

ある調査による日本人の平均睡眠時間は7時間22分。これは、世界的にみても短い時間です。アメリカの実験によると、6時間睡眠を2週間続けた場合、作業能率は一晩徹夜したのと同じくらい低下することが明らかになっています。
また、1日の睡眠時間... 続きを読む

寝苦しい熱帯夜を快適に過ごす方法-心地よく眠る5つのコツ

寝苦しい熱帯夜。睡眠が充分とれないために疲労が回復されず、夏バテしてしまった方も多いのでは?
ところで、熱帯夜とは、夜間の最低気温が25℃以上になる夜のこと。最近、都市部では、ヒートアイランド現象によって、熱帯夜が増加しているともいわれて... 続きを読む

子どもの緊急事態のときに使用する電話窓口

子どもの思わぬトラブル
子どもは急な病気や怪我などのトラブルが多いもの。急な発熱や、嘔吐、下痢、湿疹などの病気の症状や、家庭内の事故による怪我、また、誤飲等による事故もあります。言葉で訴えることができる年齢ならともかく、乳幼児の場合は自... 続きを読む

わたしの眠り足りている?「毎日5分ずつ」で睡眠不足習慣が変わる

巷では「8時間睡眠が健康と美容に良い」と言われていますが、実はこの説に科学的な根拠は一切ありません。3時間睡眠で十分な「ショートスリーパー」と呼ばれる人もいれば、10時間以上眠らないと調子が出ない「ロングスリーパー」と呼ばれる人もいるの... 続きを読む

肌質で正しく選ぼう!肌質別おすすめメイク落とし

人には肌に違いがあります。ですから、使って気持ちいいものとそうでないものがあります。メイク落としはその代表で、肌質にあっていないものを選ぶと肌荒れしたり肌トラブルに合うことがあります。ですからメイク落とし、クレンジングは肌質で選ぶのが正... 続きを読む

休み明けがだるい理由-体内時計のリズムを崩さない生活とは

年末年始は、皆様ゆっくりお休みを取れましたでしょうか。 お休みがあると、ついつい夜更かし朝寝坊をしてしまう方もおられるかと思います。しかし、休み明けはどうもだるい、といったご経験をされた方も多いのではないのでしょうか。これは、休みの間の生活... 続きを読む